記事登録:2012/10/05 19:05(1481字)
このほどソウル広場に殺到した市民前でサイはこのように話した。 "二度とこのような状況が来ないということを知っています"。 市民の熱烈な歓呼に対する感謝の表現かもしれないが、音楽業界の関係者にとってはヒヤッとする話だった。現在のように、音楽家の創作と演奏意欲を抑圧する著作権制度では‘二度とこのような作品は生まれないだろう’という意味に聞こえるからだ。
彼の‘江南(カンナム)スタイル’は国内の音楽チャートであるカオンでこれまで9週間1位を占め、ダウンロード286万件、リアルタイム・リスニング2732万件を記録した。しかし総売り上げはせいぜい5億ウォンで、製作・作詞作曲・演奏者に入る著作権料は2億1000万ウォン程度に過ぎない。300億ウォンに達すると推定される海外のアイチューンズの売り上げと差が激しい。そのうち著作権料は210億ウォンに達する。このように大きな差が出る理由は、何より奇形的に安い使用料と収益配分構造によるところが大きい。
外国の一曲あたりのダウンロードの最低価格は米国791ウォン、カナダ803ウォン、英国1064ウォン、日本2237ウォンという。 しかし韓国の最低価格は63ウォンに過ぎない。収益配分でもアイチューンズの場合、流通社に30%、残りの70%は著作権者(12%),レコード製作者および実演者(58%)に回される。だが、我が国では流通社がなんと57.5%も持っていく。才能は音楽家が振るい出し、収入はサービス業者が取り上げるかっこうだ。
いびつに安い音源使用料は大型サービス業者が主導するいびつな販売方式から始まった。規定上ダウンロード料金は一曲あたり600ウォンだ。しかし低価格な定額制などによって実際の価格は60ウォン代に落ちる。市場全体の90%を占める低価格な定額制は、1万ウォンだけだせば1ヶ月間、無制限にリアルタイムなリスニングに150曲までダウンロードできる。今後ダウンロードできる量を100曲に減らすというが、それでも一曲の使用料は105ウォンに過ぎない。
このような構造は音源サービス業者が音楽家との関係で絶対的優位になっているからのようだ。ただし使用料の徴収承認権がある文化部が、サービス業者を牽制するどころか彼らの肩を持っている点も大きい。
今春韓国の著作権協会などの音楽家が立ち上がって、定額制の廃止などを主張したが文化部は低価格な定額制を維持させた。与野党の議員が文化部の承認権をなくして、定額制を規制する方向で著作権法を変えようとしている。流通業社と音楽家が自律的に音源価格と徴収体系そして収益配分構造を決めるようにする一方、サービス業者の不公正取り引きを規制しようというものだ。
遅まきながらも幸いだ。
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/554477.html 訳T.W