原文入力:2012/05/22 19:44(5717字)
←チョン・ヤングン南北経済協力活性化推進委委員長
「5・24措置2年」討論会
インタビュー:チョン・ヤングン南北経済協力活性化推進委委員長
「5・24措置で傷ついたのはむしろ正しい対北関係の原則だ。」
「5・24措置2年、南北関係転換と19代国会の課題」という主題で21日国会議員会館小会議室で開かれた討論会で噴出した憂慮の声だ。 社団法人韓半島平和フォーラムと市民平和フォーラムが主催したこのシンポジウムは、2010年の天安(チョナン)艦事件発生2ヶ月後の切迫した状態で発表された5・24措置の影響を集中分析した。 参席者はこの措置が破壊したのは、南北経済協力・人道支援・社会文化交流の全分野で過去15年間発展させてきた原則だという点を強調した。 果たして来る6月に開院する第19代国会ではこのような問題点を正すために何をすべきだろうか?
南北経済協力参加企業家の集まりである「南北経済協力活性化推進委員会」のチョン・ヤングン委員長は、南北経済協力事例発表と発表後のインタビューを通してもどかしそうな表情だった。 チョン委員長だけでなくすべての南北経済協力企業家にとって5・24措置は企業の命綱を絶つ行為であり、民族経済共同体の実現という南北経済協力の本質的意義さえも喪失させる程の障害物になっているためだ。
チョン委員長が代表を務める南北経済協力活性化推進委員会は、5・24措置など現政権の南北経済協力制限措置で被害を受けた南北経済協力企業家が集まって去る2月17日発足させた団体だ。 チョン委員長はこの日全南北経済協力経済人を代表して、19代国会で南北経済協力企業被害事例を調査する調査処を新設し補償立法を制定しなければなければならないと強調した。
-開城(ケソン)と金剛山(クムガンサン)などの地で活発に事業をされたと聞いている。
「開城では開城工業団地の外郭地域の北の土地で農業をして、開城工業団地の労働者に食材と日用品を供給する事業を進めた。金剛山では北の農産物を加工して販売する事業を進めた。 だが、この二つの事業体は現在両方とも運営できないだけでなく、事業場訪問さえ出来ずにいる。 「トゥダム」という会社名で運営していた開城の事業は、第1段階として販売所と貯蔵所を建てた状態から進展出来ずにいる。 そのうえ開城工業団地のすぐ外側にあるという理由で、事業場訪問まで不許可が続いている。 金剛山事業場の場合も、訪問不許可が続く中で2011年初めには在庫状態で古くなった農産物の状態が悪化し1億5千万ウォン分を焼却するという苦痛も経験した。」
「5・24措置は企業の命綱を断ち切り、
南北経済協力の本質までも失わせる障害物」
-南北経済協力活性化推進委員会に参加している他の経済協力企業家も5.24措置などで困難な状況にある方が多いと思うが。
「委員会は以前あった南北経済協力事業者協議会、金剛山地区企業協議会など多様な南北経済協力事業者団体が一つに力を集めて構成したものだ。 みな大きな困難に直面している企業だ。 多くの人が破産したし、さらには命を捨てるという衝動まで感じざるを得なかった人たちもいる。 一例として、5.24措置以前には北の企業への送金は包括承認を受ければいつでも可能だったが、現在は一件毎に承認を受けなければ送金できない。これに違反すれば何か思想犯にでもなったみたいに、警察署の保安係へ呼ばれて調査を受けることになる。」
-統一部をはじめ政府で支援対策として出したものはないか?
「南北経済協力企業が集まって声を高め、支援策を引き出したこともある。 去る2月にも経済協力企業を対象に総額400億ウォンの貸し出しが成された。 だが、このような支援は、キツネが鶴を招待しておいて皿に食べ物をのせて出したようなものだ。 支援対象と範囲などに被害企業等の意見が全く反映されなかった。 一例として、貸し出し条件が3年連続赤字である企業は信用貸し出しを受けられないことになっているが、すでに現政権がスタートした2008年から3年間ずっと赤字だった企業が相当数だ。 さらに廃業した企業の場合、もっと被害が大きいのに支援対象にさえなれない。 こういう状況であるにも拘らず、統一部は被害企業の状況がどうかについて全数調査さえ一度もしていない。」
-このような状況の中で、19代国会で一番最初にすべきことは何か?
「何よりも、南北経済協力企業体の被害調査が成されなければならない。 国会に経済協力事業被害調査処を設けて、公正な立場で被害申告などを受け付けるようにしなければならないと考える。 現在、南北経済協力に関与していた企業が全国的に約1100ほどに達するものと把握される。 このうち相当数の企業が被害を受け、多数は廃業をする段階にまでなっている。 これらの企業がどれくらい被害をこうむったのかを把握することが、先ず成されなければならない。」
「中国と台湾はたとえミサイルが発射されても
経済協力を中断しはしなかった」
-被害調査の次に国会でしなければならないことは何か?
「最も基本的なことは、19代国会で、被害を受けた経済協力企業が再び南北経済協力ができるように雰囲気を作らなければならないということだ。 今被害をこうむっている企業はほとんどが、南北経済共同体という民族のビジョンを実現する先頭に立っていた人々だ。 彼らの努力が失敗に終わることになれば、今後南北経済協力をすると言い出す企業はないだろう。 2010年の大韓商工会議所資料によれば、企業家の80%はすでに、今後南北関係が正常化したとしても南北経済協力事業に参加する意向がないと明らかにしている。 したがってこの人たちが再起できるように条件を作らなければならない。」
-どんな方式が最も良い方式か?
「まず被害を調査したら、それによって補償などをする立法が成されなければならない。 今後南北経済協力事業が再び発展していくためには、経営外的事由すなわち南北間の政治的理由で正常な事業進行が難しくなった場合、これに対する補償を南と北がしなければならないという趣旨の立法が必ず必要だ。 補償立法が特別法になるのか一般法になるのかなどについては今後さらに議論すべきだが、南北経済協力発展に必須の政経分離原則を確立するためにも補償立法は必ず実現されなければならない。」
チョン委員長はインタビューと事例発表において、終始中国と台湾の成功した経済協力事例を強調した。「中国と台湾はたとえ中国でミサイルが発射されても経済協力を中断することはなかった。 そしてこれが現在の中国-台湾間の交易規模が1500億ドルに成長できた主な要因だ。」 チョン委員長は我々南北経済協力企業家も再起して、中国と台湾に劣らぬ経済交流を成し遂げるのに一つの役割ができればと思うと強調した。
キム・ボグン ハンギョレ平和研究所長 tree21@hani.co.kr
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←韓半島平和フォーラムと市民平和フォーラムが21日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館で「5.24措置2年、南北関係転換と第19代国会の課題」を主題として開いた討論会で、参加者が討論している。 舞台上、右からチョン・ギョンナン市民平和フォーラム運営委員長、チョン・ヤングン南北経済協力活性化推進委員長、司会を務めたチョン・ヒョンベク成均館(ソンギュングァン)大教授、カン・ヨンシク対北協力民間団体協議会運営委員長。 イ・ジョンウ先任記者 woo@hani.co.kr
「昨年北にびた一文支援せず
後世は狂乱の時期と記録するだろう」
人道的分野
「5.24措置以後の期間を後世の歴史は狂乱の時期と記録するでしょう。」
カン・ヨンシク対北協力民間団体協議会運営委員長は、5.24措置以後2011年に政府の実質的対北支援が“0”になったことを指摘しながら声を強めた。 それまで政府は当局次元の支援、民間団体を通しての支援、食料借款を通しての支援など多様な方式で北を支援してきたが、2011年にはこのすべての領域で支援がなかったという。 ただ国際機構を通しての支援65億ウォンが執行されたが、これもまた2010年に決定されたものであることを考慮すれば、昨年政府は文字通り北にびた一文支援しなかったということになる。
2011年131億ウォンを北に支援した民間次元の人道的支援も状況は同じだ。 民間次元の人道的支援はこの期間に、韓国当局の“政治的道具”に転落した。 政府は5.24措置直後、いかなる対北支援も許さなかった。 昨年から部分的に幼児対象支援と小麦粉支援を許容したが、政治的状況により再度規制を繰り返した。 カン委員長はこれは人道的支援を対北圧迫政策の手段に転落させたことを意味すると批判した。
カン委員長は政府のこのような無原則と傲慢がよく現れた事例として昨年の対北水害支援協議過程を挙げる。 2011年6~7月、北に水害が発生するや、政府は50億相当の水害支援物品を提供すると言った。 これに対し北が「食糧とセメントなどを提供してほしい」と要請したが、政府は軍事的目的に転用される可能性を理由にチョコパイや幼児用菓子などを中心に物品を送ると主張して結局支援が失敗に終わった。 カン委員長はこのように人道的支援が政治的考慮に左右されることにより、南北共に人道主義的精神を失うことになったと指摘した。
キム・ボグン ハンギョレ平和研究所長
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←左からチョン・ヒョンベク成均館(ソンギュングァン)大教授、カン・ヨンシク対北協力民間団体協議会運営委員長、チョン・ギョンナン市民平和フォーラム運営委員長.
「交流許可ほとんど出さず
住民たちと会う機会まで封鎖」
社会文化部門
5.24措置は社会文化分野の南北協力にも大きな打撃を与えた。 6.15南北首脳会談以降、活発に開かれていた政府次元の会談がイ・ミョンバク政府スタート以後急激に減り、5.24措置以後にはほとんど開かれなかったという。 そのうえイ・ミョンバク政府は、民間次元で進められる社会文化交流もほとんど許可しなかった。 チョン・ギョンナン市民平和フォーラム運営委員長はこれと関連して「統一が政府と民間が共に作っていく過程だとすれば、このような民間部門の社会文化交流の縮小はそのまま政府の動ける余地を狭めることにほかならない」と強調した。 以前の政府で社会文化交流は政治的な問題のために南北関係が梗塞した時にそれを解く緩衝材の役割をしたりもしたが、もうそのような役割を期待するのは困難になったということだ。
チョン委員長がさらに残念に思う部分は、このような社会文化分野の交流縮小によって「南北住民が統一を準備し主体になっていく空間を失った」ということだ。 チョン委員長自身も2000年代中盤から社会文化分野の交流に参加して北の人々に会う中で、長期にわたる分断が作り出した異質性を体感し、さらにそれを基に民族同質性の回復について深く考えるようになったと指摘した。
にも拘らず5.24措置などにより南北住民が会う機会まで封鎖される期間が長くなるならば、真の和解の方法を見出すことは遥か先のことになると強調した。
チョン委員長はあらゆる分野で対北協力と支援を禁止している5.24措置が国民の目の高さに合わせた政策であるという政府の主張にも、疑問を提起する。 2011年ソウル大統一平和研究院の調査を見れば、5.24措置以後にも国民は北を警戒や競争、あるいは敵対の対象(36.3%)ではなく支援や協力の対象(63.7%)と考えているというのだ。
キム・ポグン ハンギョレ平和研究所長
「経済協力は政経分離原則を立て
被害者補償法制定に取り組まねば」
第19代国会の課題
「原則の回復と維持のための立法化」
「5.24措置2年…」の討論会に参加した主な討論者が19代国会の課題として一様に強調する部分だ。 5.24措置によって破壊された統一関連原則を立て直し、これからはそのような原則破壊が起きないように法律を制定して安全弁を作らなければならないということだ。 一番初めにしなければならないのは、破壊された原則を回復すること。5.24措置は南北経済協力、人道的支援、社会文化交流を全面的に封じ込めて、1988年の7.7宣言以降様々な試行錯誤を経ながらも確立されてきた政経分離、人道的支援の政治的利用禁止、民間部門の南北交流支援と奨励という根本原則を全て大きく傷つけた。 これによる被害者は、交流協力の直接当事者だけでなく全国民だ。 たとえば南北経済協力の当事者が大きな損害をこうむるのを見て企業家たちが南北経済協力に参加することを一層敬遠し、その結果南北経済共同体構成が遅れたり不可能になった場合、その損失は経済人だけのものではない。 社会文化分野の交流縮小により国民が主体になれない場合、引き立て役に転落するのも交流協力の直接当事者に限定されない。 討論会参加者たちは、19代国会ではこのような状況を正確に把握して、再発防止のための立法化に積極的に取り組むべきだと強調した。 経済協力分野では何よりも政経分離の原則と経済協力被害者補償法案の準備を、社会文化分野では南北社会文化交流振興法の制定を、核心課題に選んだ。 そして人道的支援分野では支援するかしないかを巡る消耗的論争を行なうのではなく、どのように支援することが国民的合意に基くものかを論議し立法化しなければなければならないと強調した。
キム・ポグン ハンギョレ平和研究所長
原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/534087.html 訳A.K