仁川市富平区(インチョンシ・プピョング)は20日、「三菱長屋社宅官民協議会」(以下「協議会」)から三菱の長屋社宅を保存すべきだとする政策勧告を受け取ったことを発表した。
勧告は、三菱社宅は保存されるべき地域遺産であり、保存と活用のために富平区は積極的に努力しなければならないと述べている。また文化財登録の推進、住民のための施設および周辺の定住環境の改善策の検討も勧告された。
富平区は2018年から三菱社宅の敷地に公営駐車場を建てることを推進してきた。しかし、三菱社宅の歴史的意味が損なわれる恐れがあるとの声が地域社会からあがるとともに、文化財庁も保存すべきという意見を表明したことで、駐車場建設事業にはブレーキがかかった。
富平区は昨年7月に歴史、都市、建築分野の専門家と地域住民、市・区議会議員、富平区の公務員らで構成された協議会を設置。協議会は先月までに5回の議論を行い、今回の勧告をまとめた。
三菱社宅は、1938年に日帝が日本軍の軍需工場である陸軍造兵廠を富平に建てる際に同時に建てられた、戦犯企業三菱重工業の朝鮮人労働者の合宿所だ。合宿所は長屋形式に並んでいるため、「チュル(列)社宅」と名付けられた。韓国に唯一残されている三菱の強制動員の痕跡だ。
富平区は「今後、三菱社宅を文化財に登録して保存・活用策を立てるとともに、地域住民の生活改善作業も進める計画」だと述べた。