「一部の日本人は私たちに『日本軍慰安婦についてはすでに韓国に謝罪したので、もう問題はない』と主張する。韓国に聞いてみろといわんばかりだ。ところが、それよりさらに気になるのは、韓国はなぜこのような事態に対応をしないのかだ」
イタリアのサルデーニャ島の州都であるサッサリから来たロザマリア・カイアッツァ(Rosamaria Caiazza)さん(65)は、サッサリから約100キロメートル離れた海辺の休養都市スティンティーノ市に今年6月「平和の少女像」(以下少女像)を建てた一員だ。長年の友人であるスティンティーノ市のリタ・リンバニア・バッレベッラ市長と共に、日本軍「慰安婦」問題を女性の普遍的人権問題として捉え、スティンティーノを訪れる観光客にこの問題を知らせるために努力してきた。14日、ソウル麻浦区城山洞(マポグ・ソンサンドン)の「戦争と女性人権博物館」で会ったカイアッツァさんは、少女像をめぐる日本の一部勢力の脅威が続いていると語った。同時に、韓国政府が反応を示さないことについて疑問を感じるとも話した。
ForestellaとBTSファンとして慰安婦に関心
像建立後、日本側から脅迫メールと小包殺到
「共同通信の『文言変更検討』は事実ではない
何の反応もない韓国政府に疑問感じる」
外交部「政府が関与するのは望ましくない」
「日本の嫌韓・極右勢力が市長と市関係者たち宛てに脅迫メールをはじめ、関連内容が書かれた手紙や品物などを小包で送ってくる。韓国軍はベトナム戦争でもっと酷いことをしたという。そして、駐イタリア韓国大使館に立場を聞いてみろと言われた。ところが、韓国側からは何の返事もなかった」
そして、スティンティーノ市が(日本の主張を踏まえ)文言の変更を検討する意向を示したと共同通信などが報じたが、これは事実ではないと付け加えた。カイアッツァさんは「(このような脅威は)一種の脅迫、ストーキングだと思う。イタリアの人々はもっと否定的に捉えている」と強調した。イタリアメディアの「イル・フォッリョ」は6月24日、「戦争の被害女性たちの悲劇を巡る『政治的な操作』が、先週土曜日にサルデーニャに建てられた少女像でそのまま現れている」と報道した。韓国外交部は18日、ハンギョレに「少女像の設置は地域と市民社会など民間の自発的な動きであり、韓日政府が関与するのは望ましくない」と答えた。
スティンティーノの少女像は、2013年に米カリフォルニア州グレンデール市立公園の公立図書館前に建てられて以来、海外で建てられた14体目の少女像。欧州では、ドイツのベルリン以来、公有地に設置されたものとしては2体目。スティンティーノの少女像には、韓国語の他にもイタリア語と英語で書かれた碑文が別途の案内板として設置されている。この碑文には、日本軍が第二次世界大戦当時、アジア太平洋地域で数多くの少女と女性たちを強制的に連れて行き軍隊の性奴隷として利用し、少女像はこの被害者たちを記憶する象徴だと書かれている。日本側はこの少女像の除幕式前から反対の声をあげてきたが、少女像は5カ月間揺るぎなくその場を守っている。少女像を見た現地の人々や世界の観光客の反応はどうかという質問に、カイアッツァさんは「イタリア人の反応も世界の人々と似ている。先進国だと思っていた日本の国家主導犯罪を知って驚き、まだ解決していない問題なので驚く」とし、「ソーシャルメディアを通じてさらに広く知られているようだ」と語った。カイアッツァさんはギリシャとスイスの都市にも少女像をさらに設置することについて協議している。韓国の海が見える都市と自分が住むサッサリの姉妹都市提携も進めている。
カイアッツァさんはローマ近郊で生まれたが、軍人だった父親とともにサルデーニャ島で50年間暮らした。教師として25年間働いた後、3年前から韓国とイタリアの文化を伝えるウェブマガジン「コタリア」の編集人を務めている。カイアッツァさんが少女像の建立にこれほどまで情熱を注ぐのは、韓国に対する愛情のためだ。ファッションの国イタリア人らしく韓国のファッションに関心があり、K-POPスターの中でForestella(フォレステラ)のカン・ヒョンホと防弾少年団(BTS)のジョングクの大ファンだ。記者に彼らの写真を見せながら笑顔を絶やさなかったカイアッツァさんは、韓服(韓国の伝統衣装)を着て雪岳山(ソラクサン)を登山するなど、韓国の多様な面をより深く学んでいる。韓国の桜の花咲く春先と紅葉が美しく染まった秋を見に訪れた昨年、戦争と女性人権博物館に立ち寄り、日本軍「慰安婦」被害の真実もさらに深く調べたという。
水曜デモで「韓日を越えた女性の人権問題
被害者のそばで共に歩んでいく」連帯発言
カイアッツァさんと交流し、少女像の設置を手助けしたペク・クァンヨル前延世大学気候金融研究院長は同日、インタビューに同席し、「(カイアッツァさんは)博物館に来る前から日本軍『慰安婦』問題について知っていた」とし、「韓国はヨーロッパと遠く離れているが、ヨーロッパ人にとって身近な国」だと強調した。
カイアッツァさんは日本軍「慰安婦」被害問題が韓日両国の問題を越える女性の人権の象徴だと強調した。13日にソウル鍾路区の旧日本大使館前で開かれた第1674回水曜デモでは、イタリア語で「私たちは沈黙しない」とし、「被害者たちのそばに立って連帯しなければならない。苦痛を受けてきた人々に、正義が正当な認定と尊重をもたらすことを望む。私たちはこの道を共に歩んでいく」という連帯発言を残した。