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[時論]憲法裁判所,手続き的正義 正しく立て直さねば

登録:2009-08-29 00:43

原文入力:2009-08-28午後07:59:14
チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授

現在メディア法代理投票と再投票の効力停止仮処分申請とこの投票の違法性を争う権限争議審判に対する審理が憲法裁判所で進行中だ。事実国会が自身の固有権限をきちんと行使できず憲法裁判所にチョロチョロと走って行ったことは1,2回ではない。今回の場合も言論環境の全面的変化を企図する法律改正なので国会はいくら時間がかかろうが熟考,対話,妥協の政治力を発揮しなければならなかったがそうはならなかった。国会は格闘場と化し、投票の違法性判断が憲法裁判所にまかせられて国会は自身の権威を自ら落とした。

今回の事件の核心争点はメディア法の代理投票が存在したのか、存在したとすればそれが国会法に違反し他の議員の表決権を侵害したのか、そしてメディア法再投票が‘一事不再理の原則’に反したのかなどに要約することができる。

先ず代理投票有無は国会本会議場のCCTV,各放送会社の録画画面,本会議場にいた色々な人々の証言から簡単に確認できるはずだ。与党議員が野党議員席で賛成表決ボタンを押そうが、野党議員が与党議員席で賛成表決ボタンを押そうが、いずれにせよそういうことがただの一件でもあったとすれば、これは国会法違反であることはもちろん、議会民主主義に対する重大な侮辱だ。野党の投票妨害があったからと言って代理投票を正当化することはできないので、このような重大な手続き的誤りがある法律は当然無効だ。憲法裁判所は今後、国会議事手続きでの原則と品格を打ち立てるためにも断固たる決定を下さなければならないだろう。

次に‘一事不再理の原則’というのは一度“否決された案件は同じ会期中に再び発議または提出できない”という原則だ(国会法第92条). 2008年に発刊された<国会先例集>には“議長が投票終了を宣言した時はこれ以上投票できない”と明示されている。ところが放送法の場合、イ・ユンソン国会副議長が表決開始を宣言し表決が進行された後に投票終了まで宣言したにも関わらず再投票に入り通過させた。花札賭博ですら守られる‘落張不入(場に張った札は戻せない)’の原則が国会表決という国家重大事で守られなかったのだ。以上の点から‘一事不再理の原則’侵害主張は強い根拠を持つ。国会事務局とハンナラ党は投票に参加した議員が在籍過半数に達し得なく表決が不成立した場合なので、‘一事不再理の原則’背反は発生しないと主張している。‘不成立’と‘否決’を区別しようとするこのような主張が妥当だとしても、まだ別の法的問題がある。再投票ログ記録によれば当時国会副議長が再投票宣言をする以前にすでに68人が投票を行っていた。これは議長の表決宣言後の投票開始を規定した国会法第110条に違反する事前投票だ。

事実‘政治の司法化’は望ましいことでない。選挙で選ばれ民主的正当性を持つ政治家たちが自身の任務をきちんとできずに選出されたのではない法律専門家である憲法裁判官の前に走って行って自分の手をあげてくれと訴える事態が起きたことは嘆かわしい。しかし、現在のような政治環境の中では憲法裁判所がやむを得ず国会の立法領域に介入することは今後も起きるだろう。そうであれば今回の機会に憲法裁判所は手順を踏んだ民主主義の原則を確実に打ち立てなければならない。そうして今後、各種の国会内不法・変則表決が発生する可能性を封じ込めなければならない。たとえ政府と与党が推進するメディア法改定の目的が至高至善だとしても、それが手続き的正義の破綻まで容認するものでは決してない。手続き的正義なき議会民主主義は市井のやからの賭博勝負より劣ることを皆が肝に銘じなければならない時だ。

チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授

原文入力: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/373713.html 訳J.S