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「半導体は冬ではないが、サムスン電子は冬」…第4四半期も暗い見通し=韓国

登録:2024-10-09 19:26 修正:2024-10-10 07:46
サムスン電子瑞草社屋/聯合ニュース

 サムスン電子の今年第3四半期の営業利益は9兆ウォン(約1兆円)余りに止まったことが分かった。「人工知能(AI)による半導体好況」局面にもかかわらず、実績回復を維持できず「ひとり後退」した。AIチップに用いられる高帯域幅メモリー(HBM)競争で苦戦しているうえ、様々な対内外的悪材料まで襲った結果とみられる。さらに、好況時に積み上げておかなければならない「実弾」も期待に届かず、サムスン電子の中長期見通しも一段と暗くなったという評価だ。「6万電子」(同社の株価が6万ウォン台まで下がったことを言う)に危険な状況が続くと、経営陣も異例に「反省文」を出した。

■ 半導体好況にもかかわらず「ひとりアーニングショック」の理由は

 サムスン電子が8日に発表した暫定実績によれば、会社は今年第3四半期(7~9月)、売上79兆ウォン(約8.7兆円)、営業利益9兆1千億ウォン(約1兆円)を記録した。売上は直前四半期より7%増えた反面、営業利益は13%減少した。サムスン電子の営業利益が後退したのは、今年の半導体好況局面に入って以来初めてだ。

 今回の実績は、すでに低くなった市場の展望値すら満たしていない。これに先立って13~14兆ウォン水準の営業利益を予想してきた各証券会社は、先月から展望値を10兆ウォン台に下方修正してきた。金融情報業者のFnGuide(エフアンドガイド)が前日集計した証券会社らの展望値の平均は営業利益10兆7717億ウォンだった。

 業績悪化は主に半導体事業が苦戦した影響とみられる。証券会社らは半導体(DS)部門の営業利益が第2四半期の6兆4510億ウォンから第3四半期には4兆ウォン台に下がったものと推定している。まず成果給(OPI)関連引当金が一部反映され、第2四半期に営業利益を1兆ウォン以上押し上げた在庫資産評価損失の戻し入れ規模も第3四半期には縮小されるなど、一過性の要因が作用したとの分析が多い。在庫資産評価損失の戻し入れとは、先に下落した在庫の時価が再び上がる時、これを会計上の利益として反映することを指す。ウォン相場の下落傾向も実績を引き下げたとみられる。

 サムスンの半導体の技術競争力の弱さも今回の実績ではっきりしたという評価だ。ひとまずAIチップに用いられるHBMの不振が目につく。サムスン電子はこの日「5世代高帯域幅メモリー(HBM3E)の場合、主要顧客会社を相手にした事業化が遅れている」と明らかにした。依然として米国のエヌビディア(NVIDIA)に大量納品できずにいるという意味と解釈される。メモリー好況の「AI偏重」現象が進んでいる点を考慮すれば、その深刻さは大きい。最近になってAIを除いたスマートフォン・パソコンでは需要萎縮の長期化と中国の低価格攻勢が重なり、業況が衰えている。

 ファウンドリ(半導体受託生産)の赤字も続いた可能性が高い。証券街は、メモリー事業部が出した5兆ウォン台の利益をファウンドリが1兆ウォン以上食いつぶしたとみている。依然として収率(良品の割合)が低すぎて、製品を作るほど赤字が増える構造だというのが専門家たちの診断だ。

■ 第4四半期以降も「曇り」…経営陣も異例の謝罪

 今年第4四半期以降の見通しも明るくない。実績不振の原因として指摘されたHBMやファウンドリを短期間に改善することは難しいという評価が支配的だ。証券会社らも期待値を下げている。最近出たサムスン電子の第4四半期の営業利益展望値は12兆ウォン台で、1カ月前に14兆ウォン台だったことに比べ落差が大きい。

 メモリー好況が真っ最中の時点で、実績回復が停滞している点も注目に値する。半導体製造業は着実な大規模投資が必須であるだけに、好況時に資金を十分に確保しておくことが重要だが、今回実弾準備にブレーキがかかったためだ。サムスン電子はかつて、半導体好況期に最大50兆ウォン(約5.5兆円)を超える年間営業利益を上げてきたが、今年は40兆ウォンを超えるのは難しい見通しだ。HBMで勢いに乗っているSKハイニックスが、今年は過去最高の営業利益記録を塗り替える見通しであることと対比される。

 経営陣が異例にも「根源的競争力」に言及した反省文を発表したことも、こうした理由が作用したとみられる。サムスン電子のチョン・ヨンヒョン半導体部門長(副会長)はこの日、「(実績が期待値に及ばなかったことについて)皆さんに申し訳ない」と述べた。

 市場でもサムスン電子に対する評価が薄れている。サムスン電子は同日、有価証券市場で前日より1.1%下落した6万300ウォンで取引を終えた。業績発表直後、一時は5万9900ウォンまで下がった。現代自動車証券リサーチセンターのノ・グンチャン・センター長は「半導体は冬ではないが、サムスン電子は冬」だとし「(2026年以降)6世代高帯域幅メモリー(HBM4)で反転のきっかけを設けることが現実的だろう」と話した。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1161641.html韓国語原文入力:2024-10-08 21:40
訳J.S

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