本文に移動

「強制動員」官民協議会、結論を前に「現金化防ぐことばかりに汲々」批判

登録:2022-09-07 09:18 修正:2022-09-07 11:39
パク・チン外交部長官が今月2日午後、三菱重工業の勤労挺身隊強制動員被害者であるヤン・クムドクさんの家を訪問し、言葉を交わしている=光州/聯合ニュース

 強制動員被害者賠償問題の解決法準備のために7月に発足した官民協議会が、4回の会議の末に活動を終えた。被害者側の意見集約の場という形をとったが、韓国政府が韓日関係改善という外交的成果を急ぐあまり「被害者中心主義」という大原則を破ったという批判も少なくない。

 イム・スソク外交部報道官は6日の定例ブリーフィングで「強制徴用(動員)解決方案について、政府は特定の期限を定めたことはない」とし、「官民協議会で検討された内容をもとに、責任感と緊張感を持って早急に合理的な方案を用意する予定」と明らかにした。前日、官民協議会が強制動員被害者賠償問題の解決策を見出せないまま活動を終了したが、「韓日共同の利益に合致」する解決策を設けるためにさらに努力を継続するという趣旨だ。

 政府はこれまで官民協議会の活動はもちろん、参加しなかった被害者側とも個別に接触し、十分に意見を「傾聴」したという点を強調している。しかし、被害者および支援団体側では、政府が韓日関係改善という外交的成果ばかりに固執していたと批判している。

 彼らはまず、最高裁の賠償判決を履行するための日本の加害戦犯企業の国内資産売却(現金化)を阻止することを、協議会の最優先課題にしたという点を問題として指摘した。「現金化は韓日関係破綻を意味する」という日本側の主張と同じ脈絡だ。2回目の協議会に支援団体として参加した民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「最高裁判決の大前提は日本の植民支配が不法だという点」だとし、「日本側の不当な主張に対抗して判決の精神を貫徹させなければならない政府が、現金化を防ぐことばかりに汲々とするのは、司法主権の侵害を容認する格好」だと指摘した。

 外交部が「個人が日本の民間企業を相手取った民事訴訟であり、外交的保護権の対象ではない」という論理で、被害者側と事前協議も通知もなしに最高裁に意見書を提出したことが、被害者中心主義に正面から反するという指摘もある。特にパク・チン外交部長官は被害者の話を傾聴すると強調しながらも、意見書提出を「撤回するつもりはない」と一蹴し、被害者側の反発を買った。日帝強制動員市民の会のイ・グゴン代表は「最高裁も政府の外交的保護権は生きていると判決した」とし、「私的な訴訟と見なした外交部が『公益と関連したこと』だとして裁判所に決定を先送りしてほしいという趣旨で意見書を提出したことは、事実上、加害企業の立場で裁判に介入したもの」だと批判した。

 また、政府が協議会発足初期から「現実的に日本側の態度変化は期待しがたい」という主張を既成事実化したことも問題として指摘される。これは、協議会の議論の焦点が被害者の同意のない債権(加害企業の賠償義務)消滅問題に狭められることになった決定的な理由だ。「現金化されれば韓日両国はもちろん、企業、国民などに天文学的な被害が懸念される」(8月8日、ユン・ドクミン駐日大使の特派員団懇談会での発言)、「日本が憂慮する主権問題の衝突なしに、債権者が補償を受けられる策を講じている」(8月17日、尹錫悦大統領の就任100日記者会見での発言)といった主張が出たのもこのためだ。1、2回目の協議会に被害者代理人団の資格で出席したイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)は、「協議会を含め、問題解決に向けた政府の努力を、日本の変化を引き出すための外交的テコ入れにしなければならなかった。政府自ら日本との交渉のためのテコを手放してしまった」と語った。

 一方、先月19日、最高裁3部(主審キム・ジェヒョン)に続き、同日、最高裁2部(主審イ・ドンウォン)も、三菱重工業が韓国内に保有している商標権2件に対して下された特別現金化命令を不服として起こした再抗告事件に対する審理不続行棄却決定を留保した。イ・グゴン代表は「賠償判決も、特別現金化命令も最高裁が下した。加害企業の不服手続きも3審まで続いた。これ以上判断を先送りする理由はない」と述べた。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1057795.html韓国語原文入力:2022-09-07 02:14
訳C.M

関連記事