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[社説]破格の北朝鮮新年の辞、“平和”の突破口開く契機に

登録:2018-01-01 23:13 修正:2018-01-02 07:23
北朝鮮の金正恩労働党委員長が今月1日午前、平壌中央委員会庁舎で新年の辞を発表している=平壌/朝鮮中央通信 聯合ニュース

 金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が1日、新年辞で平昌(ピョンチャン)冬季五輪に代表団を派遣する用意があり、そのために南北当局間の会談ができると明らかにした。一方、米国に向かっては「核のボタンが私の事務室の机の上に置かれている」として威嚇した。核問題では相変らず挑発的だが、全体的には前向きで具体的な提案を盛り込んだと評価することができる。北朝鮮が新年に入り、南北関係改善の意志を強く示唆したことを歓迎する。政府はこれを実質的な南北関係の進展と朝鮮半島緊張緩和への出口を開く契機として積極的に活用しなければならない。

 もちろん、金正恩委員長は、核とミサイルの開発に関し既存の冒険的で強硬な態度から一歩も退かなかった。彼は「国家核武力完成の歴史的大業を成就した」と主張した。特に「米国本土全域が私たちの核攻撃の射程圏内にある」、「核のボタンが私の机の上に常に置かれているということは、威嚇ではなく現実だ」として、米国と世界を脅迫した。核と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を放棄しないという意味だ。しかし、このことが北朝鮮の体制の安全を究極的に保障することはできないということを、金委員長は知らなければならない。核開発で「社会主義強国建設」と「人民の幸福」を持ってくることはできないという冷厳な現実を今からでも悟ることを願う。

 核威嚇は止めないが、南北問題で平昌五輪への参加をはじめ関係改善の意志を表わした点は肯定的だ。自由韓国党と一部の保守陣営は、これを韓米間を仲違いさせ、同盟に亀裂を作るための術策として非難している。だが、たとえそうした意図があろうとも、北朝鮮の今回の提案を積極的に受け入れて、南北関係の改善はもちろん北朝鮮核問題解決の端緒を開く契機にすることは緊要だ。究極的に北朝鮮の核とミサイル問題は、対決ではなく対話と交渉を通じて解決するほかはない。そのためには「非核化原則」を堅持して、北朝鮮との対話の余地を広げていこうとする態度を取らなければならない。北朝鮮の意図に過度に没頭するより、私たちが先に自信を持って北朝鮮の態度変化を活用し誘導していこうとする姿勢を持つことが重要だ。

 米国のトランプ行政府とは、事前協議をよくして、不必要な葛藤が生じることを避けなければならないだろう。北朝鮮が米国には強硬な態度を取り、平昌五輪への参加に積極的なことは、南北対話をテコにして強硬なトランプ行政府との対話の門を開くという意図が込められていると見るべきだ。南北関係の進展を通じて核問題解決のための朝米交渉の扉を開けていくことに、米国が反対する名分はない。むしろ支持するべきで、それが真の同盟の価値に符合する。

北の“平昌”参加のための当局間協議の開始を

 北朝鮮が平昌五輪参加のための当局間会談を示唆した以上、韓国政府は実務的協議が早くなされるよう努力しなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はすでに米国に対し「五輪期間中の韓米軍事演習延期」を要請したと明らかにした。早急に韓米が意見を調整し、北朝鮮代表団の参加環境を作る必要がある。これを通じて南北関係の進展と朝鮮半島の緊張緩和を成し遂げ、非核化のための朝米交渉の土台を積むことが韓国政府の役割だ。これが文在寅大統領が言う「朝鮮半島運転者論」にも符合する。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/825858.html韓国語原文入力:2018-01-01 18:53
訳J.S

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