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多目的放射光加速器、忠清北道清州に決定…2028年運用開始

登録:2020-05-08 20:27 修正:2020-05-09 10:55
忠清北道清州市梧倉に構築される多目的放射光加速器の鳥瞰図=忠清北道提供//ハンギョレ新聞社

 新薬開発、ウイルスの構造観察など、未来産業発展の核心に挙げられる「多目的放射光加速器」が忠清北道清州市(チョンジュ)の梧倉(オチャン)に構築される。

 科学技術情報通信部は8日午前、政府世宗(セジョン)庁舎で開いたブリーフィングで「多目的放射光加速器」構築事業の施行地域に清州市梧倉を最終選定したと明らかにした。終盤まで競合した全羅南道羅州(ナジュ)は、清州に僅差で敗れた。

 科学技術情報通信部のイ・ミョンチョル放射光加速器構築敷地選定評価委員長(科学技術翰林院理事長)は「アクセシビリティなど地理的条件が良く、発展可能性が大きい清州を多目的放射光加速器の構築予定地に選定した。主な利用者である科学技術者が、政治的意味合いなしに科学的・客観的に公正かつ信頼性をもって評価した」と明らかにした。

 清州は最終評価で90.54点を記録し、国土バランス発展を前面に掲げ誘致に乗り出した羅州は87.33点に終わった。イ委員長は「清州は放射光加速器を活用する科学者・企業・研究機関・大学などからのアクセシビリティと発展可能性などで満遍なく高い評価を受けた。羅州は、地理的条件、関連産業の形成程度、発展可能性などで僅かに及ばなかった」と説明した。

 科学技術情報通信部は、今月中に予備妥当性調査を申請し、忠清北道・清州市などと業務協約を結び、遅くとも2022年には事業に着手し2028年に運用を始める計画だ。

 政府などが1兆ウォン(約870億円)を投じて構築する多目的放射光加速器ができる清州市梧倉テクノポリス(53万9千平方メートル)は、高速道路、高速鉄道に隣接していて交通条件が良く、首都圏など全国から2時間以内でアクセスできる。また梧倉・五松(オソン)・大徳(テドク)などの産業・研究団地、政府部署、国策研究機関などとも近い。イ・シジョン忠清北道知事は「放射光加速器による研究の成果が、全国に広く拡散しバランス発展を先導できるようにする。世界最高水準の地位を備えられるよう支援を惜しまない」と明らかにした。

イ・シジョン忠清北道知事(中央)などが8日、多目的放射光加速器の構築事業地域に清州市梧倉が決定され歓呼している=忠清北道提供//ハンギョレ新聞社

 これに先立って、科学技術情報通信部の放射光加速器構築選定評価委員会は、敷地の基本要件▽立地条件(安全性、アクセシビリティ、便宜性、未来拡張性)▽地方自治体の支援などからなる項目別評価を進めた。当初、清州、羅州を含め江原道春川(チュンチョン)、慶尚北道浦項(ポハン)が4巴戦を行ったが、6日の書類・発表審査を通じて春川(82.59点)と浦項(76.72点)が脱落し、7日には1・2位に選ばれた清州と羅州を訪ねて現場訪問による実態調査を進めた。放射光加速器は、光速に電子を加速し光(放射光)を得る装置で、新薬開発のためのタンパク質構造分析、半導体ナノ素子の構造分析、疾病診断ロボット開発など、バイオ・医療、半導体・電子、エネルギー、先端機械・部品産業などに広く使われる。物質の基本粒子を観察する超精密巨大顕微鏡で、韓国国内には浦項に3、4世代機が各1機ずつ構築されており、日本・米国・ロシアに各7機、ドイツには6機が構築されている。韓国基礎科学支援研究院は、多目的放射光加速器の設置で生産誘発効果6兆7千億ウォン(約5800億円)、付加価値誘発2兆4千億ウォン(約2100億円)、雇用創出13万7千人などの効果を展望している。

オ・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/area_general/944170.html韓国語原文入力:2020-05-08 14:33
訳J.S