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「被害者らしさ」の検証?…その間に撮影性暴力の加害者は消えた

登録:2018-05-29 09:59 修正:2018-05-29 10:18
写真撮影会でのわいせつ行為疑惑=ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 有名ユーチューバーのヤン・イェウォン氏と、ヤンさんに対してわいせつ行為をしたという疑惑を受けているスタジオ運営者の間のカカオトークの対話内容をめぐり、「ヤン氏が望んでしたことであり、ヤン氏がスタジオ運営者を罪に陥れようとしている」という非難が強い。だが、性暴力被害者の“被害者らしさ”を検証しようとする態度は、被害者の純潔性を要求する2次加害であるだけでなく、犯罪行為である性暴力の状況そのものを消すことになるという指摘が出ている。

 韓国サイバー性暴力対応センターは27日、フェイスブックの公式アカウントを通じて「写真撮影会で写真が撮られた後、被害モデルたちが取った行動は理解し難いかもしれない。(性暴力の)被害者たちは意外と被害者らしい姿、純潔で無垢な姿を見せない」とし、「(このような姿のために)被害者たちが『自発的に』、『金を稼ぐために』撮影したと後ろ指を差されがちだが、非難の矢を受けなければならないのは被害者ではなく、組織的で産業化されたスタジオ撮影の暴力」だと強調した。

 これに先立ち、あるメディアはスタジオ運営者であるK氏が3年前にヤン氏と交わしたカカオトークのメッセージ内容をもとに「ヤン氏の方から先に仕事を取ってほしいと言った。わいせつ行為をしたならこのような会話は交わさなかったはずだ」と報道している。この事件のように、性暴力被害者の態度と言行を第三者が先頭に立って判断し、「保護されるべき被害者」と「保護しなくてもいい被害者」に分けることは、性暴力犯罪報道に対する韓国社会の長年の慣性だ。問題は、このような慣性が作動する原理に「被害者保護」という当然の人権保障の観点が抜けているという点だ。「韓国女性の電話」のコ・ミギョン常任代表は「被害者が徹頭徹尾何の問題もない『純潔な被害者』でなければその供述と被害者性を認められないという態度が、今回の事件にも如実に表れている」と指摘した。繰り返される性暴力被害の訴えにも、質問の方向が被害者のみに返ってくる点もやはり克服しなければならない慣性に挙げられた。建国大学体文化研究所のユンキム・ジヨン教授は「性暴力被害者の被害供述が非常に一貫していても、むしろ『深刻な被害を受けたのにどうして少しの誤差もなく話ができるのか?』と、被害者を疑う。被害者が一貫しない発言をすることが問題ではなく、一貫した話をしてもこれを信じず疑おうとする誤った通念があるのではないか、振り返らなければならない」と指摘した。

 特に性暴力事件の場合、被害者が自分の被害事実と心理状態を正確に把握することは難しい点を綿密に考慮しなければならないという主張もある。韓国サイバー性暴力対応センターは「加害者が被害者の撮影物を確保した以上、被害者は加害者の気分を害さないよう、無理な要求でも受け入れてしまうようになる」と説明した。羞恥心を感じたサバイバーが「自暴自棄」の状態で暴力状況に露出されるのは、典型的な性暴力サバイバーの反応ということだ。ユンキム・ジヨン教授も「自分のトラウマを記憶することは非常に苦痛なことなので、性暴力サバイバーがこれを意識的に記憶しないようにしたり、事実とは異なる矛盾した話をする状況は非常に多い」とし、「これに対して『被害者が虚偽告訴罪だ』と主張するのは、明白な2次加害」だと指摘した。実際、ヤン氏は26日、SBSとのインタビューで「(室長が)すでに撮った写真を持っていると言うなど、脅迫に聞こえることを言った」とし、すでに撮影された写真などによって「自暴自棄な心境」で撮影に応じたと証言している。

 より根本的には、「スタジオ撮影会」という性暴力の現場で、女性モデルが被害者にならざるをえない構造を変えなければならないという指摘も出た。韓国サイバー性暴力対応センターは「女性を撮影した撮影物を販売し、これを供給された流通プラットホームは視聴者を通じて金を稼ぎ、視聴者たちはこれを他のプラットホームに再流布する。この輪の中で女性は徹底した財貨であり、いつでも出金可能な“ATM”になる」とし、「これと同じ構造を利用して金を稼ぐ加害者に非難の矢を向けなければならない」と明らかにした。被害者の純潔性を問う質問と批判の方向を、性暴力を体系化する構造の側に向けなければならないということだ。

ファン・クムビ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/846550.html韓国語原文入力:2018-05-28 20:49
訳M.C