BMW車両で相次いで発生した火災事故の原因を調査してきた民官合同調査団(以下、調査団)が、排気ガス低減装置(EGR)のバルブが固着される現象が火災の原因だと指摘した。低減装置のクーラー亀裂にともなう冷却水沈殿物を原因だとしてきたBMW側とは異なる結論を下したわけだ。国土交通部は調査団の報告書をベースに、BMWが火災のリスクを分かっていながら欠陥を隠蔽・縮小したとし、検察に告発する計画だ。また、遅いリコールと関連しても課徴金112億ウォン(約11億円)を賦課する方針だ。
国土交通部は24日、調査団に調査結果報告書を提出させた後、BMWの検察告発と課徴金賦課などの処分に乗り出す計画と明らかにした。またBMWのリコール対象車両全体の吸気多岐管(intake manifold)を点検した後に交替させ、リコール対象車両以外のBMW車両の低減装置耐久性装置の追加リコールを要求するかどうかも検討する方針だ。
火災原因と関連して、BMW側は低減装置のクーラー亀裂で冷却水が漏れた状態で高速走行を維持し、かつバイパスバルブが開いているなどの条件がすべて満たされた状態で限定的に火災が発生すると主張してきた。
だが、調査団は低減装置のクーラーに亀裂ができ冷却水が流出した後、エンジンオイルなどと混じりバルブなどに付けば、バルブが閉じられない現象が現れる事実を確認した。これに対し摂氏500度を超える高温ガスが内部に流入すれば、クーラー内部の沈殿物から火花が出る現象が発生した。このようにして出た火花が、エンジン内部の吸気多岐管についていたオイル沈殿物などに移り、火災が発生したということだ。調査団は、BMW側の資料分析とエンジンおよび車両試験などを通してこうした事実を確認したと明らかにした。
調査団は、低減装置クーラーの設計欠陥も確認した。設計仕様書と異なり、クーラー内部の冷却水が沸騰し、バルブが完全に閉じられなかったり反応速度が遅くなる場合に作動するよう設計された警告システムが作動しなかったということだ。
自動車・法律・環境・消防の専門家と消費者団体が参加した調査団は、リコールの過程にも問題があるとの結論を下した。BMWは7月25日、“520d”など42車種10万6千台余りをリコールしておきながら、同じエンジン、同じ低減装置を使う車両6万5千台余りはリコールから除外した。これらの車両は、10月の2次リコールの対象になったが、BMWが意図的に1次リコール対象を縮小したと調査団は判断した。調査団は、低減装置のクーラーの冷却水沸騰現象を持続的にモニタリングして、リコール対象に含まれなかった吸気多岐管のリコールも必要と見た。
調査団は、BMWがこれらの欠陥を事前に知っていながら、これを隠蔽、縮小しようとした情況を多数確保した。ドイツ本社が2015年10月、すでに低減装置クーラーの亀裂問題解決のためのタスクフォース(TF)を構成し設計変更などを議論し、2017年からはBMW内部文書に低減装置クーラーの亀裂などが具体的に言及されていた事実を確認したということだ。火災事故後の7月に低減装置の欠陥と火災との相関関係を知ったという発表と相反する情況だ。
国土部は「消費者保護のために追加リコールの要求と検察告発を速かに履行していく」と明らかにした。自動車管理法は、自動車欠陥の隠蔽および縮小、遅いリコールの場合、10年以下の懲役または1億ウォン(1千万円)以下の罰金刑を宣告するよう規定している。
だがBMW側は、調査団の発表結果に強く反論した。BMWコリアは「国土部調査の結果、きわめて稀に発生する本件車両火災の根本原因は排気ガス低減装置クーラーの漏水ということが再確認された」として「冷却水の漏水は、クーラーのクラック(亀裂)のためであり設計欠陥ではない」と主張した。続けて「これはハードウェアの問題で、欠陥がある低減装置のクーラー交替を通じて解決できる」として「すでに顧客サービス次元で低減装置のクーラーに漏水が確認された車両に対して吸気多岐管の交換を進めている」と明らかにした。
BMWコリアは、国土部が遅いリコールを指摘したことに対しても「火災原因確認時点ですぐにリコールを開始した」と反論した。