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倭乱の被害が土中から…ソウル都心で600年ぶりに発掘された「世宗の遺物」(上)

登録:2021-06-30 01:50 修正:2021-06-30 10:10
旧漢陽中心部から世宗時代の天文時計など科学遺物も見つかる
15世紀に作られたハングルの金属活字、これまで記録でのみ伝えられていたが今回の発掘で初めて実物が確認された=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社

「これは小石ではなく金属活字です!」

 今月初め、ソウル都心の文化地区である仁寺洞(インサドン)のピマッコル再開発地区遺跡を発掘した首都文物研究院(院長 オ・ギョンテク)調査チームは、16世紀の建物跡から出た陶器壷の一部の内容物を確認して驚いた。壷の側面の穴から出てきた小石形の遺物のいくつかを洗浄してみると、金属活字であることが分かったからだ。興奮した調査チームは、壷内の土砂をすべて取り出して集中分析作業を実施した。結果は驚くべきものだった。壷の内部には何と1600個余りの金属活字が詰まっていた。

 専門家たちが調べると、15世紀、世宗(セジョン)大王の『訓民正音』創製当時に使われたと考えられる朝鮮初期の世宗~世祖(セジョ)代のハングル金属活字実物と、世宗が造った漢字金属活字である甲寅字と推定される活字が初めて発見されたとの判読結果が出た。この金属活字のうち一部は、ドイツ人グーテンベルクが1450年代に西洋初の金属活字活版印刷を始めた時より製作時期が数十年早いと推定される。

ハングル金属活字の細部=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社
ハングル連鋳活字=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社

 文化財庁は29日、首都文物研究院が発掘調査中であるソウル市仁寺洞79番地の「公平区域15・16地区都市環境整備事業敷地内の遺跡(ナ地域)」の16世紀建物跡から、壷に入れられた朝鮮前期の世宗~中宗(チュンジョン)時の金属活字1600点余りを発見したと発表した。文化財庁はさらに、世宗~中宗時代に製作し使用したと見られる自動水時計の時報装置部品である籌箭(チュジョン)と、世宗時期のものと推定される天文時計「日星定時儀」の部品、中宗~宣祖(ソンジョ)の時代に作った武器である銃筒類8点、銅鐘1点などの金属遺物も同じ遺跡から一緒に埋められた形態で発掘されたと述べた。

世宗の時に造った甲寅字と推定される漢字金属活字。大きさから見て小字に該当する=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社
世宗の時に造った甲寅字と推定される漢字金属活字。大きさから見て小字に該当する=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社

 まず目を引くのは世宗の時に製作された最も早い時期のハングル金属活字だ。一括出土した金属活字は、ハングルの金属活字を構成する大字、中字、注釈などに使われた小字、特小字がそろって出土した。特に『訓民正音』創製時期の15世紀に限定されて使われた「東国正韻式表記法」を使った金属活字が実物で確認され、ハングル金属活字を構成した様々な大きさの活字がそろって出土した点は画期的な成果と評価される。「東国正韻」は、世宗の命により申叔舟(シン・スクチュ)、朴彭年(パク・ペンニョン)などが朝鮮漢字音を正すために刊行した韓国初の標準音に関する本で、中国漢字音を表記するために使われた字素類を記録したのが特徴だ。この他にも、二つの文字を一つの活字に連結表記して、助詞の役割をした貴重本の連鋳活字が10点余り見つかった。

「日星定時儀」の主要部品である「周天度分環」=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社
水時計の重要部品である籌箭の初めて確認された実物=写真:首都文物研究院提供//ハンギョレ新聞社
ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1001298.html韓国語原文入力:2021-06-29 21:36
訳J.S

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