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26歳、演技は18年目…女優シム・ウンギョンが韓国映画の未来だ

登録:2020-07-22 10:02 修正:2020-07-22 12:09
映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』オンラインカンファレンスの様子=オッド提供//ハンギョレ新聞社

 「シム・ウンギョンの発展は韓国映画の発展と比例するだろう」

 2011年、映画『サニー 永遠の仲間たち』の公開当時、カン・ヒョンチョル監督が言った言葉だ。『サニー』は740万人の観客を集め、幼いナミを演じたシム・ウンギョンの存在感を本格的に知らしめた。カン監督は20日、ハンギョレとの電話インタビューで「その言葉が現実のものになっているようで嬉しい」と話した。

 シム・ウンギョンは今年3月、『新聞記者』で韓国俳優として初の日本アカデミー最優秀主演女優賞を受賞したのに続き、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』で共演女優の夏帆とともに高崎映画祭の最優秀主演女優賞を共同受賞した。現在、日本に滞在しているシム・ウンギョンは20日、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(22日公開)のマスコミ試写会後に開かれたオンラインカンファレンスで、「受賞は想像もしなかったので、照れくさく恥ずかしい」と言い「ここに留まらず、これまでやってきたとおりこれからも続けたい」という感想を伝えた。

映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』スチールカット=オッド提供//ハンギョレ新聞社

 1994年生まれ、26歳になったばかりのシム・ウンギョンの演技歴は18年目になる。2003年、9歳で文化放送(MBC)ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』で端役でデビューした。以後、2006年に韓国放送(KBS)ドラマ『ファン・ジニ』でファン・ジニの子役として大衆の目に留まった。スクリーンで初の主演作はイム・ピルソン監督の『ヘンゼルとグレーテル』(2007)だった。その後『建築学概論』のイ・ヨンジュ監督の長編デビュー作『不信地獄』(2009)で取り付かれた少女を演じ、強烈なインパクトを残した。

 「子役は注意が散漫になりがちだが、ウンギョンは違いました。集中力が飛びぬけていて、演技に対する意志と意欲が素晴らしかった。取り付かれた少女の感情をつかむために、撮影中ずっと悩みと心配を抱えていました」。イ監督はハンギョレとの電話インタビューで、当時を思い浮かべながらこう語った。

映画『不信地獄』スチールカット=ショーボックス提供//ハンギョレ新聞社

 カン監督は『不信地獄』のシム・ウンギョンに注目した。『サニー』のナミ役を念頭に置いて会った時、「シナリオを突き破って出てきたような印象を受けた」と語る。「俳優の中には技術的に熟練した演技がうまい類型があるが、ウンギョンはその逆です。技術よりも感情が先。予熱時間が長くかかるけれど、一度火がつけばメラメラと燃えます。撮影当時は高校生でしたが、もう演技歴もかなり積んだので、怖いものなしでしょう」

 2014年に公開された『怪しい彼女』は860万人を集め、シム・ウンギョンの最高興行作になった。70歳のおばあさんが20歳になってしまった女性を演じたシム・ウンギョンは、各種の映画賞主演女優賞を総なめした。映画を演出したファン・ドンヒョク監督はハンギョレとの電話インタビューで「ふてぶてしいおばあさんの演技と、50代の息子の前で涙を流す母親の演技を幅広くこなせる20歳の女優はシム・ウンギョンしかいないと思い、迷わずキャスティングした」とし、「申し分のない演技をよくこなしたにもかかわらず、自ら満足せず、いつもさらにチャレンジしていた」と語った。

映画『サニー永遠の仲間たち』スチールカット=CJ ENM提供//ハンギョレ新聞社

 『怪しい彼女』で成人の役者として成功した出陣を遂げた後、作品の提案が殺到した。『少女は悪魔を待ちわびて』(2016)、『歩く女王』(2016)、『ザ・メイヤー 特別市民』(2017)、『操作された都市』(2017)、『サイコキネシス』(2018)、『ときめきプリンセス婚活記』(2018)など、出演作が急激に増えた。 しかし、すべての映画がうまくいったわけではない。「当時ウンギョンはかなり悩み、成長痛を経たようだった」とファン監督は語った。

 シム・ウンギョンは新たな跳躍を夢見て突破口を開いた。日本語を勉強し、2017年に日本の所属会社と契約も結んだ。シム・ウンギョンは「以前から日本の映画が好きだった。韓国とは違う日本の映画のカラーに私が入り込むとどんな感じになるのか知りたかった」と、日本進出の理由を明かした。『ブルーアワーにぶっ飛ばす』の箱田優子監督は、オンラインカンファレンスで「主人公の砂田(夏帆)と真逆の愉快な人物・清浦を誰が演じればいいか悩んでいたところへ、シム・ウンギョンさんが日本で活動するという噂を聞き、『つかまえなきゃ』という思いが稲妻のように脳裏をかすめた」と言い、「受賞の知らせを聞いて『予感は間違っていなかった』と思った」と伝えた。

映画『怪しい彼女』スチールカット=CJ ENM提供//ハンギョレ新聞社

 『ブルーアワー』でシム・ウンギョンが演技した清浦は、心が荒んだ砂田と一緒に旅行し、癒やしと元気を与える人物だ。シム・ウンギョンは「この映画は成長痛を抱えている大人たちのための寓話」だと言い、自分の話を付け加えた。「子役から成人の役者になっていく頃、私も成長痛を経験しました。常にうまくやらなきや、完璧でいなきゃという強迫観念が、かえって自分の足を引っ張っていました。いまは年齢を一歳ずつ重ねてつれ、『ブルーアワー』の主人公のように悩みを自分で消化する方法を身につけています」

 ファン監督は「日本にいるウンギョンと連絡を取ったが、違う世界を経験し、人間としてまた俳優として成長したという印象を受けた。これからも一生発展する俳優になるだろう」と語った。

ソ・ジョンミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/954638.html韓国語原文入力:2020-07-22 04:59
訳C.M

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