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「尹錫悦支持率40%」の世論調査の「秘訣」…偏った質問で支持層を結集させる方式

登録:2025-01-07 06:46 修正:2025-01-07 08:16
「国民の力」のナ・ギョンウォン議員をはじめとする議員たちが6日午後、ソウル龍山区の大統領官邸前で立場表明を行っている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が異常に高い世論調査の結果が、極右勢力と与党「国民の力」の支持層で共有され、世論の流れを歪曲している。

 6日、韓国世論評判研究所(KOPRA)が「アジアトゥデイ」の依頼で全国の18歳以上の1000人を対象に今月3~4日に行った調査(信頼水準95%、誤差範囲±3.1%、回答率4.7%)で、尹大統領の支持率は40%だった。問題は、この調査の設問設計が一般的な世論調査では見られないほど偏っていたという点だ。

 調査の質問を見ると、1番目の項目で尹大統領を支持するかどうかを、2番目の項目で支持する政党を尋ねている。3番目では「尹大統領に対する逮捕状の違法性をめぐり議論になっているにもかかわらず、高位公職者犯罪捜査処が現職大統領を強制連行することについてどう考えるか」という質問が続く。逮捕状が違法だと主張する尹大統領側の主張のみ言及し、それに関する見解を問うやり方だ。「尹大統領が非常戒厳宣言の理由として言及した中央選管委電算システムのハッキングおよび不正選挙の可能性に対する疑惑を解消するため、選管委の選挙システムに対する公開検証が必要だと考えるか」、「選管委の不正選挙疑惑を提起する行為に対して処罰する法案を発議することについてどう考えるか」という質問もある。正常な世論調査機関なら、特定のスタンスの回答者が過度に集まること(バイアス)を懸念し、避けるはずの質問方式だ。

 世論調査会社「STI」のイ・ジュンホ代表は「偏った質問が3つ続いているため、平均的な見解を持つ人は電話を切って離脱する確率が高く、同意する人だけが最後まで答えた可能性が高い」とし、「機関自らが調査する場合は、中央選挙世論調査審議委員会にアンケート質問を事前申告しなければならないが、報道機関の依頼は例外であるため、質問項目を事前に点検できない盲点がある」と語った。

 KOPRAが2022年から2023年までの2年間に実施した世論調査24件のうち、14件(58%)が非常戒厳の正当性を主張する(ユーチューブチャンネルの)「コ・ソングクTV」が依頼した調査だった点も注目に値する。調査を依頼した「アジアトゥデイ」は、コ・ソングク氏が主筆を務め、不正選挙関連疑惑を報道し続けてきた。

 偏った質問で世論調査を依頼して偏った結果を報道し、これを根拠に支持層を結集して全体世論を歪曲する方式は、政治ブローカーのミョン・テギュン氏が主に使ってきた世論操作のやり方だ。実際、この日「尹錫悦支持率40%」という見出しの「アジアトゥデイ」の記事を他のメディアが検証もせず取り上げ、極右ユーチューバーを中心に記事が拡散し、これに鼓舞された与党「国民の力」所属議員40人余りが龍山漢南洞(ヨンサン・ハンナムドン)の大統領官邸前に集まる場面もあった。

 中央大学のシン・ジヌク教授(社会学)は、「あからさまに票集操作をするやり方から、『操作する意図はなかった』と言い逃れできるように巧妙な方法でデータを歪曲する方向に操作が進化している」とし、「世論調査機関→メディア→政界→大衆動員につながる『世論操作ネットワーク』を断ち切らなければ、政治はこれからも歪曲されだろう」と指摘した。

 韓国記者協会と韓国PD連合会、全国言論労組など現職ジャーナリストによる8団体もこの日午後、記者会見を行い、「公正性と客観性が疑われる世論調査結果を検証なしに報道し、読者に『内乱首謀者尹錫悦の支持率40%』という混乱を招くのは問題だ」と述べた。

 共に民主党は同日、問題の世論調査を実施した韓国世論評判研究所を公職選挙法違反の疑いで告発する方針だと発表した。

チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1176606.html韓国語原文入力:2025-01-06 20:10
訳H.J

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