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韓国外相、中ロ念頭に「力による現状変更は容認できない」

登録:2022-08-06 06:39 修正:2022-08-06 07:28
パク・チン外交部長官(左)が今月5日午前、カンボジアのプノンペンで開かれた東アジアサミット(EAS)参加国の外相会議の開会に先立ち、隣に座ったロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会話を交わしている=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 パク・チン外交部長官は5日、カンボジアのプノンペンで開かれた東アジアサミット(EAS)参加国の外相会議で、「力による一方的な現状変更は容認できない」と述べた。ロシアのウクライナ侵攻と台湾を狙った中国の軍事的攻勢に言及したものとみられる。

 パク長官は同日、プノンペンのソカホテルで開かれた会議で14番目に発言し、「最も切迫した地域および国際情勢に関していくつか述べたい」とし、「特に力による一方的な現状変更はいかなる状況でも容認できない」と述べた。2005年に発足した東アジアサミットは、ASEAN10カ国と韓国、米国、日本、中国、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、インドの8カ国の対話パートナーが参加する高官級戦略対話体だ。

 パク長官は「ロシアのウクライナ侵攻は国際法と国際秩序に対する前例のない挑戦であり、国連憲章が規定した主権と領土の完全性と政治的独立原則に対する明らかな違反」だとし、「ウクライナ事態は対話を通じて早期に解決されなければならない」と述べた。

 パク長官は、ナンシー・ペロシ米下院議長の訪問後、緊張が最高潮に達している台湾海峡の状況についても「深刻な懸念」を示した。パク長官は「台湾海峡は世界の大型船舶の80%以上が通過する最も頻繁な海上運送通路の一つ」だとしたうえで、「台湾海峡で地政学的対立が激化すれば、サプライチェーンの撹乱を含め、大きな政治経済的不安定を招く恐れがある」と語った。

 さらに「韓国は一つの中国の立場を支持しており、同時に、台湾海峡の平和と安定は韓国にとって重要であり、域内の安全保障と繁栄に欠かせない」とし、「しかも台湾海峡での緊張の高まりは、北朝鮮の漸増する安全保障への脅威を考えると、朝鮮半島の平和と安定に否定的な影響を及ぼすだろう」と述べた。

 パク長官が台湾海峡をめぐって米中の対立が激化している状況について具体的な立場を明らかにしたのは今回が初めて。これに先立ち、前日午前に開かれたASEAN+3(韓中日)外相会議で、中国の王毅外交部長と日本の林芳正外相が台湾事態をめぐって舌戦を繰り広げたが、パク長官はこれについては言及しなかった。

 また、ウクライナ事態に関してはロシアを具体的に取り上げたが、台湾海峡の緊張の高まりに関しては中国を名指ししなかった。中国側はペロシ議長の台湾訪問について「米国の政治的賭け」であり、中国牽制のために台湾の独立を煽る「現状変更」の試みだと批判している。

 外交部当局者は「(韓国外交部長官が)台湾問題に関してこれほど長く言及したのは異例のことであり、非常に重要で深刻に状況を見ていることを裏付けている」とし、「力による一方的な現状変更はいかなる状況でも容認できないという表現そのものからも意味が分かるだろう」と述べた。

 パク長官は同日、朝鮮半島情勢について「北朝鮮の核開発とミサイル挑発は、多数の国連安全保障理事会決議を明確に違反したものであり、地域全体と世界平和の安定にとって深刻な脅威」だとし、「いつにも増して断固として団結した国際社会の対応が重要だ」と強調した。また「北朝鮮の完全かつ検証可能で非可逆的な非核化を促す強力なメッセージを送る必要がある」とし、「北朝鮮の核脅威を抑止し、核開発を断念させ、外交と対話を通じて非核化を進める。北朝鮮との対話については柔軟で開かれた姿勢で臨む」と付け加えた。

チョン・インファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1053704.html?_fr=mt2韓国語原文入力:2022-08-0521:00
訳H.J

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