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[社説] 目標は北の制裁でなく核の解決だ

登録:2013-03-09 01:31 修正:2013-03-09 09:39

 1994年の第1次北核危機以来19年ぶりに最高水準の戦争の危機が朝鮮半島の空を覆っている。北韓が発信する言辞だけ見れば、事実上戦争が差し迫ったといっても過言ではない。

 北韓は第3次核実験に対する国連安保理の追加制裁決議と11日から始まる韓-米連合訓練を口実に連日軍事威嚇を強化している。テロ工作などを担当するキム・ヨンチョル人民軍偵察総局長は5日、停戦協定の‘白紙化’と‘核火の海’等の内容を含む人民軍最高司令部のスポークスマン談話で口火を切った。外務省は安保理決議が採択される数時間前に同省スポークスマンの声明を発表して "第2の韓国戦争を避けるのが難しくなった" 、 "侵略者たちの本拠地に対する核先制攻撃の権利を行使することになるだろう" と反発した。安保理決議が採択された後には祖国平和統一委員会(祖平統)が出て南北間不可侵合意の全面廃棄と板門店の赤十字間連絡通路の遮断を宣言した。金正恩 労働党第1秘書は2010年に延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発をした‘ムド英雄防御隊’と‘チャンジェド防御隊’を7日に視察して軍部に檄を飛ばした。あたかも暴走機関車を見るようだ。

 制裁を緩和して米国を対話に引き込もうとする多角的目的があると見られるが、南北と北韓-米国間の対話の窓口が閉ざされて信頼が崩れた状況下で、言葉がすぐに行動につながらないという保証もない。朴槿恵大統領をはじめとする政府当局者は政権交代期や野党の政府組織法改正案非協力のためという理由を挙げずに、北韓の挑発に対抗して国民の生命と財産を保護する責務をつくすことによって国民が安心して仕事に従事できるようにしなければならない。

 8日未明に全会一致で採択された安保理制裁決議は軍事的な強制措置を除けば、最も強力な内容を含んでいる。決議は、禁止されている北韓の貨物を積んでいると疑われる船舶と航空機の停泊や、領空通過および離着陸を禁止するよう加盟国に求めている。またミサイルや核プログラムと関連した金融活動を極めて厳格に制限している。指導層向けの宝石や高級自動車、ヨットなどを禁輸目録に指定して、外交官たちの不法行為を徹底的に監視するようにしている。核とミサイル開発のためには外部から技術と物資を持って来ざるを得ない北韓にとっては、明らかに打撃になるだろう。

 しかしこの決議で北韓が進めている核・ミサイル計画を中断させることができると信じる人は少ない。北韓がすべてを賭けて核・ミサイルを開発しているということは第3次核実験を通じて如実に示されている。制裁-挑発-制裁を繰り返してきたこれまでの経過を見ても、制裁に耐えてきた北韓がたやすく屈服しない可能性が大きい。ただし中国が今までの姿勢とは違って制裁に積極的に協力するなら、北韓も強硬策だけが能ではないことを悟るかもしれない。

 短期的に対北制裁が効果的になされるように努めることは当然だ。しかし核を含む北韓問題の発生背景は北韓の安保不安にあることを無視してはならない。結局、問題の根本的な解決のためには、北韓が核とミサイルを放棄する代わりに安全保障と経済支援を中心とした9・19合意の精神に立ち返らざるをえない。私たちの外交・安保当局者は、北韓と米国や中国が同意できる‘改善された9・19合意’を導き出して実行する手段を見出すことに全力を傾けなければならない。朝鮮半島の安保不安により苦痛を受けるのは他のどこの誰でもない朝鮮半島の市民であるためだ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/577212.html 韓国語原文入力:2013/03/08 19:18
訳T.W(1561字)

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