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保護外国人「拷問器具」除外すると言いながら…身体拘束を強化した韓国法務部

登録:2022-10-07 04:56 修正:2022-10-07 16:59
「外国人保護所拷問事件対応共同対策委員会」が9月20日午前、ソウルの龍山大統領執務室前で韓国の難民人権懸案である外国人保護規則改悪を糾弾し、撤回を求めるパフォーマンスを行っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 ハン・ドンフン法務部長官が外国人保護所に収容された外国人の身体を反人権的に拘束する保護イスなどの導入について再検討するよう指示したものの、法務部の新たな改正案にはむしろ四肢拘束が可能な3種類のベルトが追加されるなど、身体拘束を強化する器具の導入は依然として推進されていることが確認された。

 国会法制司法委員会に所属するイ・タンヒ議員(共に民主党)が法務部から6日に提出を受けた「外国人保護規則一部改正令案」修正案(法務部令)によれば、新たに導入される保護器具には上・下半身用ベルトが2種類と、ベスト型のベルトが追加されている。これらは上半身を拘束した後に両手に手錠をかけたり、両足を結束したりする器具だ。

法務部の外国人保護規則の新改正案に追加された保護器具=イ・タンヒ議員室提供//ハンギョレ新聞社

 昨年9月、華城(ファソン)外国人保護所で隔離されていたある保護外国人が「エビぞり」のような形で拘束されるという過酷行為にあっていたことが明るみに出た後、法務部は問題を認めつつも、5月に出入国管理法に規定されている手錠、ベルト、頭部保護器具の他にも四肢を縛れる足首保護器具(両足または片足を縛り付ける器具)と保護イスを導入する改正を予告し、市民社会から「拷問の合法化」だとの批判を受けていた。これに対しハン・ドンフン長官は7月、足首保護器具と保護イスを除外するよう指示したが、法務部はこの2つの器具を除外する代わりに上・下半身を同時に拘束できる3種類のベルトを追加したのだ。

 これについて法務部は「人権の側面から懸念が提起された足首保護器具および保護イスは、外国人保護規則に入れなかった」とし「既存の保護器具のベルトは、ベルト型とベスト型というふうに、その種類を具体化した」とイ・タンヒ議員室に説明した。

 しかし、今回の改正案もやはり昨年の華城外国人保護所で発生した「エビぞり拘束」のような過酷行為を防止できない「小手先の」措置だとの声があがっている。改正案は2つ以上の保護器具を使用できるようにしているため、事実上ベルト型をはめて後手に手錠をかければ両手足を縛る身体拘束が可能になるからだ。これについて、華城外国人保護所でエビぞり拘束などを受けた外国人を代理したイ・ハンジェ弁護士(社団法人トゥル)は「いつ(保護器具の)混合使用ができるのかについて特別な条件がなく、時間制限もない」とし「この器具規定は刑務所に適用される規定よりも危険で不誠実にみえる」と述べた。

 実際に、人権侵害批判が最も強い保護イスも「刑の執行および収容者の処遇に関する法律施行規則」によれば8時間を超過しては使用できず、使用中止後4時間は再使用ができないという条項を設けるなど、器具使用要件を制限しているが、今回の改正案は別の保護器具を示しながらも適切な使用法の他には具体的な運用方法を提示していない。イ弁護士は「外国人保護所での保護処分時における適切な事由通知、通訳、医療施設の拡充などによって物理的摩擦を最小化する努力を、法務部がどれだけ行ったのかは疑問」だとも批判した。

 イ・タンヒ議員は「法務部は長官就任以降、国際基準に合う人権政策の推進を強調してきた」とし、「この発言を実行することが重要だ」と述べた。

 これに対し、法務部の関係者は「これまで使われていた縄型ベルトは足首と手首を縛ることができ、外観上の拒否感もあるため、基本権の制限が少ないベスト・ベルト型を新たに導入することになったもの。また、現在進行中の改正案に対する法制処の審査が完了すれば、法務部の訓令である施行細則で細部の器具運用方法を規定し、同時に施行する」とし「現在、法務部は外国人保護施設を開放型に変えていくなど、人権親和的な方向へと向かうよう努めている」と述べた。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1061690.html韓国語原文入力:2022-10-06 18:06
訳D.K

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