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「慰安婦」報道した植村隆元記者の終わらない闘い「私は捏造記者ではない」

登録:2019-07-03 09:17 修正:2019-07-03 10:50
慰安婦被害記事を「捏造」攻撃した右翼に損害賠償 
相次いで1審で敗れたが、法廷闘争続ける 
市民たちが傍聴して応援…韓国からも支持訪問
植村隆『週刊金曜日』社長とハンギョレ新聞社のイム・ジェギョン前副社長(左)、イ・ブヨン元議員(右)が2日、北海道の札幌高等裁判所前で話を交わしている//ハンギョレ新聞社

 「私は捏造記者ではありません。この攻撃は私に対する攻撃だけではありません。歴史と向き合って真実を伝えようとするジャーナリズムに対する『バッシング』です」

 2日午後、北海道札幌市の札幌高等裁判所で朝日新聞の植村隆元記者は裁判長の前で一語一語力を込めて言った。

 植村氏は1991年、故金学順(キム・ハクスン)さんの「慰安婦」被害事実を初めて報道した人物だ。この日、裁判所では植村氏が自分の報道を「捏造」と攻撃した桜井よしこ氏を相手に起こした損害賠償訴訟控訴審の第2回口頭弁論が開かれた。植村氏は2015年、桜井氏と桜井氏のコラムや記事を載せた雑誌社2社が自分の名誉を毀損したとし、謝罪広告を掲載して各550万円の賠償を求める訴訟を起こした。昨年11月、札幌地方裁判所は桜井氏のコラムが植村氏の社会的評価を落としたのは事実だが、桜井氏の文章自体は当該事案を真実と信じられる「相当の」理由があるとし、原告敗訴の判決を下した。

 植村氏に向けた攻撃は2014年に本格化され、桜井氏をはじめとした右翼論客らがその中心にいる。右翼たちは植村氏が1991年に報道した文章一つ一つに難癖をつけ、捏造だと追及した。植村氏が書いた当時の記事の冒頭で「女子挺身隊という名目で戦場に連行され」という部分が出ているとし、挺身隊と慰安婦を区別せず書いたというような攻撃が代表的だ。1990年代には、従軍慰安婦被害が詳しく知られておらず、両用語が混用されたという事実を意図的に無視したのだ。植村氏は法廷で「挺身隊という表現は当時日本と韓国のメディアいずれも一般的に使っていた表現」だと説明した。

 植村は右翼たちに対し「十分な取材はもちろん、資料を最後まで読もうとする努力もせず、私の記事を捏造と攻撃した」と強調した。特に、彼は桜井氏が1992年、雑誌に金さんら慰安婦被害者3人の話を言及し、「強制的に日本軍に徴用されたという彼女たちの訴えは、人間として、同じ女性として同情なしに聞くことができなかった」と書いた記事を証拠として新たに提出し、桜井氏本人の文章にも矛盾があることを指摘した。

 植村氏は別の右翼論客である西岡力氏を相手に東京地方裁判所に起こした損害賠償訴訟でも、先月26日、1審で敗訴した。東京地裁は札幌地裁と同様に、西岡氏の主張に問題があるという点を認めながらも「公益性、真実と信じるだけの妥当な理由」などを挙げ、敗訴判決を下した。

 植村氏に対する日本国内の攻撃は依然として続いている。ポータルサイト「ヤフージャパン」で植村氏の名前を検索すると「死刑」という単語が関連検索語として出る。しかし、植村氏は法廷外でも闘争を続けている。昨年9月、日本の進歩派の週刊誌『週刊金曜日』の社長に就任し、進歩派メディアの再生に乗り出した。

 この日の裁判の傍聴席は78席がいっぱいになった。韓国からはイ・ブヨン元議員とハンギョレ新聞社のイム・ジェギョン前副社長が支持訪問をした。イ元議員は「韓国では日本を批判する声は高いが、植村氏のような人と共にする努力は不十分だった」と話した。イム前副社長は「植村氏は右翼テロに遭っている。これは目に見える政治権力との闘いよりも厳しい闘いだ。支援が必要だ」と強調した。現在、韓国でも「植村隆を助ける会」が構成され、支持・支援活動を行っている。

札幌/文・写真 チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/900200.html韓国語原文入力:2019-07-02 21:07
訳M.C

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