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‘健康が一番’ 250万ウォン位は vs‘健康と言われても’ 検診も受けられないのに

登録:2012-02-28 08:33

原文入力:2012/02/27 22:40(2684字)

 健康に対する関心が強まる中で、健康診断などの予防医療を利用する人々が増加している。 だが、普段から健康管理をきちんとできる高所得層が予防にも積極的である反面、健康を維持する余裕がないばかりか重病にかかる可能性も高い低所得層は予防医療サービスを受けられないという両極化現象が深化している。 所得による予防医療の両極化実態と代案を3回にわたり探ってみる。

‘年俸1億’ 40代 会社員 イ氏
会社の検診に加えて自費でまた検診
異常がなくても数百万ウォンかかり
"40代 突然死・癌が多いというが…"

‘医療給付 1種’ 50代 キム氏
5大癌検診費を支援されても
病院に行けず癌が全身に
"肺の写真だけでも早く撮っていれば…"

 年俸が1億ウォン程の会社員イ・某(45)氏は今年初め、いわゆる‘ビッグ5病院’に選ばれるソウルのある大型病院で総合健康診断を受けた。 検診商品は250万ウォン程で高い気もしたが、どんな病気でも捜し出すことができるという言葉でカードを使った。 彼は昨年と3年前にも国民健康保険公団の健康診断ではなく大型病院の検診商品で検査を受けた。

 イ氏が今回受けた検診は総合癌検診と心臓および血管疾患に対する総合検査で構成されていた。 総合癌検診には胃腸および大腸内視鏡検査をはじめとして肝臓超音波検査と甲状腺超音波検査、前立腺癌腫瘍マーカーおよび各種癌に対する腫瘍マーカー検査などが入っていた。 全身PET(陽電子断層撮影)検査と脳MRI(磁気共鳴映像撮影)検査も受けた。心臓および血管疾患総合検診には心臓超音波、冠状動脈CT(コンピュータ断層撮影),心臓運動負荷検査、頚動脈検査などが含まれていた。 イ氏は 「検査を受ける時、医療スタッフは‘この検査は全て非常に高価で一つずつ別に受ければ金額がはるかに多くかかるが、総合商品として出てきてこの程度まで安くなった’と説明した」と伝えた。 実際、ソウル峨山病院、ソウル聖母病院、セブランス病院、ソウル三星病院、ソウル大病院など‘ビッグ5病院’の全身PET検査は普通150万ウォン程度であり、脳MRIや冠状動脈CTなども数十万ウォンかかる。

←健康診断など予防医療にも所得による両極化現象が深化している。 写真はソウルのある大型病院で患者がCTを撮っている様子. ハンギョレ資料写真

 検診の結果、肥満に該当して血圧が少し高いということを除けば特別な異常は発見されなかった。 肥満は4~5年前からすでに知っていたし、血圧も薬を飲まなければならない程ではないという事実は以前の検診でも出てきていた。

 イ氏のように40代半ばなのに数百万ウォンに達する総合検診を受ける人たちが少なくない。 イ氏は 「私たちの会社でも30代後半からは会社が提供する健康診断商品にいくつかの追加検査を受けたり総合検診を一度程度は受けたことのある人がほとんど」としつつ「マスコミの報道を見れば40代の突然死や癌が多いというが、この程度のお金は十分に投資する価値があるのではないか」と話した。‘ビッグ5病院’に選ばれるある大型病院の健康診断相談看護師は「健康診断は主に50~60代が多く受けるが、健康について考える機会となる年末年始には40代の比重もかなり高まる」と話した。

 このように高所得層の‘健康心配症’を基礎に高価な検診商品が人気を得ているが、健康医学的に必ず必要な予防医療すら受けられない‘医療疎外層’も依然として多い。

 ソウル、弘済洞(ホンジェドン)に住むキム・某(57)氏は昨年11月からソウルのある市立病院に入院中だ。 昨年6月に咳が出始め開業医を訪ね風邪薬を何週間か服用したが咳は止まらなかった。 胸部位単純レントゲン撮影をした結果、肺に翳りがあることが確認され、家の近所の大きな病院を訪れた。CT検査で肺癌が疑われ、組織検査の結果 肺癌と確診された。 周辺への癌細胞転移有無を確認するため腹部などに対するCT検査をしてみると肝にも癌細胞が転移した状態であった。

 キム氏は身体障害がある上に所得もなく、賃貸住宅に暮らしていて医療給付1種に該当する。 病院に行き診療を受けても医療給付範囲に含まれれば診療費を払わなくとも良い。 だが、それまで胸の単純レントゲン撮影などのような一般健康診断の恩恵は受けられなかった。 今年からはじめて医療給付受給権者も一般健康診断を受けることができるようになったためだ。

 もちろんキム氏は医療給付受給権者だったために胃癌、肝臓癌、大腸癌、子宮頸部癌、乳癌など5大癌に対する検診は費用負担なく受けられたが、今まで一度も受けなかった。 5大癌検診の重要性を全く知らなかった上に、癌診断を受けても治療費を賄うのが難しく検診を受ける気にならなかったという。

 キム氏のように医療給付受給権者であれば5大癌検診に対しては政府が全額費用を支援しているが、検診を受ける人はそんなに多くない。 保健福祉部の‘2011年癌早期検診事業受検率現況’によれば、癌検診対象医療給付受給権者約104万人の内、検査を受けた人は27万6000人余りで受検率が26.5%に過ぎなかった。 全体癌検診対象者の検診比率56%(国立癌センター‘2011年癌早期検診受検調査’)の半分にも至らない。 さらに肺癌の場合、まだ適切な早期診断検査法が確立されておらず5大癌検診項目には含まれていない。

 キム氏は病院で肺癌治療が容易ではないほど広がっているという話を聞き、これ以上の検査や治療を放棄した。 家に戻ったキム氏は特別な治療を受けずに持ちこたえて、痛みが深刻になると癌が確認されてから5ヶ月後の昨年11月にホスピス緩和医療を受けるため市立病院に入院した。 入院初期には自分で食べ物を食べられたが、今は全身に痛みが広がり嘔吐が激しくほとんど何も食べられない。 栄養分は点滴注射で供給されており、事実上 臨終を待つ身になった。 キム氏の保護者は「医療スタッフが‘少しだけ早く病院を訪れたり普段から健康診断で肺の写真でも撮っていたら良かったのに’という話を聞くたびに胸が痛んだ」と話した。

キム・ヤンジュン医療専門記者 himtrain@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/health/521084.html 訳J.S