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韓国政府「弾力労働制拡大を年内決着へ」韓国労総「労働政策後退」批判

登録:2018-11-19 21:20 修正:2018-11-20 07:53
イ・ヘチャン共に民主党代表が19日午後、国会で開かれた政策協議会でキム・ジュヨン韓国労総委員長に会い握手している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 弾力的労働時間制(弾力労働制)をめぐる労使政の葛藤が深まっている。政界に続き19日、雇用労働部が弾力労働制の単位期間拡大を推進する立場を確認し、イ・ヘチャン共に民主党代表とキム・ジュヨン韓国労働組合総連盟(韓国労総)委員長が会ったが、見解の違いを狭めることはできなかった。

 この日、アン・ギョンドク雇用部労働政策室長は、政府世宗(セジョン)庁舎でブリーフィングを開き、「6カ月でも1年でも、弾力労働制の単位期間拡大が必要で、今年中に労使政議論を終えるべきだというのが政府の原則」だとし「早期に労使政の合意が成立することを願うが、議論を労使政ばかりにまかせてはおけない」と明らかにした。今月16日、李洛淵(イ・ナギョン)首相は国内の銀行長たちに会い「弾力労働制拡大問題を年末までに解決する」と明らかにした。経済社会労働委員会は、弾力労働制を含む労働時間制度全般を扱う「労働時間制度改善委員会」の設置を議決することにしたが、議論時間が足りない状況だ。

 この日午後、民主党と韓国労総の政策協議会が開かれたが、労政は平行線を辿った。キム・ジュヨン韓国労総委員長は「新政府は労働尊重社会の旗じるしを掲げてスタートしたが、1年も過ぎないうちに最低賃金算入範囲の拡大に続き、弾力労働制の単位拡大まで推進し、労働政策が後退している」と憂慮した。イ・ヘチャン民主党代表は「韓国労総と政策協議を通じて十分対話する」と強調した。だが「制度が賃金削減や長時間労働の手段とならないよう、無労組事業場の労働者が被害をこうむらないよう対策を用意する」として、弾力労働制拡大を前提とした補完策を提示した。

 こうした中で、大統領府は22日予定通り全国民主労働組合総連盟(民主労総)の参加がないまま経済社会労働委をスタートさせることにした。キム・ウィギョム大統領府報道官は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が(経済社会労働委の委員を)招請する方式で、22日午後に大統領府で発足式を行う」と明らかにした。キム報道官は「民主労総が参加しなくとも発足式を進める」とし「弾力労働制問題は、経済社会労働委で社会的対話をした後、国会で後続議論を続ける予定」と付け加えた。民主労総は先月17日、臨時政策代議員大会を開いて経済社会労働委参加の可否を議決する予定だったが、定数未達で参加可否を決定できなかった。

 政府と国会が弾力労働制の拡大推進を繰り返し確認し、社会的対話の日程まで圧迫していることに労働界は反発している。ユ・ジョンヨプ韓国労総政策室長は「しっかりした社会的対話をするには、経営界が願う柔軟な勤務が現在のままでは不可能なのか、今が弾力労働制拡大の適期なのか、拡大によりどのような問題が生じうるのかを調べる時間が必要だ」として「政府が経営界の立場だけを代弁し、議論の期間を圧迫する態度を改めなければならない」と批判した。

 市民社会団体からも反発が出てきた。この日午前、民主弁護士会労働委員会、全国女性労組、全国化学繊維食品産業労組、参与連帯、青年ユニオン、韓国非正規労働センターは、国会政論館で記者会見を行い、「大統領府と与野党4党は、社会的憂慮にもかかわらず弾力労働制の拡大を早く推進し、労働時間短縮のための社会的合意を退行させている」として「名分を積むためにスタートもしていない経済社会労働委に議論を強要した」と批判した。

 経済社会労働委にも憂慮の声がある。ある経済社会労働委関係者は「社会的対話は時間を要する。原則的に社会的対話を進めている間は、立法の議論を中止することが前提にならなければならない」と指摘した。このように弾力労働制の拡大をめぐり、今年5月の最低賃金算入範囲改編の時のように社会的葛藤が深刻化するだろうという懸念が高まっている。

 労働専門家たちは、労使間で合意点を見出さなければならないと指摘した。カン・ソンテ漢陽大学教授(法学専門大学院)は「弾力労働制の単位期間を拡大しても、実質賃金の下落を防ぐ賃金保全案を用意して、一日・一週間単位の休息時間制度を通じて労使間の利益のバランスを求めるならば、合意は不可能でない」として「企業が責任をもって弾力労働制を適用するように、現在の『労働者代表書面合意』より強い要件を導入する必要がある」と話した。

イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/870911.html韓国語原文入力:2018-11-19 19:40
訳J.S

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