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ローマ教皇庁の承認から1カ月、韓国カトリックが同性カップルを初めて祝福

登録:2024-02-13 09:58 修正:2024-02-13 13:58
韓国のグラレット宣教修道会のイ・スンボク・ラファエル神父(一番右)と司祭らが先月20日、新年のミサを行っている。イ神父はミサ後、同性カップルのクリスさんとアリさん、ユヨンさんとユンヘさんを祝福した=カトリック性的マイノリティのアライ団体「アルクス」提供//ハンギョレ新聞社

 韓国のカトリック教グラレット宣教修道会のイ・スンボク・ラファエル神父が先月20日、2組の同性カップルのために祝福の祈りをした事実が公開された。ローマ教皇庁が、同性カップルが望むならカトリックの司祭が彼らに対して祝福してもよいと昨年12月に承認してから、韓国のカトリックの司祭が同性カップルを祝福したのは今回が初めて。

 カトリック性的マイノリティのアライ(Ally=支持者)団体である「アルクス」は12日、イ神父がアルクスの共同代表であるクリスさんと配偶者のアリさん、そして別の同性カップルであるユヨンさんとユンヘさんを祝福したと明らかにした。

 祝福の祈りを受けたクリスさんとアリさんは、韓国国籍だが2013年にカナダで同性婚をした後、大韓航空の家族マイレージを登録した同性カップルとしても知られている。ユヨンさんとユンヘさんは2018年から交際を続け、SNSを見てこの新年ミサに参加し、祝福を受けることになった。

 イ神父はこの日、新年ミサの後に旧約聖書の「民数記第6章24~26節」の言葉にもとづく祈りを朗読し、2組のカップルを祝福した。「願わくは主があなたを祝福し、あなたを守られるように」と始まるこの祈りは、米国ニューヨークのジェームズ・マーティン神父が同性カップルを祝福した際に使った祈りの言葉だ。イ神父は「性的少数者をはじめとする私たち皆が神の愛を受ける神の子どもである」とし「神はすべての存在をありのまま愛し、主の祝福からは何人も排除されない」と述べた。

 ユヨンさんは「(教会では)歓迎されない存在だと思っていたが、祝福によってまた主の元に戻ることができて嬉しい」とし「道を開いてくれたアライの神父、修道女の皆さまに深く感謝する」と気持ちを述べた。クリスさんも「婚姻式とは異なり、司牧の祝福は何度も受けることができる。同性カップルと司祭が互いに負担にならないくらいの頻度で祝福を求め、祝福できるムードが韓国カトリック教会につくられることを願う」と話した。アルクスは今後も祝福を望む同性カップルの申請を受け、カトリック司祭とつなげる計画だ。

 イ神父が同性カップルを祝福できたのは、ローマ教皇庁の教理省が昨年12月に発表した「懇請する信仰」と題する教理宣言文で、同性カップルが望むならばカトリックの司祭が彼らに対して祝福を行っても良いと許容したことに伴うもの。宣言文では、同性カップルに対する祝福は婚姻成立を認めることではないとの但し書きはついたが、2021年の「同性間の結合は異性間の結婚だけを認める教会の教理を損なうことであるため、同性カップルを祝福することはできない」というカトリックの従来の方針から大きく変化したという評価を受けた。

 イ神父が同性カップルへの祝福式を執り行ったというニュースが公開された日、カトリックのソウル大教区はこれといった公式の立場を示さなかった。ただ、教皇庁が祝福式を承認しただけに、これに反する立場は示さないだろうという見方が優勢だ。

 ローマ教皇庁の包容的なムードのなか、韓国で初めて行われたカトリックの司祭の同性カップルへの祝福は、非公開の場所で行われた後、10日以上たった後に公開された。アルクスの関係者は「場所などが公開された場合、反性的マイノリティ勢力からの攻撃を受ける恐れがあるという心配のためだった」と話した。

 実際、保守的な韓国の宗教界では、性的マイノリティを排斥する雰囲気が依然として強い。特に、大韓イエス教長老会合同や大韓イエス教長老会統合、基督教大韓監理会(韓国メソジスト教会)など、韓国プロテスタントの大教団のほとんどは、公式に教会法上で同性愛者と同性愛擁護者を排除し処罰する規定がある。

 このような雰囲気のなかで、基督教大韓監理会は2019年の第2回仁川(インチョン)クィアパレードで性的マイノリティに対する祝福式を取り行ったイ・ドンファン牧師に対し、昨年12月「同性愛に賛成したり同調する行為」を禁止する「教理と章程」(監理会法)3条8項に違反したという理由で、最も高い処罰である「出教刑」を宣告した。

チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1128071.html韓国語原文入力:2024-02-13 01:29
訳C.M

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