本文に移動
全体  > 文化

景福宮の地下、王室の「宝物の部屋」公開…「逆さ」に保存された正祖の親筆の扁額

登録:2024-06-06 20:38 修正:2024-06-07 08:17
第11収蔵庫の扁額室に逆さに吊るされた、正祖が書いた「景慕宮」の扁額=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 朝鮮王室の最高宝物は景福宮の地下にあった。

 朴正煕(パク・チョンヒ)軍事政府が約60年前、地下10メートル余りを掘った旧バンカー収蔵庫が安息所だった。そこで、玉・金・竹で作られた歴代朝鮮王の御宝と御策、英祖や正祖など歴代の王が丹念に書いた大小の宮殿の扁額がほのかに輝いた。

 国立故宮博物館は5日、2005年に開館して以来19年目にして初めてマスコミに景福宮興礼門(フンレムン)前広場と宮域東側の駐車場の地下にまたがる地中収蔵庫を公開した。

 取材陣は地下1階に降りて、冷気の漂う400メートルほどの曲がって伸びた通路を歩いて通過し、博物館側が配った上履きを履いてマスクをつけ、第10・第11収蔵庫の内部に入った。ソン・ミョンヒ学芸官は、7~8段階に及ぶセキュリティ検問を通らなければ入れない施設だとし、材質別に温湿度と区域を分けて運営される収蔵庫内部の現況と遺物の内訳を現場で話してくれた。

収蔵庫マスコミ公開行事の見どころとして挙げられた第11収蔵庫の扁額室の扁額類。一番下に逆さに吊るされた扁額が正祖の書いた「景慕宮」の扁額であり、左上が純祖の書いた「顕思宮」の扁額、右側が英祖が仁祖の潜邸の扁額として書いた「仁廟古宮」=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 朝鮮王室の歴代の王の御宝・御策・教命(宝物)628点が収められている第10収蔵庫をまず訪れた。20センチを超える鉄門の鍵を解除して入場すると、数十の桐の陳列棚がびっしりと置かれている様が目に入った。中には金漆と朱漆の生木でできた御宝、御策を入れた箱が、その主人公の名を表示された状態で並んで置かれていた。

 この日の観覧の目玉は、第11収蔵庫の懸板室だった。ユネスコ世界記憶遺産「アジア太平洋目録」に登録された朝鮮王朝の宮中扁額766点(ユネスコ世界記憶遺産アジア太平洋目録)などが代表的な収蔵遺物だった。

 職員がゆっくりとスライド移動式の遺物置き台を引き出すと、正祖が書いた字と推定される思悼世子の祠堂の扁額「景慕宮」(1776年推定)の巨大な扁額が逆さに吊るされて現れ、目を引いた。闊達な筆致の字だったが、下の枠が落ちて重心をとるために逆さに収納する措置を取ったという説明だった。

 この字の扁額の上には、英祖が自ら書いた親筆で仁祖の潜邸(王に推戴された王族が王になる前に住んでいた家)の於義宮に掲げられた「仁廟古宮」(1756年)の扁額と、昌慶宮内の純祖の生母である綏嬪朴氏の位牌を奉安した祠堂に純祖が書いた「顕思宮(1823年)」の扁額が簡素な形で置かれていた。

第11収蔵庫の扁額室でソン・ミョンヒ学芸員が逆さに吊るされた正祖親筆の「景慕宮」の扁額と純祖が書いた「顕思宮」の扁額を指して紹介している=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 故宮博物館の地下1階に位置する開かれた収蔵庫(広い窓ガラスを通じて収納遺物の姿と状態を一目で見ることができるようにした観覧用収蔵庫)では、正祖が王世孫として冊封され献上された御宝と竹の竹柵、先王英祖から受けた教命が、3つの遺物を包む布や四角筒などとワンセットで現れた。

 正祖が王世孫時代に冊封を受ける時に作った竹柵・玉印・教命および関連付属遺物(1759年)も保管中だった。祖父の英祖が在位35年(1759)に8歳の正祖(1752-1800)を王世孫として冊封して作ったものだが、管理していた当時の宮中の官吏たちが御宝を箱に入れる時にかける鍵に自分の名前と職位、鍵をかけた状況などを書いた紙を貼ってあるのが興味深く感じられた。

 故宮博物館の地下収蔵庫は歴史的な来歴が複雑だ。日帝が1925年、景福宮の最大の建物である勤政殿と正門興礼門のすぐ前を遮って建てた旧朝鮮総督府の建物跡の地下だ。1980年代初めまでこの建物を政府総合庁舎(中央庁)に、その後1990年代初めまでは国立中央博物館として活用し、1980年代半ばからバンカーを改築した収蔵庫空間が作られたと伝えられている。

 1961年にクーデターを起こした朴正煕陸軍少将の軍事政権が、翌年、中央庁の地下を掘り起こし、安保会議施設にした巨大なバンカー空間と秘密通路が収蔵庫空間の原型になった。1995年、総督府庁舎の撤去後は興礼門前に広がる広々とした広場ができ、故宮博物館から東の駐車場まで移動できるようになったが、まさにこの広い移動通路の下に王室の宝物の安息所である地下収蔵庫が13個も位置しているというのが博物館側の説明だ。

 故宮博物館の関係者は「2005年の開館以後、地下収蔵庫16個と本棟収蔵庫3個、京畿道驪州(ヨジュ)の賃借収蔵庫1個に国宝4件、宝物27件を含む8万8530点の遺物を所蔵しているが、格納された遺物の飽和率が5月現在160%に達するなど過密化問題が深刻化している」とし「大きな遺物が多い王室遺産の特性に最適化した収蔵・保存処理空間を造成し、国民に向けたサービス機能を強化するために、展示型収蔵庫形式の分館を建設する方針だ」と明らかにした。

ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1143701.html韓国語原文入力:2024-06-06 17:55
訳J.S

関連記事