本文に移動

不法わいせつ物でも著作権保護…韓国で流通する日本のアダルト動画が裁判沙汰に

登録:2015-02-10 10:48 修正:2015-02-10 15:45
日本の業者がウェブハードを相手に提訴
不法流通を防いでほしいと訴えたが
検察は「保護価値なし」と捜査せず
どうあれ著作物 //ハンギョレ新聞社

 露骨な性行為シーンが描写された“ヤ動”(アダルト動画)も思想や感情を表現した創作物といえるのか。検察は「ポルノは保護する価値がない」という基準を守り、日本のアダルト動画を流通させ儲けたウェブハード業者も「どうせ不法で販売もできないのに何が著作権だ」という立場だ。結局、日本のアダルト動画業者らは韓国の裁判所にウェブハード業者を通したアダルト動画の流通を禁止させる仮処分申請を出した。果たしてアダルト動画の著作権は認められるのだろうか?

 韓国内での日本の成人動画マニア層は少なくないようだ。一部では、ある俳優が出演した“作品”の背景になった場所を訪ね回って撮った“認証ショット”をネットで紹介したりする。彼らのほとんどが“正規商品”を購入する代わりにウェブハード業者を通じ誰かが流したアダルト動画をダウンロードする。日本のアダルト動画の大部分は国内法上明白なわいせつ物だ。それを流通させるのは情報通信網法のわいせつ物流布罪に当たる。

 ウェブハード側もこうした事情をよく知っているが、積極的に防ごうとはしない。利用者が流したアダルト動画をダウンロードするには、ウェブハードから購入した“コイン”が必要だ。アダルト動画の流通が多いほどウェブハードには利益になる。

 これに対し日本のアダルト業界団体である知的財産振興協会(IPPA)は数年前から著作権を強く主張してきた。2009年に日米のアダルト動画業者らが著作権侵害を主張し“ヘビー・アップローダー”(動画を大量に流す利用者)を相手に告訴状を出すと、韓国の大検察庁は「法的に流布が禁止されたわいせつ物の著作権保護のため捜査権を発動することはできない」と捜査をしなかった。

 すると同協会は2013年11月、標的をヘビー・アップローダーからウェブハード業者に変えた。日本のアダルト動画業者13社から版権を購入した後、さらにレベルを下げた“エロ物”として編集して国内に流通させようとした韓国の業者が、4万件に達するアダルト動画の著作権保護を要請する内容証明をウェブハード業者約10社に送りつけた。そのうち4社をソウル南部地検に著作権法違反容疑で告訴した。

 だが検察は昨年4月、最高検察庁の指針に従い著作権法違反容疑は嫌疑不十分として情報通信網法のわいせつ物流布罪を問い、業者1社を略式起訴、別の1社を起訴猶予処分にするだけで終わった。

 これに対し知的財産振興協会に所属する日本の業者などは先月26日、ソウル南部地方裁判所にウェブハード業者を相手に映像物複製禁止仮処分申請をした。日本の業者を代理する弁護士は9日、「動画がわいせつ物かどうかとは別に、映像を複製および伝送するのは著作者権利を侵害する。韓国の著作権法は著作物の倫理性や社会性に対する制限はない。この法理を検察が理解できないようなので民事訴訟を起こした」と話した。一方、ウェブハード業者側の弁護士は「たとえ著作権が認められるとしても、法で流通自体を禁止しているので裁判所決定で得る実益がない。訴訟は却下されるべきだ」と主張している。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.09 21:22

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/677580.html 訳Y.B