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経済集中掲げた金委員長、「新たな闘争方向」に何を盛り込むか

登録:2019-04-11 06:12 修正:2019-04-11 08:41
金正恩国務委員長兼朝鮮労働党委員長が今月9日午後、平壌の労働党中央委員会本部庁舎で開かれた政治局拡大会議で、手を挙げて発言している//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長兼朝鮮労働党(労働党)委員長が10日、労働党中央委員会第7期4次全員会議を主宰し、「新たな闘争方向と方法を討議・決定」した。金委員長は9日午後、労働党本部庁舎で開かれた中央委政治局拡大会議で「緊張した情勢」を喚起し、「自力更生の革命精神を発揮し、党の新しい戦略的路線を徹底的に貫いていこう」と呼びかけた。

 「党の新たな戦略的路線」は昨年4月20日、労働党中央委第7期3次全員会議で採択した「社会主義経済建設総力集中」(経済集中)路線を意味する。「経済集中」戦略路線を固守する一方、ハノイ朝米首脳会談以降、岐路に立たされた朝鮮半島情勢の変化を考慮し、「新たな闘争方向・方針」を確定したものと見られる。戦略は変えず、戦術を変えるということだ。

 「新たな闘争方向と方法」の具体的な内容は11日早朝公開されると予想されるが、朝米交渉と南北関係に関連し、“変化したメッセージ”が盛り込まれた場合、朝鮮半島情勢の進路に重大な影響を及ぼす可能性が高い。

 金委員長が9~10日、党中央委政治局拡大会議と中央委全員会議を相次いで開いたのは、11日に最高人民会議第14期1次会議を通じて公開される“第2期金正恩政権”をけん引する政策と組織整備作業を、まず党レベルで論議・決定しなければならない必要があるからだ。3日連続の会議は異例だが、11日(現地時間)にワシントンで開かれる「韓米首脳会談に左右されるような姿を見せないためと見られる」(ク・ガブ北韓大学院大学教授)という分析もある。北朝鮮は労働党が国家を率いる党優位の「党・国家体制」だ。党中央委は、党の最高機関の党大会が行われない期間に、最高指導機関の役割を代行する。中央委全員会議が開かれない間は、党政治局または政治局常務委員会がその権限を委任されて代行する。

金正恩国務委員長兼朝鮮労働党委員長の「指導」で今月9日、労働党中央委員会本部庁舎で開かれた政治局拡大会議の場面。写真の赤い円の中の人物が金委員長の“秘書室長”の役割を果たしていると言われる金与正政治局候補委員/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 政治局拡大会議の決定事項として、「労働新聞」が10日付で報道した内容は二つだ。最高人民会議で公式に追認する2019年度国家予算の承認と党中央委全員会議の招集決定だ。

 金委員長が政治局拡大会議を「指導」しながら強調したメッセージと「労働新聞」が報じた内容は、“内部問題”に焦点が当てられている。対外メッセージはない。まず、金委員長は「党および国家的に解決が急がれる問題に対して深刻に分析」した。そして「緊張した情勢に対処し、幹部たちが高度な責任性や創発性、自力更生、艱苦奮闘の革命精神を高く発揮し、我が党の新しい戦略的路線を徹底的に貫いていくことを強調」した。2016年5月、労働党第7回大会で採択し、2020年末に終わる「国家経済発展5カ年戦略」の完遂に向けて、「経済集中」路線の実現に邁進しなければならないというメッセージと見られる。ペク・テヒョン統一部報道官も10日の記者会見で、「経済建設総力集中の基調が維持されるとみられる」と述べた。実際、金委員長は今月に入って三池淵(サムジヨン)・元山(ウォンサン)などの経済現場を集中的に現地指導し、政治局拡大会議の直前まで政治局常務委員のチェ・リョンヘ党副委員長を黄州郡の農業機械製作所など黄海北道の経済現場(「労働新聞」9日付2面)に、パク・ボンジュ内閣首相を金策製鉄連合企業所など咸鏡北道の経済現場(「労働新聞」10日付2面)に送った。“経済問題”を解決しようとする金委員長の意志の強さがうかがえる。

パク・ボンジュ首相が金策製鉄連合企業所と清津製鋼所など、咸鏡北道の「様々な単位」を「現地了解」(訪問して現状を把握し、対策を指示すること)したと、「労働新聞」と「朝鮮中央通信」が10日付で報道した/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 ただし、強力な制裁体制がもたらした「緊張した情勢」に対処する金委員長の方策は、ひとまず「自力更生・艱苦奮闘の革命精神」と「敗北主義と保身主義の根を絶つこと」だ。問題は金委員長が打ち出す「新たな闘争方向・方法」だが、崇実大学のイ・ジョンチョル教授は「戦略路線はそのままで、戦術の方向に変化を与えるということだが、その方向は予測できない状況」だと慎重な見方を示した。ク・ガブ教授も「強気に出ることはないだろうが、結果を待たなければならないかもしれない」と述べた。統一研究院のホン・ミン北朝鮮研究室長は「米国にこれ以上譲歩しないという背水の陣の性格の方針も考えられる」と指摘した。

今月9日、平壌朝鮮労働党中央委員会本部庁舎で開かれた党政治局拡大会議で、金正恩労働党委員長や政治局常務委員、委員らが手を上げ、意思を表している。写真の右側の赤い円の中の人物が金英哲労働党副委員長で、右から2番目の赤い円の中の人物がパク・グァンホ党副委員長/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 一方、国内外の一部のマスコミが身辺異常説を提起してきた対米交渉責任者の金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長は、先月10日の最高人民会議代議員に選出されたのに続き、9日の政治局拡大会議にも出席し、外見上の地位に異常がないことが確認された。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/889469.html韓国語原文入力:2019-04-10 22:23
訳H.J

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