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「韓国はどちらの側に立つのか」というお馴染みの問いを前にして【特派員コラム】

登録:2025-11-01 00:31 修正:2025-11-01 08:04
イ・ジョンヨン|北京特派員
30日午前、金海国際空港の儀典室「ナレマル」で、中国の習近平国家主席(左端)と米国のトランプ大統領が首脳会談をおこなった=金海/ロイター・聯合ニュース

 世界の権力の2つの軸、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席が、韓国でテーブルをはさんで向かい合った。釜山(プサン)に世界の耳目が集まった瞬間、両首脳が手を取り合うと、数カ月間にわたって貿易戦争を息を殺して見つめていた世界は安どした。そして2人の対面は、韓国外交に重い問いを投げかけた。その場が韓国外交の存在感を確認する瞬間になるのか、韓国が後ずさりして大国間の計算に巻き込まれる道筋となるのかが、まだ分からないからだ。

 米中競争はもはや、韓国の経済と安保にとって変数ではなく定数だ。韓国経済は目の回る綱渡りをしなければならない立場だ。韓国の第1、第2の貿易相手国である中国と米国の経済覇権争いの中、韓国の輸出とサプライチェーンは不確実性にさらされている。安保の面では同盟国である米国との円満な関係の維持は必要不可欠だが、「引越しできない隣国」である中国を敵に回してはならない立場でもある。米中の軍事的な覇権争いの中では、「お前はどちらの側に立つのか」という問いに絶えず向き合うことになる。

 つらく、不安にもかられるが、逆から見つめる必要がある。米中が韓国に何らかの立場や確信を要求してくるのと同じく、逆に韓国の選択が米中に及ぼす影響も小さくないということをだ。韓国の方向設定によっては、米中もサプライチェーンの再編、技術競争、東アジア地域の秩序に影響されうるということだ。韓国は半導体などの先端製品のグローバルサプライチェーンにおいて欠くことのできない要衝に位置しており、安保面でも東アジアの情勢と戦略の中心に立っている。したがって、米中の選択に「左右される」国ではなく、選択「する」国として位置づけられる機会も到来しうる。

 しかし、チャンスは自らやって来ない。韓国外交には原則と目標、それを土台にした戦略的信頼が必要だ。大国にはさまれて、彼らとの関係を「管理」するだけでは不十分だ。それを最優先の目標にして突進しているうちに原則、目標、信頼を失うのが常だった。また、政権が交代する度に修正される、一貫性のない外交的原則と目標は、韓国の戦略的価値を自ら傷つけてきた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代の米国と日本に偏った「価値観外交」が残した教訓だ。

 突然の加速と減速によって外交目標を達成することは難しい。持続性と信頼が基盤とならなければならない。大国の間で情勢が揺れ動けば揺れ動くほど、ぶれることのない基準を示さなければならない。韓国がこの原則を守れなければ、いかなる政権の下であれ、戦略的価値の回復は遠い。

 だから、自らに投げかけるべき問いは「韓国が守るべき原則、得るべき実益とはいかなるものか」だ。韓国外交の要は、米国の要求と中国の期待にはさまれて「どちらを満足させるか」であってはならない。どちらをより喜ばせたかではなく、韓国の利益、実益がどれほど拡大したかで評価されなければならない。

 韓国で繰り広げられているスーパー外交ウィークは、韓国の戦略的価値を確認しうる決定的な瞬間だ。米中の首脳が立ったスポットライトの降り注ぐ舞台の裏で、韓国は舞台の提供者にとどまらず主演を演じられるのか。その外交的力量を自ら証明しなければならない。その時、韓国外交は「どちらの側に立つのか」というお馴染みの問いに閉じ込められてはならない。韓国はいかなる原則を追求し、どのような秩序を作っていくのか。主体的に問いを投げかけつつ設計図を描かなければならない。大国の力比べの残した正解のない問いの中から抜け出す道はそこにある。

//ハンギョレ新聞社

イ・ジョンヨン|北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1226507.html韓国語原文入力:2025-10-30 19:15
訳D.K

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