国会は26日の本会議で「ハン・ドクス首相弾劾訴追案」を報告し、27日に同案を採決に付すことを決めた。内乱罪の被疑者であるハン・ドクス大統領権限代行がこの日、「与野党が合意して案を提出するまで、憲法裁判官の任命を保留する」と表明したことを受けてのもの。12・3内乱事態を起こした尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の迅速な弾劾審判を求める圧倒的な民意と、この日までに憲法裁判官を任命せよとの国会の最後通告に、ハン代行が最後まで答えなかったことは、単なる国政正常化の責任の回避にとどまらない「第二の内乱画策」だとの批判を浴びている。
国会はこの日午後、本会議を開催し、国会が推薦枠を持つ3人の憲法裁判官の選出案を可決処理するとともに、「ハン・ドクス首相弾劾案」を報告した。野党「共に民主党」が推薦したマ・ウンヒョク、チョン・ゲソンの2人の候補と、与党「国民の力」が推薦したチョ・ハンチャン候補は、いずれも195の賛成票を得て「在籍議員の過半数の出席、過半数の賛成」という可決定足数(151人)を大幅に上回った。
民主党がこの日の本会議に弾劾案を提出したのは、ハン代行がこの日午前の緊急国民向け談話で「与野党の合意」を要求して、憲法裁判官の任命を拒否したからだ。野党による弾劾訴追推進に対し、ハン代行は「野党は、与野党の合意なしに憲法機関の任命という大統領の固有の権限を行使せよと大統領権限代行に迫っている」として、「与野党が合意して案を提出すれば直ちに憲法裁判官を任命する」と述べた。しかし、国会が推薦して「選出」した憲法裁判官を大統領権限代行が任命することは憲法の原則に反しない、というのが憲法裁判所と最高裁の判断だ。
国会は27日午後2時に開催される本会議で、ハン代行の弾劾案の採決を行う予定だ。大統領権限代行の弾劾訴追は前例がないが、ハン代行は尹大統領の乱した憲政秩序を収拾するというより混乱を深刻化させている、との判断にもとづくもの。この日、キム・ヨンヒョン前国防部長官の代理人が「12・3非常戒厳を建議する前にハン・ドクス首相に事前に報告した」と主張したことで、野党はさらにハン代行の弾劾の大義名分を得た。
民主党のパク・チャンデ院内代表はハン代行の談話の直後に発表した声明で、「権限代行ではなく内乱代行であることを認めた談話だった」とし、「キム前長官の代理人の会見で、ハン首相が内乱の要となる主要任務の従事者であることがはっきりした。ハン首相は権限を代行する資格も、憲法を守る意志もないことが明らかになった」と批判した。民主党は、ハン代行が内乱常設特検候補の推薦を依頼しなかったのは職務放棄だとして、27日に警察国家捜査本部に告発することを決めた。
ウ・ウォンシク国会議長はこの日、「国会選出の憲法裁判官の任命の遅延や拒否には大義名分がない」として、「大統領権限代行は憲法と法律、国民の常識に合致するよう、責任を果たさなければならない。大韓民国の国民からみて、不安定さを低下させる方向の決断がなければならない」と述べた。そして「法の定める手続きの履行をめぐって、もうひとつ国政の混乱を引き起こすことがあってはならない」と強調した。ウ議長もやはり、ハン代行の「国憲を乱す」態度にブレーキをかける考えを表明したのだ。
市民社会団体も、ハン代行の職務放棄は度を越していると糾弾した。市民団体「参与連帯」はこの日の論評で、「ハン代行は内乱の加担者であるにもかかわらず、国政の混乱をできる限り抑えるために権限を代行することになったということを忘却し、国民に抗って弾劾および内乱捜査を妨害するとは話にならない」と批判した。