日本の自衛隊が米軍の物資の輸送のために大韓民国の領土に進入しようとした場合、国会の「同意」なしでも韓国政府はそれを「承認」できる、とする法解釈が登場したことが確認された。このような重大な問題に対して、いかなる「社会的公論化作業」もなしに慌てて結論を下すのが適切なのか、問わざるをえない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は就任からこれまで密室で推進してきた韓日、韓米日軍事協力の具体的な内容を国民に詳細に明らかにするとともに、それについて判断を仰ぐべきだ。
7日のハンギョレの報道によると、国防部は「在日米軍の物資や人材などを在韓米軍基地に輸送するために、自衛隊機が『一時的』に進入する場合、国会の同意は必要か」と共に民主党のホン・ギウォン議員に問われ、「日本の自衛隊の在韓米軍基地使用のための一時進入は、憲法第60条2項に明示されている韓国領土内の駐留には当たらない」とし、「国会同意事項ではない」と答えた。憲法が規定する国会の同意権を迂回(うかい)し、政府の承認だけで自衛隊を受け入れることができるという法解釈を下したのだ。
この問答は一見、無味乾燥にみえるが、実際には1945年の日本の敗戦後、一度も実現したことのない自衛隊の大韓民国領土への進入を、事実上承認するような政府の方針をあらわにしている。自衛隊が米軍に代わって在日米軍の物資や人材などを在韓米軍基地に運ぶという状況が発生しうるのは、朝鮮半島に有事(戦争)が発生した時くらいだ。日本は2015~2016年の安保法制定や改正を通じて、朝鮮半島有事の際には「戦闘行為が行われていない地域」で後方支援活動などを行う(重要影響事態法第2条1と3)道を開いた。もちろん、当該国の同意(同法第2条4)を得なければならない。
国防部は、そのような状況が発生した時に「政府が同意するかどうかを判断すればよい」との立場だが、韓国軍の作戦統制権を米軍が握っている状態では、国益を考慮した主体的な決定が下せない可能性が高い。その場合は国会が「最後の安全弁」役を果たさなければならない。国防部の法解釈は、国会のこのような役割を自ら無力化するものだ。
尹政権はこれまで、密室で韓米日軍事協力を推進してきた。7月には3カ国の軍事協力実施指針を記した「安保協力フレームワーク」という文書を作ったが、公開を拒否している。国民の目と耳を塞ぎ、日本との軍事協力を不可逆的なものにしようと躍起になっているのでなければ、まったく理解できない態度だ。