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韓国保守与党「国民の力」の「傭兵政治」の予告された破局【コラム】

登録:2025-05-08 00:47 修正:2025-05-08 08:22
//ハンギョレ新聞社

 与党「国民の力」の大統領候補の一本化をめぐり、キム・ムンス候補と党主流の対立が極に向かって突っ走っている。党内での予備選挙を経て選出された党の大統領候補を、ハン・ドクス前大統領権限代行首相へと一方的に交代させようとして対立しているのだ。国民の力は7日に全党員に対して一本化の賛否を問うアンケート調査を行うなど、連日キム・ムンス候補に圧力をかけている。党指導部が現在推し進めている「候補の一本化」は、保守政党の専売特許である「傭兵(ようへい)政治」を別の言葉で表現したものだ。いわゆる「傭兵政治」とは、政党内の人間を差し置いて、外部の人間を主要選挙の候補として、または指導部に迎え入れる戦略をいう。党の危機直面やリーダーシップ崩壊の際、外部から「救援者」役の人間を探し出してきてトップに据えるのだ。

 新韓国党はイ・フェチャン元首相を1996年の第15代総選挙の選挙対策委員長に選出し、その後、第15、16代の大統領候補として擁立した。2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾で展開された早期大統領選の局面では、汎保守陣営の「救世主(メシア)」としてパン・ギムン前国連事務総長が筆頭格となった。同氏は政界からの継続的なラブコールの末、10年間の国連事務総長の任期を終えて帰国し、直ちに大統領選挙に挑戦する意思を表明した。セヌリ党(国民の力の前身)と正しい政党が先を争って彼を迎え入れようとしたが、外交官僚として一生を送ってきたパン前総長は、政界の激しい検証攻勢と政治力の不在、準備不足などの限界を痛感し、わずか20日で不出馬を宣言した。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は傭兵政治の代表的な成功例であり、致命的な失敗例だ。国民の力は2021年の大統領選挙を前に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領(当時)と対立していた尹錫悦前検察総長を迎え入れた。ひたすら「政権奪還」という盲目的な目標のために政治経験のまったくない尹前総長を迎え入れ、政権交代には成功したが、国政運営哲学もまったく持たない「検事尹錫悦」の独善と暴走は制御できなかった。彼は挙句の果てに非常戒厳の宣布というあきれた行いで自滅し、その結果は今、全国民の背にのしかかっている。

 「傭兵尹錫悦」を輩出し、国政を破局へと追いやった国民の力は、今度は「傭兵ハン・ドクス」を頂いて大統領選挙を行うつもりでいる。大統領選候補一人育てられていない政党が、単に選挙に役立つからといって、内乱主犯との「共謀」も、非民主的な候補の交替もためらわない。価値観とビジョンも持たず、ひたすら権力闘争にばかり没頭する韓国保守政党の素顔だ。

チェ・ヘジョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1196195.html韓国語原文入力:2025-05-07 16:11
訳D.K

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