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[社説]韓国、「人口危機」警告音高まる少子化、政策の根本を振り返るべき

登録:2023-12-05 00:53 修正:2023-12-05 08:26
韓国の合計特殊出生率の推移。1970~2023年第3四半期//ハンギョレ新聞社

 韓国の合計特殊出生率の低下が止まらない。統計庁が先月29日に発表した第3四半期の合計特殊出生率は0.7人だった。合計特殊出生率は第1四半期に最も高く、第4四半期に最も低い。このままでは、第4四半期には0.7人を割ることになる。世界最低であり、人口学者たちも想像したことのない水準だという。遠からず「人口危機」に見舞われる可能性がよりいっそう高まった。これまでに打ち出されてきた数多くの対策になぜ効果がないのか、根本から振り返ってみるべきだ。

 韓国の合計特殊出生率は2018年(0.98人)に1.0人を初めて下回ったが、急激な下落が今も衰えていないというところに事態の深刻さがある。統計庁は当初、今年の合計特殊出生率を0.73人(中位シナリオによる推計)と見込んでいた。第4四半期の合計特殊出生率が0.71人を超えればそれは達成できるが、月間出生児数の減少のすう勢から考えると可能性は低い。すう勢を変えるどころか、下落にブレーキさえかけられずにいるのが韓国の現実だ。

 韓国銀行は3日に発表した「超少子化および超高齢社会―極端な人口構造の原因、影響、対策」と題する報告書で、出生率がこのまま進む場合、2050年には韓国経済の実質的なすう勢成長率がマイナスとなる、との見通しを示した。人口減少は2019年からすでに始まっているが、2050年からは経済規模も縮小するということだ。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ロス・ダウサート氏は2日付のコラムで「韓国の人口減少は、14世紀にペストが欧州にもたらした人口減少をしのぐもの」と評した。急激な人口減少はマイナス成長や国力の衰退をもたらすだけでなく、年金などの様々な制度をうまく回らなくさせるとともに、内部対立を激化させる可能性が高い。

 青年世代の不安定な経済的地位、住居費と子どもの教育費の負担、女性に集中する育児・介護の負担などが結婚の忌避や少子化の原因であることは、よく知られている。にもかかわらず事態がますます悪化してばかりいるのは、問題解決に向けた資源投入が不足しており、かつ非効率的だからだ。韓国は大統領を委員長とする少子高齢社会委員会を設置して対応しているが、委員会の存在感は依然として弱い。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は3月28日に第1回会議を主宰して以降、会議に出席していない。大統領が3月初めに注文した「国民が体感できる果敢で確実な少子化対策」も見えない。本当に「国が消滅することもありうる」という危機意識を持って、委員長である大統領は積極的に取り組むべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1119026.html韓国語原文入力:2023-12-04 18:02
訳D.K

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