北韓の相次ぐ威嚇で韓半島の緊張が高まり、大統領府がジレンマに陥った。 朴槿恵(パク・クネ)大統領が対北韓政策として公約した‘韓半島信頼プロセス’を実行する余地がたやすくはできずにいるためだ。
朴大統領は先月19日、宗教指導者との昼食会で 「北韓が今からでも核を放棄し正しい道に出てくるならば、韓半島信頼プロセスを積極的に稼動し北韓を支援するという約束を差し上げる」と話すなど、何回も韓半島信頼プロセス実行と関連した意志を表わした。 大統領府参謀らも 「韓半島信頼プロセスを実践するという朴大統領の意志は確実だ」と口をそろえる。
問題はこのプロセスが作動するための最小限の前提が、北韓の核挑発中止という点だ。 北韓はすでに第3次核実験に続き寧辺(ヨンビョン)原子炉の再稼働を宣言するに至った。 朴大統領が韓半島信頼プロセスを稼動したくとも、相手方である北韓が‘協力’しない状況である。 国際共助の強化という原則的な接近も妙案になりえずにいる。 大統領府核心関係者は 「今、韓半島の安保状況が信頼プロセスを推進できる状況ではない。 如何ともし難くもどかしい」と話した。
当初、朴大統領がこのような公約を用意したのは、強硬一辺倒で南北関係を梗塞させた李明博政府を反面教師としたためだ。 2002年には自身が特使として北韓を訪問し、金正日国防委員長と‘対話’を交わした経験もある。 だが、今は朴大統領が金大中・盧武鉉政府の時のように宥和政策を展開すれば、北韓に‘瀬戸際戦術’が役立つという誤った信号を与えかねず、主な支持基盤である保守層の反発も耐え難いものになるというのが大統領府の判断だ。
結局、朴大統領は北韓の挑発と険悪な言葉が繰り返される状況では断固たるメッセージを出さざるを得ない複雑な境遇に置かれている。 「核を頭に載せて暮らすことはできない。 北韓が挑発すれば断固として対処する」(3月19日宗教指導者昼食会)という話でも、 「わが国民と大韓民国に対して何らかの挑発が発生するならば、政治的考慮を一切せずに初戦で強硬対応しなければならない」(4月1日 国防部業務報告)とした発言などが、全てこのような脈絡から出たわけだ。 大統領府関係者は「北韓の挑発には何らの政治的考慮もせずに対応するというのが朴大統領の正確な態度」と語った。
チョ・ヘジョン記者 zesty@hani.co.kr