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[社説]国民を見殺す腐敗、無能、政治警察

登録:2012-04-09 00:00
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/527284.html原文入力:2012/.0/4.08 19:22(1385字)
 救命を訴える絶叫が続く1分20秒間、警察は五回も場所を尋ね続けた。‘モッコル公園ですか?’‘チドンですか?’‘暴行されているの?’‘地動小学校?’‘住所はどこですか’。はなはだしくは‘誰がしているの?なぜ分かる?どうやって入ったの?’と尋ねた。その間に‘早く、早く’と叫んでいた被害者の声は‘助けて、助けて下さい’に変わり、まもなく悲鳴と嗚咽が響き、約6分後沈黙した。
 そのように、もたもたやり取りしている間に20代のまじめな女性は凄惨に亡くなった。非正規職で、休日勤務や夜勤で家計を助けながら、はぐくんでいた小さな夢もこなごなに砕けた。日雇い労働者の父親のカードローンを返し、幼い兄弟に小遣をあげるために昼夜を問わずに携帯電話の部品製造にあけくれた彼女の細い身体はずたずたの遺体にされた。その日警察が放置したのは一人のかよわい女性、生活に苦しんだ非正規職労働者だけでない。警察と通話しながら感じた彼女の絶望は残された者たちの絶望でもあり、彼女が監禁されて死亡するまでの7時間前後の恐怖は、やはり国民誰しものものだった。2012年4月、韓国の警察が見捨てたのは国民皆の生命と安全だった。
 警察官がぞろぞろと出てくる‘ルームサロンの皇帝’イ・ギョンベク事件の後処理に汲々としたせいか?。あるいは検察と権益争いに没頭するのに、それとも権力の下請けを処理するのに追われてか、はるか昔に本分を忘れてしまったせいだろうか。もともと国民の生命と財産を守ることには無能なばかりで、関心も持たなかった。緊急指令室は通報を受けた内容でさえまともに伝えず、捜査班はとんでもないところをさまよい、その上に3時間や7時間も後に二次出動し、緊急な事件であるのに無線の広域発信もしなかった。その結果犯人のすぐ近くにいながら、被害者が殺されるまで遊園地や路地、学校運動場などを回っていた。該当警察署の捜査課長は翌日午前9時に現場に出動しながら、あたかも申告直後から現場を指揮したように発表し、112センター(訳注:日本の110番)は通話時間と内容を偽って発表した。韓国警察の素顔はこのように残忍だ。
 昨日チョ・ヒョノ警察庁長官は112センターの運営体系改善を指示した。しかし幼い子供でも分かるが、その根本的な原因は警察の指導部の無能ぶりと政治性に根ざしている。政情統治に明け暮れて住民の治安は放っておき、市民の生命や人権より検察との権益争いにあけくれた結果である。チョ長官と指導部が猛省して責任を負うべきだ。
原文: 訳T.W