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[社説]「折り返し点」文在寅政権、深い省察で成功の足場を用意せねば

登録:2019-11-09 09:46 修正:2019-11-09 12:22
文在寅大統領が2017年5月10日、国会で開かれた就任宣誓式で第19代大統領就任宣誓をしている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「ろうそく政権」を自任した文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期が9日で折り返し点を回った。広場で噴出した国民的要求を奉じ、「国らしい国」「公正と正義」「平和の朝鮮半島」を掲げた政権の成績表は、満足できるものでない。成果がなかったわけではないが、国内外の容易ならざる状況と政府の失策がかみ合い、国民の期待に及ばなかったと評価するしかない。

 最も痛いのは経済・民生分野だろう。所得主導成長と公正経済、革新成長を基調とした文在寅政権の経済政策は、少数の大企業を中心とする過去の成長方式の限界を乗り越えるための代案の性質のものだった。最低賃金引上げや基礎年金、児童手当の拡大で、社会のセーフティーネット拡充し、無償教育拡大と「文在寅ケア」で家計の可処分所得を高める政策は、一定の成果も収めた。

 しかし、最低賃金の引上げ幅と速度について、小商工人の反発が大きくなり、自営業の萎縮の勢いとかみ合って色あせた。国会機能の麻痺のためではあるが、公正経済に直結する財閥改革関連法案が足踏み状態である点も惜しい。ソウル地域を中心に住宅価格が大きく上昇して住居の安定性が下がり、庶民層と若者が挫折感を感じている現実は、特に大きな課題だ。米中貿易紛争を始めとする対外条件悪化と景気萎縮の勢いの中でも、緊縮財政で一貫して景気後退に適切に対応することができなかった点には、非常に強い自己反省が必要である。

 政府は不十分だった点を補完しても、政策の一貫性を守り成果を出すことに力を注がなければならない。政治攻撃に近い無差別な批判に揺れて初心を失えば、改革と成長のどちらも逃がしかねないことを警戒しなければならない。古い方式の成長モデルに戻ってはならない。

 外交・安保分野は、残念で惜しい点である。任期の初年度に最悪へと駆け上がった朝鮮半島の緊張は、平昌冬季オリンピックに北朝鮮が参加することで劇的な反転を果たし、3回の南北首脳会談と2回の朝米首脳会談により、朝鮮半島平和の大きな転換点を作り上げた。しかし、ハノイ首脳会談の決裂以後、朝米の非核化交渉が遅々として進まない膠着局面が続き、手に余った感動は色あせた。南北関係も朝米関係に連動して足を縛られたうえに、「金剛山南側施設撤去」の議論など、最近は後退するような様子さえ見られる。政府は政権発足初期に強く推し進めた朝米交渉の促進者・仲裁者の役割に、より一層力を入れると共に、南北関係も果敢な発想と新しい想像力を発動させて突破しなければならない。

 政治の領域には不足する点が多かった。選挙法・高位公職者犯罪捜査処法、ファストトラック推進など選択的な与野党との協力には成功したが、全般的に対決の政治が繰り返されている。文在寅政権を無力化しようとする自由韓国党が足を引っ張ったことが大きい。しかし、文在寅大統領が疎通と協治のリーダーシップを発揮して野党を十分に説得することができなかったのではないかについても、振り返らなければならない。相次いだ人事の失敗、特に「チョ・グク事態」でろうそく政府の公正性と正義に懐疑を抱かせ、弾劾された保守勢力の再結集に名分を与えた点は、絶えずじっくり考えて省察しなければならない。

 一部では文在寅政権が改革の「ゴールデンタイム」を逃したと指摘される。政権開始序盤に検察改革・経済改革の課題を力強く押し込むことができず、機を失ったということである。首肯する点が多い指摘だが、まだ遅くはない。今こそ冷静に深い反省と省察が必要な時だ。原則を守り失策を繰り返さない周密な戦略で、2年6カ月の任期後半の成功の足場を用意してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/916365.html韓国語原文入力:2019-11-09 02:32
訳M.S

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