米国が戦時作戦統制権(戦作権)移管に向けて来年施行することにしていた「第2段階の完全運用能力(FOC)検証評価」を「準備不足」を理由に保留したいという立場を伝えたことが分かった。韓国政府の戦作権早期移管方針に支障は避けられないものと見られる。
匿名の政府当局者は22日「最近、韓米安保協議会議(SCM)で、韓国側が『今年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって延期された未来連合軍司令部の第2段階の完全運用能力の検証評価を、来年行うと共同声明に明記しよう』と提案したが、米国が拒否し、共同声明に含まれなかったと聞いている」と述べた。
未来連合司令部は、戦作権移管後に変わる韓米連合司令部の名称で、韓国軍が指揮官を務める。韓米は未来連合司令部を作戦、情報、軍需、通信などの分野に分け、「基礎運用能力」(IOC)-「全運用能力」-「完全任務能力」(FMC)の3段階で検証・評価した後、戦作権を移管することで合意している。これを受け、韓米は昨年、第1段階の基礎運用能力評価を完了し、今年第2段階の完全運用能力評価を行う計画だったが、COVID-19の感染拡大のため延期された。
米国は今回の韓米安保協議会議で、「今年延期された完全運用能力評価を来年実施すべきだ」という韓国側の要求に対し、「韓米共にまだ準備ができておらず、今は戦作権の移管より連合防衛態勢の強化を優先すべき」という理由で拒否したという。
「2020年の完全運用能力評価実施」は、昨年11月に開かれた韓米安保協議会で合意した事項だ。当時発表された共同声明には「両国長官は2020年に未来連合司令部に対する完全運用能力評価を推進することに決めた」という内容が明記されている。にもかかわらず、米国が1年も経たないうちに突然「準備不足」という釈然としない理由で合意の履行を拒否したため、戦作権移管に向けた今後の日程が不透明になった。最近の米中対立とあいまって、韓国に戦作権を移管することについて、米国が消極的なムードに転じた可能性もある。
韓国政府は、米大統領選挙の結果によって、来年新政府が発足すれば、韓米間の追加協議を通じて戦作権の早期移管を進める計画だ。政府当局者は「まもなく退く米国防長官が来年の完全運用能力評価実施を約束するのが難しい状況で、共同声明にこの文言を入れることに負担を感じたのではないか」とし、「韓国政府は来年米国で新政府が発足すれば戦作権移管をめぐる韓米協議に乗り出す方針」だと述べた。
しかし、来年発足する米政府の戦作権移管政策がどのようなものになるかを今判断するのはまだ早い。また、米国の新政府が通常約6カ月間の政策検討を行うことから、早くても来年下半期になってようやく韓米間で新たに合意された戦作権移管の日程の大枠が見えてくる可能性が高い。