尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史に対し旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の幹部が請託した疑惑が持ち上がっている中、旧統一教会がかつて行事の出席者たちにブランド品を贈ったり、捜査機関などにロビーを試みたりした情況が14日に明らかになった。
旧統一教会がY前世界本部長の秘書室長の役割を果たしたS氏に対し提出した告訴状によると、S氏は2023年1月にモザンビークで開かれた旧統一教会の行事(国際指導者会議・ILC)に出席した貴賓への贈り物として、900万ウォン(約94万円)相当のブランド時計を数本買った。2023年4月の統一教会行事を控えた時期にも、ブランド品販売店で「貴賓のための物品としてネクタイ、ニット類、コートなどを購入」したという。Y前本部長の承認を得て贈り物の購入が進められたが、具体的な内訳は内部に報告されておらず、旧統一教会が内部監査を行ったという。
S氏は内部監査で、贈り物を渡した記録も、贈り物を渡した事実を知っている人もいないという趣旨で答えた。購入したブランド品が本来の目的通りに使われたのか不明だという主張だった。これに対し、旧統一教会は昨年8月、S氏を横領疑惑で警察に告訴したが、今年3月に告訴を取り消した。旧統一教会の内部関係者は「旧統一教会が内部事情にかかわる内容を告訴したため、このような事実が外部に公開されることになった」と語った。
旧統一教会側が捜査機関にロビーをしようとした情況も確認された。ハンギョレは2017年、Y前本部長と旧統一教会幹部のC氏、旧統一教会の訴訟を支援する米国弁護士などが参加したメッセンジャーの記録を確保した。この弁護士は対話の過程で「○○地検の人たちを接待するために忙しい秋夕(中秋節)だった」、「B(秘密資金)が1枚半ほど必要だ」などと語った。当時は旧統一教会の総裁一家の財産紛争が起き、民事・刑事訴訟が数件進められていた時期だった。C氏と統一教会の関係者ら、法務法人のスタッフなどが対話を交わした録音記録にも「検察に接待をしなければならない」、「どんな資金でも、確実に自分の仕事に全てを使った」という内容が登場する。C氏はメッセンジャーで「ロビーもうまく進め、互いにこうしなければならない」と語った。
これと関連して旧統一教会は2018年9月、この弁護士などを詐欺疑惑などで告訴した。彼らは意見書で「(弁護士などが)『捜査官、検事、判事などへのロビーに使う金が必要だ』として現金を要求した。旧統一教会は(その言葉を信じて)計15億4千万ウォン(約1億6千万円)を支払った」と書いた。警察はこの事件を送致しなかったが、「これらの金銭が捜査機関などに対するロビー資金でありうるという疑いが多少ある」と書いた。