ウクライナへの韓国の輸出が、3月に入って事実上中断状態であることが分かった。ロシアへの輸出も大幅に減っている。米国を中心とした国際社会の対ロシア制裁の強化に韓国も同調しているうえ、ロシアがこれに真っ向から対抗しているため、貿易の萎縮はさらに続くとみられる。
11日に産業通商資源部の資料を確認すると、今月はじめから9日までの対ロシア輸出は、昨年同期と比べて6.6%の減。対ウクライナ輸出は98.9%も減少している。3月に入ってから9日までの韓国の総輸出額が10.4%増加なのとは対照的な流れだ。昨年12月から今年2月にかけては対ロ、対ウクライナ輸出ともに輸出全体よりも増加率が高かった。2月だけを見ても、対ロシア輸出は48.8%増、対ウクライナ輸出は21.2%増で、輸出全体の増加率(20.6%)を上回っていた。
産業部は「韓国の輸出は全体的に良好な流れを維持しているが、(ロシアとウクライナとの)戦時状況への突入に伴い、ウクライナとの貿易は事実上中断状態にあり、ロシアとの貿易でも代金支払いや物流の不確実性の拡大に伴い、輸出が減少している」と説明した。
この日、産業部のパク・チンギュ第1次官が開いた「第21回産業資源安保タスクフォース(TF)」の会議で出席者たちは、ウクライナ事態の長期化に伴い現場での支障が徐々に顕在化していると診断した。エネルギー部門では、韓国への供給に対する影響はまだ限られているものの、米国が対ロシア制裁を強化していることから不確実性は高まっている。原油価格が1バレル=130ドルを突破するなど、エネルギー価格の上昇が続いているため、国民の負担が重くなりつつある。
またニッケル、無煙炭をはじめとする原材料価格の上昇による企業の採算性悪化が懸念される。ロシアが特定品目の輸出禁止・制限措置を本格的に実施すれば、状況はさらに悪化すると予想される。ロシアは10日に発表した輸出禁止・制限措置で、技術機器、通信機器、医療機器などの200品目あまりを対象としている。韓国を含む48の非友好国に対しては年末まで特定の類型の木材の輸出も制限し、具体的な内容は後に発表するとしている。
完成車業界はこの日の会議で、「グローバル海運会社のロシアへの運航中止などによる部品調達・完成車輸出の困難、半導体不足などにより、当面は現地工場の再稼働は難しい」との見通しを示した。一部の部品はロシアへの供給が難しい状況だとし、部品業界が代金決済通貨のルーブルの暴落による為替差損を懸念しているという。自動車業界は、輸出規制制度指針の早期作成、部品業界への緊急資金援助、金融支援の資格要件の緩和を提案している。
造船業界は、ロシア発注の船舶・ブロックに搭載する一部の輸入資機材の供給に支障が出ることを懸念している。資機材生産企業の所在国が対ロシア制裁に参加しているからだ。造船業界は、米国の対ロ金融制裁で受注残金が受け取れない危険性があると懸念しており、対ロ輸出規制品目からの船舶の除外の可能性の検討、造船会社の流動性支援のための船舶製作金融支援を要請している。