初めての旅でナビゲーションを信じて従い事故に遭った場合、ナビゲーションに責任を問うことはできるのだろうか。
インドで発生した自動車墜落事故の後、「ナビゲーションアプリに責任を問えるか」をめぐり論争が勃発した。英国BBCが28日(現地時間)報じた。24日に初めての旅で北部ウッタル・プラデーシュ州のローカル道路を走っていたある運転手は、グーグルマップの案内に従い、工事中の橋の末端の途切れた部分に向かって走っていき、15メートル下に墜落して同乗者2人とともに死亡した。この橋は昨年発生した洪水で一部が切断され、復旧工事中だった。地元メディアの記者はXに「濃い霧によって未完成の橋は見えなかった」として、「グーグルマップの恐怖」だと述べた。
この悲劇的な事故は、インドの劣悪な道路インフラ事情を批判する声とともに、ナビアプリの責任はどこまでなのかについて、インド社会に論争を投げかけた。アプリが正確な情報を提供しないことが事故の発端だという意見と、政府が橋を適切に封鎖しなかったことが事故につながったという意見が同時に噴出している。捜査当局は橋の入口に工事中であることを示す案内板や進入を防ぐバリケードなどが適切に設置されていなかったとして、工事関係者4人とグーグル職員1人を調査していることを明らかにした。グーグルも声明で、調査に協力していると表明した。
問題は、同様の事故が繰り返されていることだ。2021年にマハーラーシュトラ州のある男性が、アプリが案内する地図に従い、ダムに突進して溺死した事件が発生した。昨年には、ケララ州で2人の若い医師が車を運転して川に落ちて死亡することもあった。捜査当局は当時、道路が浸水した場合はアプリに頼りすぎないよう警告した。グーグルマップはインドで最も人気のあるナビアプリで、使用者は6000万人、1日約5000万件以上検索されていると、BBCは報じた。
グーグルマップはGPS(衛星航法装置)の信号を受信して位置の変化を追跡する。政府やユーザーから交通渋滞や閉鎖に関する情報を共有され、地図に反映する方式で運営されている。グーグルマップの元従業員アシシュ・ナイルさんはBBCに「毎日大量に寄せられる苦情に対処する人手が不足しているため、交通量の多い場所に関する苦情や当局から通知された情報が優先される」として、「(インド)政府がデータの収集と共有にもっと能動的にならない限り、不正確な地図が今後も提供され続ける」と述べた。ナイルさんは、グーグルはサービスの利用規約を通じて「ユーザーが道路上で自身の判断を適用する必要があること、アプリが提供する情報が実際の状況と異なる場合があること」を明示していると説明し、「事故の責任を問うことはできない」と主張した。
一方、弁護士のサイマ・カーンさんは「インドの情報技術(IT)法はデジタルプラットフォームに『仲介者』としての地位を与えているため、アプリは法的責任から守られている」としながらも、「正確でタイムリーな情報が提供されているにもかかわらず、プラットフォーム側がデータを修正しなかったと証明されれば、過失責任を問われる可能性がある」と述べた。