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ソウルのマンションに「旧住民」が放火…容疑者死亡、13人負傷

登録:2025-04-22 08:03 修正:2025-04-22 10:08
21日午前に放火されたソウル冠岳区奉天洞のマンションで、調査が行われている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル冠岳区奉天洞(クァナック・ポンチョンドン)のマンションで放火事件が発生し、10人あまりの住民が全身火傷、転倒、呼吸困難などの重軽傷を負った。60代の容疑者は火災現場で遺体で発見された。警察と住民は、容疑者は昨年11月までこのマンションに住んでおり、居住中に上の階の住民と騒音問題で対立があったと説明した。

 21日の冠岳消防署と警察の説明を総合すると、この日午前8時18分ごろ、奉天洞の21階建てのマンションの4階の401号室と404号室が放火され、相次いで火災が発生した。火は約1時間36分後の午前9時54分ごろに消し止められた。この日確認された人命被害は14人。容疑者のA氏(61)が火災の発生した4階で死亡しているのが発見されたほか、4階から転落した70~80代の女性2人が全身にやけどを負うなどしていたため病院に運ばれた。転倒、煙の吸入などの軽症で4人が病院に運ばれ、単純な煙の吸入で7人が現場で治療を受けた。警察は、A氏が農薬散布機と推定される道具を用いてマンションに火をつけたとみている。

 A氏は同マンションの301号室に居住していたが、昨年11月初めに約1.4キロ離れたヴィラ(低層の集合住宅)に転居していたことが把握された。マンションに住んでいた頃は、上の階の住民と騒音問題で対立していたという。同じ棟の4階に住むイ・ヨンゴンさん(72)は「301号室(A氏)が昨年初夏に引っ越してきてから、ハンマーでたたくようなドンドンという音がよく聞こえてきた」とし、「401号室の一人暮らしの女性と大声で罵倒し合いながらけんかするのを見たことがある」と話した。

 冠岳警察署は、昨年9月ごろに騒音問題でA氏と上の階の住民がけんかになり、警察が出動したことがあったが、両者ともに処罰を望まなかったことから終結処分したと述べた。A氏の隣人だったという同マンション3階の住民は、「廊下側の窓のある部屋に火をつけた」とし、「(騒音問題で報復するために)戻ってきて犯行を起こしたようだ」と話した。

 ヴィラに転居後もA氏の異常な行動は続いていたとみられる。この日、ハンギョレが訪ねたA氏のヴィラの1階には「壁に手を触れないでください。ケ××め」という落書きがされており、住民によるとA氏が書いたものだという。ヴィラの隣人のSさんは「血圧が少しでも上がると悪態をついていた。老若男女関係なしに、通り過ぎる人々に激しい言動を示した」と述べつつも、「今年初めから病気の母親と一緒に暮らしはじめ、静かになっていたのだが、このようなことが起きて当惑している」と話した。A氏はマンションに火をつける10分あまり前の午前8時6分ごろ、自宅のそばで農薬散布機で火をつけ、警察に通報された。A氏の自宅からは「すまない、母をよろしく頼む」という内容の遺書が発見された。

 被害にあった住民の一部は、脱出手段が見つからなかったため避難できなかった。火災が発生したマンションの19階に住むクォン・オッキョンさん(64)は、「このマンションには緩降機がないため、ある年配の女性は4階からアンテナ線をつかんで下りてこようとして、途中で落ちたと聞いた」と話した。冠岳消防署は「火災が発生したマンションには緩降機が設置されていなかった」とし、「スプリンクラーは設置されていたが、(火災時に)作動したかは調査中」と語った。1992年の消防法改正でマンションへの緩降機の設置が義務付けられたが、事故現場のような廊下式マンション(一つの階に複数世帯が並んでいるマンション)には例外が適用されている。警察はA氏の家族などの周囲の人々に、正確な放火の経緯などの事情を聴いている。

イ・ジヘ、コ・ナリン、キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1193531.html韓国語原文入力:2025-04-21 17:45
訳D.K

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