本文に移動

ろうそく集会の市民たち、強者の横暴がまかり通る社会を変えられる希望が見えた

登録:2016-12-12 01:45 修正:2016-12-12 08:19
氷点下の寒さにも全国から集まった100万人の市民たちは「一人また一人が集まって絶対的とされていた大統領を引きずりおろした」という自信にあふれており、崩れ落ちたかのように見えた民主主義を市民の力で復活させたことに希望を見出したと口々に言った//ハンギョレ新聞社

 10日のろうそく集会は、市民の勝利をもう一度確認する場であると共に、国民の戦いがまだ終わっていないことを確認する場でもあった。氷点下の寒さにも全国から集まった100万人の市民たちは「一人また一人が集まって絶対的に見えた大統領を引きずりおろした」という自信にあふれており、崩れ落ちたかのように見えた民主主義を市民の力で復活させたことから希望を見出したと口々に言った。

 ハンギョレが取材した61人の市民の間では「職務が停止された朴大統領が大統領職に居座って時間を稼いでいることが、国をさらなる混乱に落とし入れている」として、即刻退陣を要求する声が圧倒的だった。また、弾劾以降、最も重要な課題として、財閥と政界の政経癒着を断ち切り、政治検察を改革することなどを挙げた。

■市民の力に希望を見た

 大学生のキム・ヒョンインさん(24)は「実は、我が国の市民意識に疑問を抱いていた。ところが、今回のろうそく(集会)を見ながら、一人ひとりが力を合わせて、政治も財閥も変えていけるという希望を見た」と語った。キムさんは「(大統領だけでなく)既得権皆が腐敗した状況だが、これも市民の力で変えていけるという期待感を持てた」と話した。会社員のファン・ミオクさん(37)も「ここまで来られたのは、国民一人ひとりの関心と参加があったからこそ可能だったと思う」と評価した。彼女は「これが本当の始まりだ。特検と憲法裁判所など権力機関が自分の役割をきちんと果たせるようにするためには、国民がこれからも関心を持って見守らなければならない」と話した。

■国が混乱に陥ている。直ちに退陣せよ

 会社員のホン・スングヮンさん(49)は、辞任を拒否し、憲法裁判所の弾劾事件の審理に臨むという朴大統領に対して、「退陣せず居座ることがさらなる混乱をもたらす状況ではないか」と指摘した。朴大統領が民意に反し、国会の審判にも反して、粘れば粘るほど、国政混乱はさらに深まるだろうという懸念が続出した。イ・ジェヨンさん(41)は「(朴大統領)自分が混乱を招いておいて、国政の混乱を心配する姿にはあきれる」と指摘した。ろうそく集会のために全羅南道新安(シンアン)から船まで乗って上京したコ・ジソンさん(40)は「空白はやむを得ない。自ら辞任することが、国政の安定につながる。そうしなければ、国民の混乱した気持ちも早く落ち着かないだろう」と話した。

 朴大統領がこれまで3回にわたる談話を通じて“姑息な手”を使ってきただけに、時間を与えたらまた新たな“小細工”をするかも知れないという懸念を示す人もいた。ファン・ミオクさんは「これまでの3回の談話で、どうにか法の穴をかいくぐろうとしたことを見ると、放っておけば、また謀略を企てるかもしれない。弾劾直後、チョ・デファン弁護士(セウォル号特別調査委員会で委員会の調査を妨害し、セウォル号遺族を侮辱する発言を繰り返した与党推薦の委員)を民政首席秘書官に任命したことを見ても、そうではないか」と語った。オム・ミンヨンさん(48)も「弾劾案が可決されたからといって、ろうそく集会への参加人数が減れば、朴大統領と保守勢力がまた何かを企てるのではないかと心配している」として、「(国民の)退陣要求には変わりがないことを、これからも示し続けなければならない」と主張した。

■憲法裁は早く決定すべき…横教安は疑問符

 朴大統領の職務が停止され、もはやボールは憲法裁判所に渡った。黄教安(ファン・ギョアン)首相が大統領権限代行として国政を率いている。市民たちは混乱を最小化するために、憲法裁に早急な判断を求める一方、黄首相について疑問を呈した。集会に参加したチョ・ヒョンボクさん(45)は「最大180日以内に結果が出るというが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の時には62日しかかからなかったのではないか」とし、「判断が遅れるほど、混乱が続くだろう。できるだけ早く進めて、今年中にも判断してほしい」と話した。

 大学生のキム・ミンジェさん(27)は「黄教安首相は、朴大統領の最側近であり、附逆者ではないか」としたうえで、「黄首相が大統領を代行することは認められない。国民が支持する人が首相に選出されて(大統領を)代行するようにすべきだ」と主張した。慶尚南道居昌(コチャン)からバスに乗って上京したキム・シンヘンさん(71)も「黄教安が一言も苦言を呈しなかったから国がこのような状況になったのではないか」と指摘した。また、息子と共に集会に参加したペ・ベチュンフヮンさん(40)も「黄首相も朴槿恵同様に考え方が凝り固まっている。まるでここに設置されている車壁のようだ。誰に変えても今よりましだろう」と話した。一方、キム・ボヨンさん(36)は「気に入らないが、黄首相体制で行くのが現実的である。ただし、最小限の役割を果たすのに止めるべきだ」と強調した。

■財閥改革、最も緊要…セヌリ党は解体すべき

 ろうそく集会の民心は今後、早急に解決すべき国政課題として「政経癒着を断ち切ること」を挙げた。先週「朴槿恵-チェ・スンシルゲート」国政調査特委聴聞会では、財閥総帥らは影の実力者とどのように結託して国政壟断の共犯になったのかが明らかになった。会社員のソン・ジェホさん(39)は「財閥は行き過ぎた。貧富の格差はさらに開いている」として、財閥改革を主張したし、イム・スアさん(41)も「財閥は最も大きな悪の枢軸である。にもかかわらず今も“知らぬ存ぜぬ”の一点張りだ。責任を負って退かなければならない」と批判した。光州(クァンジュ)でろうそく集会に参加したキム・ミョンリェさん(44)は「金持ちだけがさらに財産を増やしていくような二極化構造を変えなければならない」としたうえで、「財閥と国家がぐるになって不正腐敗を犯すことを透明に監視できるようにすべきだ」と話した。

 市民たちは“ろうそく”を大統領の弾劾を越えて長年の積弊を清算する機会にすべきだと主張した。特に、朴大統領と側近らが、国政を壟断している間、手先となって動いたセヌリ党の解体を要求した。食堂を運営するパク・ギョンホン(53)は「今回の事件でもわかるように、セヌリ党は国民の意思に反する政党だ。解体しなければならない」と話した。蔚山(ウルサン)でろうそく集会に参加した主婦のキム・ジヒョンさん(41)も「セヌリ党は、今回の事態に責任を負って解散すべきだ」とし、「健康な保守層を代弁する政党に再編されなければならない」と主張した。

■公正・透明・福祉を求める

 同日のろうそく集会に参加したセウォル号事故の遺族パク・ジョンデさん(52)は「スタート地点における不平等を是正しなければならない。チョン・ユラ、チャン・シホのような特権層のやり方が若者たちに剥奪感を与える事件が発生しないように、若者たちに公正な機会を与えなければならない」と要求した。シン・ジェシクさん(65)も「チェ・スンシルのように金持ちだけがさらに多くのものを手に入れて、貧しい人はずっと貧しいままになってはならない。経済正義が実現されてほしい」と希望した。

 チョ・ヒョンボクさんは「大統領の足取りををまるで国家機密のように話しながら、その裏に隠れて不正腐敗を犯していた」としたうえで、「行政の透明性を高めることが最も急がれる」と主張した。家族と共に集会に参加した主婦のキム・ボヨンさん(36)も「セウォル号7時間の間、何をしていたのか、2年が過ぎた今でもわからない現実がもどかしく、また呆れるばかりだ」とし、「大統領の足取りを知ることは国民の権利だ。大統領のような高位公職者を透明に監視できる体制が必要だ」と主張した。

ホ・スン、キム・ギュナム、パク・スジ、パン・ジュンホ、シン・ドンミョン、チョン・デハ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/774197.html 韓国語原文入力:2016-12-11 19:38
訳H.J(3154字)

関連記事