高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が17日午後5時40分頃、内乱首謀の容疑で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状を請求した。現職大統領に拘束令状が請求されたのは憲政史上尹大統領が初めて。拘束令状が発付されれば、公捜処は尹大統領を最大10日間取り調べた後、起訴権のある検察に事件を移牒する方針だ。
公捜処はこの日「尹大統領の拘束令状をソウル西部地裁に請求した」と明らかにした。尹大統領の拘束前被疑者尋問(令状実質審査)は早ければ今月18日にも開かれる。尹大統領は尋問に出席しない方針だという。
15日午前10時33分に逮捕された尹大統領は、公捜処検事らとの対面調査で陳述をほとんど拒否した。16日、17日の取り調べ要請には応じず、拘禁場所である京畿道儀旺市(ウィワンシ)のソウル拘置所から出てこなかった。公捜処の関係者は「この日午前10時に取り調べを求めたが、尹大統領は応じなかった」と語った。
尹大統領の逮捕期限は逮捕から48時間が経った同日午前10時33分までだったが、尹大統領側が逮捕適否審を請求したことで、同日午後9時5分まで延長された。尹大統領側がソウル中央地裁に請求した逮捕適否審は16日に棄却された。
拘束された後も、尹大統領は「調査拒否」を貫くものとみられる。尹大統領側は依然として、公捜処の内乱罪調査が不法であり、発付された令状も無効かつ違法だと主張しているためだ。このため、尹大統領が拘束された後は、公捜処は「強制拘引」、「獄中訪問」の2つの方法で尹大統領を取り調べるものとみられる。
逮捕された状態の強制拘引は規定と判例がなく、公捜処はこれまで強制拘引を考慮しなかった。しかし、拘束された状態では強制拘引ができるというのが最高裁の判例だ。最高裁は2013年7月、「拘束令状の発付により、適法に拘禁された被疑者が被疑者尋問のための出頭要求に応じず、捜査機関の調査室への出頭を拒否するならば、捜査機関はその拘束令状の効力により被疑者を調査室に拘引できるとみるべきだ」と判示した。
ただし、強制事項ではないうえ、尹大統領は現職の大統領で拘置所周辺に警護員も常駐しているため、公捜処が無理やり連れて行くことは事実上不可能だ。拘束されたキム・ヨンヒョン前国防部長官も、検察が強制拘引を試みたが失敗した。
最も現実的な代案は「獄中訪問」だ。朴槿恵(パク・クネ)元大統領と李明博(イ・ミョンバク)元大統領も捜査機関が拘置所などの場所を訪問し、取り調べを続けた。公捜処関係者は「様々な方法を考えている」と語った。
公捜処は最大20日にわたる拘束期間のうち10日ずつ検察と分けて使うことで事前に合意している。逮捕された2日を除けば、公捜処が最大で使える時間は拘束令状が発付されてから8日間。ただし、公捜処関係者は「さらに減ることも、増えることもありうる」と語った。
公捜処は今後12・3内乱事態に加担した主要軍指揮部の陳述をもとに取り調べを進めるものとみられる。公捜処は16日、前戒厳司令官のパク・アンス陸軍参謀総長、ヨ・インヒョン前国軍防諜司令官、クァク・チョングン前陸軍特殊戦司令官、イ・ジヌ前首都防衛司令官、ムン・サンホ前情報司令官らの被疑者尋問調書を検察から受け取った。