ドイツ・ベルリン市に設置された「平和の少女像」が撤去を免れ、維持される。戦時性暴力の犠牲者を追悼する観点から、少女像の永久設置に向けた議論も始まると見られる。
ベルリン市ミッテ区議会は1日(現地時間)、「平和の少女像」を案件として開かれ、少女像を撤去しないことを決めた。少女像の設立を推進したベルリン・コリア協議会のハン・ジョンファ代表が明かした。フランク・ベルターマン議長(緑の党)は「(区議会で)多数決によって、性暴力犠牲者を追悼する平和の少女像を保存することに決定した」と明かした。
緑の党と左翼党が共同提案した少女像存置案は、ミッテ区議員29人が議決に参加し、24人が賛成した。反対は5人に過ぎなかった。同案には、少女像撤去命令の撤回はもとより、当初は来年8月14日までとされていた設置期限をさらに6週間延長し、9月末までとする内容が含まれている。またミッテ区と議会に対し、少女像を永久に維持する方策を樹立することを求めている。『読売新聞』は2日「ミッテ区は決議を受け、当面の展示を認めている少女像について、継続的な設置の許可に転じるとみられる」と報じた。
左翼党のティロ・ウルヒス区議会議員は議案説明で「平和の少女像は、第2次世界大戦中の韓国女性に対する日本軍の性暴力という、具体的な歴史的事実を基盤としている」と指摘した。同議員は「戦争や軍事紛争における性暴力は一回性の事案ではなく、構造的な問題であり、根本的に防がねばならない」とし「平和の少女像はまさにその象徴」と強調した。同日、ミッテ区議会の前には30人あまりの韓国人とドイツ人が集まり、少女像の永久設置のためのろうそく集会を開いた。
日本政府は、ミッテ区議会の決定は受け入れ難いとして強く反発している。加藤勝信官房長官はこの日の定例ブリーフィングで「今回の決定は我が国政府の立場、またこれまでの取り組みと相いれない。極めて残念なこと」と述べた。そして「我が国の立場について説明を行い、像の速やかな撤去を求めていきたい」と付け加えた。
昨年7月にミッテ区は、日本軍「慰安婦」被害者を追悼する少女像は女性の人権問題だとして設置を許可した。少女像は今年9月末にミッテ地域の街中に建てられた。ドイツで少女像が建てられたのは3度目だが、公共の場では初めてだった。
しかし少女像の設置後、茂木敏充外相がドイツのハイコ・マース外相とのテレビ会談で少女像の撤去を要請するなど、日本の全方位的な圧力が加えられはじめ、ついにミッテ区は10月7日に少女像の撤去命令を下した。これに対しベルリンの市民社会は集会、記者会見を開くなどして強く反発した。彼らは、「平和の少女像は韓日関係や反日民族主義ではなく、戦時性暴力や表現の自由などの、普遍的な人権の問題だ」と声をあげた。少女像の設置を主導したベルリン・コリア協議会が行政裁判所に撤去命令効力停止の仮処分を申し立てると、ミッテ区は撤去命令を保留した。