最大野党「共に民主党」から大統領選に出馬するイ・ジェミョン候補の公職選挙法違反事件での最高裁による超高速裁判に対し、裁判所内部からの批判が相次いでいる。7日には、最高裁判事たちを批判するとともに、チョ・ヒデ最高裁長官の辞任、全国裁判官会議の招集などを求める声があがった。
■「司法府の政治的中立を傷つけたチョ・ヒデは責任取るべき」
ソウル中央地裁のキム・ジュオク部長判事は7日、裁判所内部の通信網(コートネット)に「チョ・ヒデ最高裁長官は職を辞し、ソウル高等裁判所は公判期日を変更すべきだ」と題する主張を投稿し、その中で「チョ・ヒデ最高裁長官は反イ・ジェミョンの政治闘争の先鋒となった」と批判した。キム部長判事はイ候補に対する上告審での判決言い渡し過程に言及しつつ、「誰もが予測できるこのような相反する反応を、いくら何でもチョ・ヒデ最高裁長官は予想できなかったのだろうか」とし、「イ・ジェミョンの候補資格を剥奪できる、少なくとも有権者の判断に影響を与えて落選させられると信じたため、司法府の命運をかけて過半数の議席を掌握している政党の最も有力な大統領候補と勝負するという巨大な冒険に打って出ようと決めた、とみるのが合理的推論」だと述べた。
キム部長判事は「最高裁が候補者に対して有罪判決を下したからといって多数の有権者が支持を撤回するだろうと信じるのは、誤った判断であり傲慢だ。最高裁の高い法壇に座って高尚な儀典に染まって自身を過大評価したもの」とし、「独善と誇大妄想に陥って安易な状況認識で勝算なき戦いに打って出た最高裁長官と、それに同調した最高裁判事たちの行いには、本当に失望する」と述べた。
続けて「いったい、個別事件の手続きと結論に対して、最高裁長官がこれほど積極的に介入した前例があるのか。裁判官(最高裁判事を含む)の独立性に対する最高裁長官の侵害がこれほど露骨なことがあったか」と問いつつ、「司法府はいまや過半数議席によって左右される議会権力の敵となった」と指摘した。続けて「最高裁長官の政治的信念に、司法府全体が人質として動員されてはならない」と強調した。
さらに「司法府は最高裁長官の私組織ではない」とし、「司法府の政治的中立性に対する釈明しえない疑いに対して、最高裁長官は責任を取るべきだ。謝罪し、辞任すべきだ」と述べた。キム部長判事は「最高裁長官の個人的、政治的逸脱が司法府全体の政治的中立性に対する国民的不信を招くとともに、構成員全体の地位を脅かしているという現状を打開する方法は、内部で誤りを正す道しかない」とし、「全国裁判官代表会議は直ちに臨時会議を招集して現事態について診断するとともに、最高裁長官に対する辞任勧告を含め、国民的信頼を回復する方策について議論すべきだ」と強調した。
■「検察が選り好みで起訴したら、裁判所は従わなければならないのか」
釜山(プサン)地方裁判所東部支院のノ・ヘンナム部長判事はこの日、「それでもあなたは最高裁判事ですか」と題する投稿で、「これが本当にまともな裁判の姿、まともな裁判官の姿なのか」と批判した。ノ部長判事は「前回の選挙の過程で対立候補だった尹錫悦(ユン・ソクヨル)は、一つの偽りもなくひたすら事実と真実のみを語ったのか」として、「検察が起訴権を乱用し選り好みで特定の人間を起訴したら、裁判所はそれに従わなければならないのか」と問いかけた。
続けて「本当にその被告人の数年前の発言は、平和な大韓民国に戒厳令を宣布して全国民を恐怖で震えあがらせた前大統領の行為より悪辣なのか」とも述べた。ノ部長判事は「この国に住む市民には日常がある。借金の利子と疲れた月曜日が無限に繰り返される、特別なことのない日常だ」とし、「大韓民国の市民はこのような取るに足らない日常さえまともに享受できず、冷たいアスファルトの地面に座って内乱の終息を叫ばなければならないのか」と述べた。
ノ部長判事は、かつて労働法律事務所で働いていた時期に解雇労働者として出会ったイ・スギョン最高裁判事との縁に言及しつつ、「会社の不当な解雇措置に立ち向かい、一人で闘っていた20代のあの人は、今どこにいるのか。あなたは特定の人物が絶対に大統領にならないようにするための、そして対立候補を必ず大統領にするための、最高裁長官の手足となったのか」と記した。
さらに「チョ・ヒデ最高裁長官がどんなことをしようが、最高裁がいかなる判決を下そうが、一人二人の判事が批判するだけで、ほとんどの判事は対岸の火事を見ているようであり、全国裁判官代表会議すら沈黙しているのだから、最高裁長官はどれほど心強いことか」とし、「裁判官代表会議は判事の親睦団体なのか。絶対多数の判事がこのように沈黙している現実はあまりにも奇怪だ」と述べた。