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韓国の梨花女子大で極右「学生証を見せてくれ、中国人か」また騒動【現場】

登録:2025-02-27 00:21 修正:2025-02-27 07:27
26日午前、ソウル西大門区の梨花女子大学の大講堂前で、自由民主主義を守る梨花人連合のメンバーと、梨花女子大緊急行動を準備する在学生や卒業生が、それぞれ弾劾反対と尹大統領の罷免を求めるプラカードを手にデモしている=キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

 2016年に警察による鎮圧に立ち向かった学生たちに歌われた、アイドルグループ「少女時代」の曲「Into The New World(再び出会った世界)」の広がりとともに、梨花女子大学は大学界隈の平和的抵抗の象徴となった。その梨花女子大学が26日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持者たちの暴力で染め上げられた。「解放梨花でクーデターを擁護するとは何事か」、「弾劾賛成2437票の学生総会精神を守ろう」と記された学生たちのプラカードは尹錫悦弾劾反対を叫ぶ支持者たちに踏みにじられ、破壊された。梨花女子大の学生たちは嫌悪発言と個人攻撃に「恐い」と述べつつも、ためらうことなく「極右勢力出て行け!」と叫んだ。

 梨花女子大で衝突が起きたのは、この日午前に尹大統領の支持を標ぼうする一部の学生が「梨花弾劾反対時局宣言」を行うとしていたからだ。この日、弾劾反対時局宣言記者会見に登場した学生は30人ほどだったが、学生ではない尹大統領の支持者も学内に集まった。彼らは「内乱工作勢力が存在する」とか、「スパイ勢力があちこちにいる」など、前日の弾劾審判の最後弁論での尹大統領の主張を繰り返した。このような動きを阻むため、尹大統領の罷免を求める学生たちも「緊急行動」という名を掲げて学内の大講堂前に集まった。

 この日の梨花女子大の弾劾反対の動きは、近ごろ「自由大学」という団体が中心となって各大学のキャンパスで展開されている尹大統領支持時局宣言の一環だ。尹大統領は前日の最終弁論でも「青年」という単語を7回用いつつ、「私の真の気持ちを理解してくれる」、「状況を直視して国の防衛に立ち上がり」などと述べ、自身に対する青年層の支持の動きをあおっている。各大学は、支持時局宣言の度に起きるキャンパス内の衝突に苦慮している。

 梨花女子大学当局は当初、衝突を懸念して午前8時から部外者の立ち入りを禁止し、学生証などで身元が確認された者のみを正門内に入れていた。しかし、集まった尹大統領支持派の学生たちが正門の方へと移動し、外にいた極右ユーチューバーらの勢力と合流したことで、あっという間に警備は崩壊した。ある極右ユーチューバーは車を運転して正門から押し入ろうとし、興奮した状態で正門の柵を乱暴に揺らしながら「なぜ入れないのか」と大声をあげる人もいた。

26日午前、ソウル西大門区の梨花女子大学正門前。尹錫悦大統領弾劾反対派の集会参加者たち=キム・ガユン記者//ハンギョレ新聞社

 この過程で学生たちは極度の恐怖を感じたという。この日、尹大統領の支持者たちに何度も「学生証を見せてほしい」とか「中国人か」と言われたという在学生のLさんは、「つえで殴ってくる人もいたし、カメラを顔に近づけて威嚇されたりもして、友人と親に身の回りの安全を心配されている」と話した。

 今年の新入生のKさん(19)は、「心の準備をしてきたが、実際に経験してみると衝撃的」だとして、「『八つ裂きにして殺す』という発言まであったが、それは表現の自由とは言えない。外部の人まで暴れるというのは、なおさら容認できない」と批判した。大学当局は前日、ハンギョレに「警察の投入はせず、独自に対処する」と説明していたが、衝突が起きると結局は警察が投入された。

 学生たちは恐怖の中でも声をあげるのをやめなかった。哲学科に在学中の2017年入学のソン・チェリンさんは、「極右勢力の動きが日増しに激しくなってきている。尹錫悦の口となって内乱を擁護し、あらゆる嫌悪発言を吐き出している」として、「それに立ち向かうのは賛否対立でも、左右対立でもない。民主と反民主の戦いであり、常識と非常識の戦い」だと述べだ。

 この日午後、学生たちと歴代総学生会長団は、12・3内乱を糾弾する2度目の時局宣言を発表し、「戒厳を擁護する者たちによる、私たちの抵抗の言葉を盗む試みに怒る」として、「民主主義と解放の歴史を最後まで守ろう」と叫んだ。時局宣言が発表されている間、学内には「Into The New World」が流れた。

キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1184355.html韓国語原文入力:2025-02-26 16:25
訳D.K

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