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[社説]集団いじめに2次被害まで…韓国海軍の一等兵の極端な選択

登録:2021-09-08 07:08 修正:2021-09-12 20:36
韓国海軍の韓国型駆逐艦、姜邯賛艦(4400トン)=海軍提供//ハンギョレ新聞社

 韓国海軍の駆逐艦「姜邯賛(カン・ガムチャン)艦」に勤務していた兵士が、先輩兵に暴言、暴行、集団いじめなどにあい、6月18日に自殺したと報じられた。市民団体「軍人権センター」は7日、記者会見を行ってこのことを明らかにし、亡くなったJ一等兵が、被害の事実を艦長に申告したにも関わらず、被害者保護の措置どころか加害者との和解を要求されるなどの「2次被害」を受けたと主張した。5月と8月に亡くなった空軍と海軍の副士官への性的暴行事件で明らかになった、懐柔、縮小、隠蔽、初動捜査の不備といった問題が今回も繰り返された。衝撃と怒りを抑えることができない。

 2月、姜邯賛艦に配属されたJ一等兵は、休暇と自主隔離で長く艦を出ていたという理由で、3月に先輩兵から暴言を浴び、集団いじめと暴行にあったという。彼は3月16日、艦長に携帯電話のメッセンジャーを利用して暴行と暴言の事実を申告したが、加害者と被害者の分離はなされなかった。3月26日夜、J一等兵が自傷を試みると、艦長は翌日早朝に加害者を呼び、謝罪させた。呆れたことだ。生活と業務の空間が制限された艦艇の特性を考慮した場合、艦長はただちに被害者と加害者を下船させて分離した後、治療と捜査を受けさせなければならなかった。

 軍服務中に悔しい思いをした将兵たちは、「申告しても意味はない」という不信感と無気力感を抱いている。J一等兵は、なんとか勇気を出し指揮官を信じて申告したが、放置され、結局は2次被害を受けた。被害者が亡くなった後、ようやく加害者の捜査が始まった。

 これに先立ち国防部は、6日の定例会見で、人気ドラマ「D.P.」で描写された軍内部の過酷行為(暴行・脅迫など肉体的、精神的に苦痛を与えること)についての質問に対して、「現在は(兵士の)日課終了後の携帯電話の使用などにより、悪質な事故が隠蔽されることのない兵営環境に変わりつつある」と述べた。しかし、その翌日にJ一等兵の悲劇的な事件が公開され、国防部は返す言葉がなくなった。5月の空軍副士官の性的暴行および死亡事件で、国民的な公憤が噴きあがっていたにもかかわらず、当時のJ一等兵集団いじめ事件に対応した軍当局の態度は変わらなかったのだ。軍人権センターは「毎回、軍で人が死ぬたびに、強引に事件を取り繕い隠蔽し、責任を負う人間を減らそうとする軍の特性は絶対に変わらない」と批判した。

 もはや、国防部の“自己改革”にこれ以上期待するのは難しくなった。軍隊を変えるためには「何でもしなければならない」というドラマ『D.P.』のセリフのように、痛ましい死を防ぐために、韓国社会は何でもしなければならない。兵営文化の革新や軍事裁判所、軍捜査機関などの軍司法制度の改革のような対策は、もうすでに出ている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1010860.html韓国語原文入力:2021-09-07 19:30
訳M.S

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