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「クラスで成績20位の医師を国民は望まない」…発言で民意離れ招く韓国医協

登録:2024-02-23 01:54 修正:2024-02-23 07:51
政府による医学部定員2千人増員に反対する専攻医の集団欠勤2日目の21日午前、医療スタッフが医学部へと通じる通路を歩いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 医学部増員をテーマに行われたテレビ討論会で「クラスで成績20~30位の医師を国民は望まない」との趣旨の発言を医療界関係者がおこない、波紋を呼んでいる。政府が推進する地域人材選考の拡大を批判する過程で飛び出した発言だが、現実と一致しない主張であるうえ、高校での成績の「順位」で医師の資質を判断するという偏向した意識があらわになっていると指摘されている。

 医学部増員と医師の集団行動をテーマとして20日夜に放送された文化放送(MBC)の「100分討論」に医師側を代表して出演した京畿道医師会のイ・ドンウク会長は、「地域医師制で成績の低い学生を選んで勤務を義務付ければ労働意欲も落ちるだろうし、その医師に(国民は)診療を受けたがるだろうか」と、政府の地域人材選考拡大方針を批判した際に「成績」の話を持ち出した。

 同氏は「地域医師制では成績が大きく落ちる人材が選ばれざるを得ない」とし、「その地域の人材を80%選んでみよ。地元に住んでいるからといって、成績がクラスで20~30位の人が医学部に入り、そしてまたそこで勤務も義務付ける」と述べた。同氏は「国民の目線を無視し、単に算術的に数だけ間に合わせることは、社会主義がまずいパンを作って配給するようなことだ。国民はそのようなことを望まない」と付け加えた。政府は医学部の定員を増やす際に、地域・必須医療を強化するとの趣旨から、地方の医学部の地域人材選考の選抜比率を60%以上に引き上げる、との方針をとっている。

 イ会長の発言は「国民は最上の診療を受けたがっているが、政府は数(医学部増員)で間に合わせようとしている」と主張する過程で飛び出したものだが、高校の成績で医師の資質を判断するという医師たちの偏った認識がそのまま露呈したと批判されている。また、地方の学生たちを見つめる医師たちの視線も自然とあらわになっている。

 保健福祉部のパク・ミンス次官は21日のブリーフィングで、イ会長の発言について「『地域人材選考を実施すれば成績の低い人が入学するため、医療の質が落ちる』という趣旨の発言だと理解している。私たちはそうは思わない」と反論した。

 パク次官は「クラスで20位、30位というのは、あまりにも感性を刺激する発言だと思う。(地域人材選考が)医療の質を落とすというのは到底納得できない」とし、「地方にいる学生たちは勉強ができない、このような感性を刺激するのだと思うが、今も規定では40%以上の学生たちを地域選考で選ぶことになっているため、(政府の方針は)この40%の水準をもう少し引き上げる方法をとるというものだ」と説明した。

 パク次官は「医療の質というのは良い教育、そして良い実習などが持続的に行われることで上がる。そして医療人としての使命についての明確な考えが積みあがって良い医師ができるのではないか」とし、高校の成績に言及したイ会長を遠まわしに批判した。

2020年9月、大韓医師協会傘下の医療政策研究所が文在寅政権による公共医学部政策を批判した際の、フェイスブックなどへの投稿=SNSより//ハンギョレ新聞社

 イ会長の発言は現実とも一致しない。昨年時点での全国の高校数は2379校で、全校で3位までの生徒は7000人を超える。来年から政府が医学部の入学定員を3058人から5058人に増やしても、下位圏の生徒の医学部入学は容易ではないと考えられる。

 一方、イ会長の発言は、大韓医師協会傘下の医療政策研究所が2020年の文在寅(ムン・ジェイン)政権による公共医学部政策を批判した際の、SNSへの投稿が引き起こした波紋を連想させる。

 医療政策研究所は2020年9月1日にフェイスブックに「政府とメディアは教えてくれない事実:医師のストに反対する方のみご回答ください」と題するカードニュースを投稿した。この投稿は「あなたの生死を分ける重要な診断を受けなければならない時、医師を選べるとしたら、次の2人のうちどちらを選択しますか」と問いかけ、「毎年全校1位を逃さないために学生時代に勉強にまい進してきた医師」と「成績ははるかに足りないが、それでも医師になりたくて推薦制で入学した公共医学部の医師」を選択肢として提示するものだった。医師の「特権意識」があらわになっているとの批判が相次ぎ、研究所は投稿を削除している。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1129376.html韓国語原文入力:2024-02-22 11:37
訳D.K

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