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「6月のリハーサル時も蒸し風呂状態」干拓地でジャンボリー、予告された国の恥=韓国

登録:2023-08-05 06:19 修正:2023-08-05 11:50
全羅北道扶安郡の「2023セマングム第25回世界スカウトジャンボリー」会場で、水浸しの地面の上にテントが設置されている=世界スカウト連盟提供//ハンギョレ新聞社

 予告された乱脈ぶりだった。もう一つの「Kブーム」を巻き起こそうとしていた青少年の国際行事が、すっかり「国に恥」をかかせる迷惑者となってしまった。1日から全羅北道セマングム干拓地で進行中の「2023セマングム世界スカウトジャンボリー」の話だ。猛暑に熱中症患者が続出し、劣悪な環境と主催側の準備不足を指摘する参加者と家族の批判の声が相次いでいる。韓国の国内世論も沸騰している。「なぜ真夏に日陰のない干拓地で大規模なキャンプ大会を開くのか」という叱責から「今からでも行事を縮小するか取り消すべきだ」という声まで高まっている。

「面積」だけを競争力に掲げて誘致に参戦

 今回の世界スカウトジャンボリーは、開発と地域広報、経済効果だけを見て誘致した国際行事の否定的な面をそのまま露呈している。当初、(木などによる)自然の日陰がなく夏場のキャンプには適していない干拓地を会場として選んだことから適切ではなかった。全羅北道が初めて2023ジャンボリー誘致の意向を示したのは2012年4月。全羅北道は当時、セマングムを開催候補地に決める際、キャンプ地50万坪(165万3000平方メートル)を含め、スポーツや文化、公演など100余りの行事を行うためには250万坪(826万5000平方メートル)以上の敷地が必要だが、このような規模の敷地を確保できる場所は国内でセマングムだけだと主張した。

 当時、茂朱郡の白雲山(ペグンサン)の麓にあるテコンドー院や徳裕山(トギュサン)国立公園の九千洞(クチョンドン)キャンプ場なども候補地として取りあげられたが、全羅北道はセマングム以外の代案は最初から考慮しなかった。道路や空港などインフラ構築が遅々として進まないセマングム開発事業に対して、政府からの支援を引き出すための契機としてジャンボリーを活用しようとする狙いがあったからだ。

 韓国スカウト連盟は2015年9月、世界スカウトジャンボリーの誘致申請に先立ち、全羅北道セマングムと江原道高城(コソン)を実態調査した結果、セマングムを国内候補地に決め、世界スカウト連盟に誘致申請書を提出した。当時、候補地選定の配点基準は候補地の立地(250万坪以上確保など50点)、施設設置および拡充計画(50点)、ジャンボリー会場の事後活用案(50点)など計400点だった。点数は非公開だったが、セマングムの立地や交通アクセスなどが高く評価されたという。

3日、全羅北道の市民団体が全羅北道扶安郡の「2023セマングム第25回世界スカウトジャンボリー」組織委員会前で記者会見を開き、「世界の青少年がこれ以上猛暑被害に遭わないように行事を中止せよ」と主張している=全羅北道グリーン連合提供//ハンギョレ新聞社

真夏の行事を冬と春に点検した世界スカウト連盟

 2016年7月、企画財政部が国際行事審議委員会を開き、「2023世界スカウトジャンボリー」を政府レベルで誘致することに決めた。ライバル地はポーランド北部の港町、グダンスクだった。政府レベルの誘致活動のおかげで、セマングムは2017年8月17日、アゼルバイジャンのバクー・コングレス・センターで開かれた第41回世界スカウト総会で、607票を獲得して365票のポーランドを上回り、開催地に選ばれた。2018年12月と2019年4月、世界スカウト連盟の役員たちの現地調査に訪れた。真夏に行われる行事を点検するのに冬と春に現場を訪れたのだ。当然、何の問題も指摘されなかった。

 全羅北道は積極的に誘致に参戦したが、地域全体が賛成したわけではなかった。セマングムの干拓に反対していた全羅北道の市民団体は、当初から行事会場として適切でないと指摘した。セマングムの最後の干潟である海倉(ヘチャン)干潟まで干拓するのは、「持続可能な未来」を追求するジャンボリーの精神に合わないだけでなく、観光レジャー用地に指定されたところに農地管理基金を投入して埋め立てることは違法だという批判の声も早くからあがってきた。

市民たちが4日、全羅北道扶安郡のジャンボリー公園で「2023セマングム第25回世界スカウトジャンボリー」のキャンプ場を眺めている/聯合ニュース

 昨年8月に開催予定だった「セマングム・プレジャンボリー大会」が、開催2週間前に突如取り消しになったのも物議を醸した。組織委員会は新型コロナウイルス感染症の再拡散による集団感染の可能性を理由に挙げたが、下水道や駐車場などの基盤施設がきちんと整っていないためだという噂が広まった。昨年の国政監査で野党「共に民主党」のイ・ウォンテク議員はプレジャンボリー大会の取り消しと関連し、「新型コロナは表面的な理由であり、会場の敷地が大雨で排水ができない状況であるため」だと批判した。

6月のリハーサルでも猛暑・浸水対策の不備が問題に

 猛暑と排水の不備に対する懸念は、6月16~18日に「リハーサル」として開かれた「小さなジャンボリー大会」でも現実のものとなった。当時、現場状況を取り上げた地域メディアは「30度を越える気温で、参加者が苦痛を訴え、テント内は蒸し風呂状態だった。あまりにも蒸し暑く、(活動は)夕食以降の時間でなければならなかった」と報道した。豪雨による浸水、蚊の群れ、トイレとシャワー室の衛生問題も指摘された。行事開催の1カ月前の6月30日、地域の市民団体は「排水施設工事が90%まで進んだが、浸水問題をまだ解決できていない。安全と円滑な進行のため、ほかの会場を探すなど『プランB』が必要だ」と指摘したが、反響はなかった。

「2023セマングム第25回世界スカウトジャンボリー」開幕4日目の4日、全羅北道扶安郡下西面キャンプ場の「デルタ区域」で、スカウト隊員たちが冷房の効いたバスに乗っている。尹錫悦大統領はこの日、ジャンボリーの猛暑の状況について報告を受け「冷房の効いたバスをキャンプ場に無制限に供給せよ」と指示した/聯合ニュース

 結局、問題点は行事が始まってから一気に噴出した。主催側は「大きな問題はない」と主張したが、6年間1000億ウォン(約110億円)以上の税金が投入された国家的行事は国内外から批判が殺到する最悪のジャンボリーに転落してしまった。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1103046.html韓国語原文入力:2023-08-05 00:13
訳H.J

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