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K-POP危機論…BTS・SEVENTEEN・BLACKPINKの復帰は答か?

登録:2025-04-22 07:25 修正:2025-04-22 09:57
12日、中国海南省のウォーターナイトのイベントで公演中のガールズグループ「BLACKSWAN」。最近中国でK-POP歌手の公演が少しずつ開催されており、限韓令解除への期待が高まっている=DRミュージック提供//ハンギョレ新聞社

 「このままだと大手プロダクション数社だけが残り、中小のプロダクションは生き残ることが難しいだろう。誇張ではない」

 最近、ハンギョレの取材を受けた中堅のK-POP事務所の関係者の話だ。同関係者は、昨年末から業界で出始めた「K-POP危機論」が「今年に入り、現実になっている」と述べた。

 K-POPの危機はすでに昨年、10年ぶりに下落したアルバム販売数の減少によって立証されている。2023年に史上初めて1億枚を突破したK-POPのアルバム販売数は、昨年は9300万枚と約19%減少した。アルバム販売は、プロダクション全体の売上の30~50%を占める絶対的な指標だ。

 今年の状況は昨年よりさらに深刻だ。21日付のハントチャート基準で、初動(発売後1週間)販売で100万枚を超えたアルバムは4作にすぎない。200万枚を超えたアルバムは1作もない。減少傾向をみせた昨年でさえ、初動販売数が100万枚以上のアルバムは22作、200万枚以上のアルバムは4作、300万枚以上のアルバムは1作あった。誇張ではないという話は、理由もなく出てきたのではない。

 「ビッグ・プレーヤー」の不在が第1の理由に選ばれる。防弾少年団(BTS)がメンバーの軍服務による空白期間が続いているところに、2022年だけで1000万枚を売ったグループであるSEVENTEENも、メンバーの入隊とともに「軍白期(軍服務による空白期)」に突入した。ソロ活動に重点を置いているBLACKPINKも、ここ最近は新アルバムの情報はない。

 大衆音楽評論家のイム・ヒユン氏は「2020年にBTSの『Dynamite』が爆発的な人気となった後、その余波でK-POPの世界的な人気が続き、最近になって下り坂に入った雰囲気が感じられる」として、「いわゆる、ビッグ・プレーヤーの不在を埋める次世代グループが、ファンダムを超えた大衆的な広がりをみせられずにいる」と分析した。

NewJeansのメンバーが3月7日、ソウル中央地裁で開かれた初の尋問期日に参加した後、裁判所を出て取材団の取材に応じている。左側からハニ、ミンジ、ヘイン、ヘリン、ダニエル=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 ちょうど1年前の昨年4月22日、ADORのミン・ヒジン前代表に対する監査着手によって触発されたHYBEとミン・ヒジン前代表との対立が長期化の局面に入ったことも、原因として挙げられる。最近の裁判所による仮処分決定後、NewJeansの活動中断まで続いている状況は、さらに良くなかった。イム氏は「大人気だったNewJeansの活動中断に加え、昨年に国会の国政監査で暴露された『アイドル内部報告書』まで重なり、K-POPのリーディング・グループであるHYBEが、実績はもちろんイメージまで打撃を受けたことは事実」だとして、「このような否定的な影響が、HYBEの他のグループはもちろん、業界全体にまで及ぼしている」と述べた。実際にHYBEは昨年、営業利益が前年比で38%減少し、2020年の上場後、初めての年間の当期純利益の赤字を記録した。

 カカオでは、創業者のキム・ボムス氏を含む主な経営陣が、SMエンターテインメント買収関連の株価操作疑惑で、現在裁判にかけられている。最近では、SM、スターシップ、EDAMなどのK-POPプロダクションを多く率いているカカオエンターテインメントの売却説まで広まった。

メンバーの軍服務が始まったグループ「SEVENTEEN」=PLEDISエンターテインメント提供//ハンギョレ新聞社

 対外的な要因としては、日本と中国での販売減少が論じられている。K-POPアルバムの相当数が公式の輸出ではなく、直接購入、代理購入、ファンクラブによる団体購入のような形式で国外に渡っているが、大きな比重を占めている日本と中国での販売が急減していると言われている。ある企画社の関係者は「日本でK-POPを標ぼうした自国のアイドルが次から次に出てきて人気を得ており、中国は不景気に加えて限韓令まで重なり、アルバム販売が増える兆しがみえない」として、「プロダクションが米国市場だけに目を向けざるをえない構造に向かっている」と述べた。最近、中国本土で8年ぶりに韓国の3人組ヒップホップグループ「HOMIES」が公演するなど、限韓令解除に対する期待感が少しずつ高まっているのは事実だが、過度な期待は禁物だというのが、業界関係者らの意見だ。

 現在の危機にうまく対処し、K-POPが持続可能なモデルとして定着するよう、禍を転じて福と為すきっかけにする必要があるという助言も出ている。韓国輸出入銀行海外経済研究所のキム・ユンジ首席研究員は「(アルバム販売の減少は)むしろ、これまで押し出し(アルバムの初動販売枚数の強引な引き上げ)疑惑まで持たれ、世界的に有害さが強まっていたK-POPのアルバム販売のバブルがはじけて正常化している過程だと解釈できる」として、「公演やIPの売上などを引き上げ、バランスを取っていかなければならない」と述べた。

現在、メンバーがソロ活動中のBLACKPINK=YGエンターテインメント提供//ハンギョレ新聞社

 長期的には、音楽的コンセプトの変化も考えなければならないという指摘もある。イム氏は「非現実的なビジュアルを前面に出し、ファンダムを中心に成長したK-POP産業は、いまやグローバル市場での限界が明確になっている」として、「BTSのジョングクのソロの事例のように、いかにしてポップの本場である英米圏で人気を得られるのか、根本的に考えなければならない」と述べた。

イ・ジョングク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/music/1193473.html韓国語原文入力:2025-04-21 20:12
訳M.S

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