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韓国で医学部教授の辞職が始まった…「3401人増員」申請で対立深まる

登録:2024-03-06 00:51 修正:2024-03-06 09:18
慶北大学病院、忠北大学病院の教授が辞意 
江原大学医学部の教授は学内で剃髪式
医学部定員の増員政策に反対して勤務地を離脱した7千人あまりの専攻医に対して政府が免許停止などの行政処分の事前通知書を発送した5日、ソウルのある大病院の廊下を医療スタッフが歩いている/聯合ニュース

 医学部の教授たちが増員に反対しているにもかかわらず、各大学が自大学の医学部定員の増員を教育部に申請したことを知った一部の教授たちが辞表を提出するなど、緊張が高まっている。若い教授たちを中心として集団辞職すら議論される中、全国医学部教授協議会(教授協議会)は緊急総会を開いて対応策を議論する予定だ。

 教授協議会のキム・チャンス会長は5日のハンギョレの電話取材に対し、大学は教育環境について苦悩することなく闇雲に定員を増やし、専攻医を含めた教え子や教授たちに負担を押し付けていると指摘した。キム教授は、「これまでは医学部と病院が医学部教育などを責任を持っておこなってきたが、医学部の現状を知らない非専攻者たちが(医学部の教授が反対しているにもかかわらず)『増員をしても大丈夫だ』といって決めてしまった」と批判した。

 医学部の教授たちは各大学の増員決定の前に反対の意を伝えていた。教授協議会は今月1日の4つ目の声明で、医学部定員についての需要調査そのものが教授の意見の集約などの手続きを経ておらず、政策の根拠資料として用いることができないため、大学総長は熟慮すべきだと指摘している。

 延世大学医学部の教授たちはすでに「0人増員」の立場を大学に伝えている。慶尚国立大学医学部の教授たちも「医学部定員についての社会的合意がなされなければ医学部増員に反対する」ことを決めている。しかし延世大学は現在の定員(110人)からの10%増員、慶尚国立大学は現76人から200人への増員を申請している。

 そのため、教授たちの抗議や集団行動もはじまっている。江原大学医学部の教授たちは、現在の定員を3倍近くにする増員を申請した大学当局に反発して剃髪式をおこなった。江原大学医学部の教授たちは増員に反対していたが、大学側は49人から140人への増員を申請した。

 蔚山大学医学部教授協議会非常対策委員会はこの日、3つの研修病院(ソウル峨山病院、蔚山大学病院、江陵峨山病院)の996人の教授に対して実施したアンケート調査の結果を公開し、回答者(605人)の77.5%が「兼職解除や辞表提出などに賛成する」と答えたと明らかにした。同非対委のキム・ミナ委員長は「77.5%はそう(実際に兼職を解除したり辞表を提出したりなど)するということ」とし、「残りの意見は、患者を置いて去ることはできない、患者がいる限り診療するというものだった」と述べた。

 慶北大学病院血管外科のユン・ウソン教授と忠北大学病院心臓内科のペ・デファン教授は、公に辞職の意思を明らかにした。新村セブランス病院などの各病院や小規模グループの若い教授たちを中心として、集団辞職を議論する動きも見られる。キム会長は「寺が嫌なら僧が去るという雰囲気だ。かなり深刻だと思う。『辞職ドミノ』が起きる可能性もある」と語った。

 専攻医が病院を去ったことで、教授たちにはますます重い負担がのしかかっている。教授協議会のキム・ヒョナ副会長は「これでは辞職ではなく殉職だとおっしゃる教授もいた。週の勤務時間が100時間を超えたり、40~50代の教授が2日間一睡もできずに診療したりという悲惨な状況だ。耐える期間がやたらと長引くことで望まない辞職が生じるのではないかと心配になる」と述べた。

 ただし教授協議会は現在、教授が患者の診療の責任を担っていることを考慮し、教授協議会レベルでの集団辞職は議論しない計画だ。教授協議会は9日に緊急総会を開いて今後の対応策を議論した後に、各大学と政府に責任を取るよう求める声明を発表するとみられる。

キム・ガユン、コ・ナリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1130990.html韓国語原文入力:2024-03-05 15:57
訳D.K

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