インド南部のチェンナイに位置する現代自動車の工場で、労働者らが会社側との賃金・団体交渉が遅々として進まないことに抗議し、会社が提供する昼食を拒否していると現地メディアが伝えた。
16日、インド日刊紙「ビジネス・スタンダード」など現地メディアと労使の話を総合すると、現代自動車インド工場の労働者1万人余りが、先週から賃金・団体交渉の遅れに対する抗議の意味で昼食拒否運動を繰り広げている。工場には正規職と非正規契約労働者、研修生などが一緒に働いている。
同工場の労働者らは昨年4月から、会社側と10カ月間賃金交渉を行ってきたが、進展はなかった。現代自動車のインド工場は3年に1度、労使間の賃金・団体交渉を進めてきた。労働者らは現地メディアに「会社側が、賃金と団体交渉遅延問題のほかに熟練労働者に代えて研修生を利用している」と主張した。
現代自動車インド法人の工場は、生産職労働者1万人のうち約80%が非正規職だ。正規職2200人と非正規契約労働者5000人、研修生3500人で構成されている。同工場で労使対立の溝が深まったのは7年ぶりのことだ。インド工場は2008年から2012年まで、労働者のストライキや工場占拠座り込みなどで難儀した。当時、労働者らは、非正規職労組の認定や解雇者の復職、賃上げなどを要求し、ストを行った。
これについて現代自動車のインド法人側は、「生産ラインには厳格な管理・監督の下、研修生らが1年間の集中教育を終え、採用段階に入る。我々は生産ラインに非熟練労働者を雇用していない」と明らかにした。現代自動車本社の関係者は「労働者が賃金交渉を有利に導くため昼食を拒否し、会社側に圧力をかけたとみている。生産に支障をきたすストとは性格が異なる」と述べた。この関係者は「労働者は来週から昼食ハンストを解き、会社側と交渉を続けていくことにした」と付け加えた。
インドは現代自動車の初の国外工場所在地で、現代自動車のグローバル生産量の14%を担っている。現代自動車は、タミル・ナードゥ州チェンナイに1998年に年産30万台規模の第1工場を建設したのに続き、2008年には35万台規模の第2工場を建て、昨年インドで累積生産800万台を突破した。この工場では軽・小型級の「サントロ」と「i10」など9車種を生産している。