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「極右青年の声、過大に代表…明確な反対で公論の場を満たすべき」=韓国

登録:2025-01-24 07:12 修正:2025-01-24 09:48
尹錫悦大統領の支持者たちが18日、公捜処の関係者が乗った車両を取り囲み進行を妨害している=コ・ナリン記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣言した後、うごめきだした極右勢力がソウル西部地裁での暴力事態に至り、20~30代男性の極右化に対する懸念が強まっている。しかし専門家らは、20~30代男性の多数が極右化したという認識は無理のある診断であり、このようなレッテルを貼るのはむしろ彼らを右傾化させる可能性があると指摘した。

 20~30代男性が各種のヘイト(憎悪)の言説の主軸として活動していることは事実だが、彼らが違憲的な非常戒厳を擁護する「内乱同調」の先鋒に立ったとみなすほどの根拠はない。現時点では、20~30代の性別ごとの尹大統領弾劾の賛否を分析した資料はなく、非常戒厳後の20~30代の弾劾賛成の世論は反対より多いためだ。

 全国指標調査(NBS)の結果によると、国会で尹大統領の弾劾訴追案が可決された後に実施された昨年12月第3週の弾劾反対の回答は、20代で15%、30代で13%にすぎなかった。1カ月後の今年1月第3週には、弾劾反対の回答は20代で20%、30代で26%に増加したが、これは50代(34%)、60代(48%)、70代以上(69%)と比較すると依然として低い割合だ。1カ月間に弾劾反対の回答が最も多く増えた年代は、70代以上(30ポイント上昇)と60代(27ポイント上昇)だった。

 むしろ問題は、20~30代の「極右男性」の過大な代表性だ。専門家らは、極右的な指向を持つ少数だけをみて20~30代男性の多数が極右だと結論を下すことは、逆に極右の影響力を高める可能性があると警告する。中央大学のシン・ジヌク教授(社会学)は「男性が多数を占めるオンライン・コミュニティのコミュニケーションの様子をみると、少数の行動主義者が積極的な極右言説を生産し、多数の男性は同意するにせよしないにせよ、消極的に傍観する傾向を示す」として、「極右の男性たちが同年代の集団内のヘゲモニーを握っている状況で20~30代の男性を悪魔化する議論は、非極右の男性たちに自らを少数派だという認識を持たせてしまう」と指摘した。

 このような状況が続く場合、20~30代男性全体の極右化を引き起こすという懸念もある。20~30代男性の多数は、反フェミニズムの感情も、様々な事案での進歩的な傾向もあるという矛盾した認識を示しているが、12・3内乱事態をきっかけに、彼らが極右的な同年代の集団側に引きずり込まれてしまうリスクが高いというわけだ。極右政治を研究する成均館大学「良い民主主義研究センター」のファン・インジョン専任研究員は「若い男性たちには反フェミニズムで保守化する傾向がみられるが、少なくとも反共思想を身をもって経験した世代ではない」とし、「しかし、極右のナラティブにさらされ続けると、傍観している20~30代男性たちも影響を受けかねない」と述べた。

 与党「国民の力」側が、「聖戦に参戦するアスファルトの十字軍」発言のような西部地裁での暴力事態に加担した被疑者を擁護するメッセージを出すことが危険な理由も、これにあたる。極右的な行動に、政界の主流が事実上の正当性を付与して後押しし、支持基盤として利用しようとする試みであるためだ。

 答えは、極右的な言動に対しては断固たる反対意見で公論の場を満たすことだ。ファン研究員は「国会議員と公党は、『暴力はいけない』というレベルの原則的なメッセージを超えて、極右と明確に距離を置く必要がある」とし、「欧州社会もナチスの集会が一度でも開かれた場合は、より多くの人たちが広場で『あなたたちは少数』だということを示す行動で対抗している」と述べた。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1179356.html韓国語原文入力:2025-01-23 14:41
訳M.S

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