韓国の検察総長の空白状況が長期化の兆しをみせている。就任15日を迎えたハン・ドンフン法務部長官が検察総長候補推薦委員会を構成するのを先送りし、意図的に空席にしているとみられる中、その背景について様々な憶測が飛び交っている。
法務部はまだ次期検察総長の人選のための推薦委を構成していない。推薦委は法務部検察局長や最高裁判所事務総局次長、大韓弁護士協会会長、法学者など9人で構成される。ある充て職の委員は1日、本紙との電話インタビューで「まだ法務部側から何の連絡もない」と話した。
検察内外では、ハン長官が主導する検察人事の過程で「総長パッシング(排除)」と言われるのを意識し、定期人事後に総長選出の手続きを先送りしたという説が有力視されている。推薦委の構成→候補推薦→検証作業→候補を数人に絞るという過程には、1~2カ月ほどの時間が必要だ。法務部は近いうちに検察の中間幹部人事をしなければならない。その際、まだ候補である次期検察総長の意思は、検察人事に反映されない可能性が高い。検察総長を選んだとしても、実際にはハン長官が検察の人事を決めていると批判される恐れがあるため、総長の人選自体を先送りしているとみられているのだ。ハン氏が法務長官に任命された翌日に、尹錫悦師団を前面に配置する人事を行った際も、総長パッシング論が浮上した。
実際、法務部は次長検事昇進対象者である司法研修院32期検事らに、3日までに人事検証同意書を提出するよう通知した状況だ。これを踏まえ、6月中旬頃に中間幹部の人事が予想されている。ソウルのある部長検事は「物理的に検察総長と人事協議ができない状況であるため、まず中間幹部の人事を行ってから、総長の人選作業に取りかかるものとみられる」と語った。
尹錫悦検察総長時代に最高検察庁の企画調整部長を務めたイ・ウォンソク次長が検察総長職務代理を務めており、総長の空席が大きく感じられないという点も、総長人選を急がない背景とみられる。イ次長は企画調整部長当時、反腐敗強力部長だったハン・ドンフン長官と一緒に働いた。最高検察庁のある幹部は「イ次長は就任後に開かれた拡大幹部会議で『1分1秒も無駄にするな』と述べるなど、迅速に業務掌握力を高めている。総長が空白の状況ではあるが、イ次長が事実上総長並みの動きをみせている」と述べた。
尹錫悦師団という確実な「シャドー・キャビネット」があるため、総長の人選作業を急ぐ理由がないという噂も流れている。尹錫悦大統領-ハン・ドンフン長官を中心に、すでに次期総長の人選は事実上終了しているということだ。首都圏のある次長検事は「コアグループではすでに次期総長が指名された状況なのでは。内部的に人選過程などを共有しながら組織を設計しているだろう」と見通した。
6月中旬頃と予想される中間幹部人事で、最高検察庁の参謀陣は人事の対象から外れるという見通しもある。内部的に次期総長候補とともに参謀陣の構成を論議した後、総長任命後に直接参謀陣を構成する形を取ると見られているのだ。検察のある幹部は「今も総長パッシングが取り沙汰されているのに、総長参謀陣まで長官が一人で人選をすれば、次期総長は植物総長に転落することが明らかだ。ハン長官が最高検察庁の参謀陣まで変えることはできないだろう」と述べた。